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2020年03月25日

2mの壁

 写真とカメラの専門誌『アサヒカメラ』(朝日新聞出版)が写真家に「あなたの好きな撮影距離は?」というアンケートを行ったことがある。
 一番多かった距離は2mだった。理由は
 「被写体にもよるが、2mくらいの距離だとよく観察したうえで撮影できる」
 「ポートレートは息づかいが伝わる距離がいい」
 「被写体と対峙できるから」などだった。

 プロゴルファーの石川遼選手はアイアンでピンから2m以内までボールを運ぶことを目指しているという。
 以前、200ヤード地点から5mに乗せたことがあった。
 「いいショットだ」と思っていたら、同じ組のセルヒオ・ガルシア選手がほぼ同じ距離から2mに寄せた。
 メジャーチャンピオンレベルの選手たちは、常に2m以内を狙っていると感じた石川選手は、5mで「悪くない」と満足していたことを反省。2m以内を目指してショットの精度向上に励んでいるという。

 バスケットボールの日本人選手には「2mの壁」があった。
 これまでも身長2mを超える選手はいたが、動きが鈍く、米国のプロリーグNBAでは通用しなかった。
 活躍できたのは173㎝の田臥勇太選手のような小柄でスピーディーな選手だけだった。
 そこに2m6㎝の渡辺雄太選手、2m3㎝の八村塁選手が続々と登場。2m超でも身体能力抜群の俊敏な選手たちがNBAで活躍するようになった。

 日本の政界には「半径2mの男」と呼ばれているベテランがいるそうだ。
 直接話せば明るく気さくな人柄と、豊富な話題に魅了されてファンになる人も多いのだが、それ以上離れていると尊大で横柄な態度や失言ばかりが目につき、嫌われるのだという。
 漢字が苦手なことでも有名な政治家のことらしい。

 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は、2mの距離で一定時間以上、会話などをしていた人を「濃厚接触者」としている。
 換気の良い場所で2m以上離れていたなら、さほど神経質にならなくていいらしい。

 中年スケベ男に女性が2m以上近付こうとしないのは、新型コロナウイルスが流行する前からだ。
 もちろん感染症対策ではない。加齢臭やセクハラ対策だ。。
 三条市・本寺小路のスナックで「エッチなことしよう」とからむ酔っ払いに、ママは
 「2m以上離れてなら、いいわよ」と答えていた。

2020年03月21日

カタカナ言葉感染症

 なんでもかんでも輸入すればいいというものではない。
 最たるものが新型コロナウイルスだが、この病原体は病気だけでなく、カタカナ言葉も日本に広めている。

 代表的なのが「クラスター」。本来は集団という意味だが、新型コロナウイルス騒動が始まって以降、日本では「感染者の集団」という限定的な意味で広まっている。
 あえて英語を使わなくても日本語で「感染者集団」と言えばいいのに、厚生労働省は率先して「クラスターが次のクラスターを生み出すことを防ぐことが極めて重要」などとカタカナ言葉を使っている。

 「パンデミックス」も同様。
 「世界的流行」なら五文字で済むのに、わざわざ七文字もカタカナを並べている。日本語を大切にしなければならないはずの公共放送NHKも「パンデミックス」「コールセンター」「オーバーシュート」といったカタカナ言葉を多用している。
 安倍晋三首相まで「これまで実施してきた水際対策などのフェーズをもう一段引き上げる」。
 「段階」や「局面」という日本語を使うより「フェーズ」と言った方がカッコいいと思っているのだろうか。
 「美しい国日本」を訴えながら、実は日本語より外来語の方が好きなのだろうか。

 戦国時代に初めて西洋文明に接した日本人は驚いてポルトガル語の「カステラ」や「パン」、オランダ語の「アルコール」や「ランプ」「ランドセル」などをそのまま使った。
 明治時代の人たちは言葉の意味や概念を熟慮し、新しい訳語を創り出した。
 福沢諭吉は「ソサエティー」を「人倫交際」や「仲間連中」と訳し、後に「社会」で定着した。「スピーチ」を「講演」と訳すことに苦心したエピソードも残っている。
 この時代に「リバティ」から「自由」、「キャラクター」から「品性」、「パーソン」から「人格」、「ネイチャー」から「自然」という日本語が生まれた。
 「アート」から「芸術」という言葉が生まれたことで技芸でも職人でもない、芸術や芸術家が認められるようになった。現代の日本は明治時代を飛び越え、ただ驚いて受け入れるばかりの戦国時代まで戻ったかのようにカタカナ言葉が氾濫している。

2020年03月20日

マスク不足と食料自給率

マスク不足が続いている。
品不足の解消時期を問われた菅義偉官房長官が
「政府としては生産流通状況をきめ細かく把握しつつ、できるだけ早く品切れが緩和されるよう官民連携して取り組んでいきたい。考えているのは来週以降ということだ」と答えたのは2月12日のことだ。
2月20日には「増産体制を確立して今週から(マスクが)入ってくるという報告を受けている。さらに確認して対応したい」とも答えた。
にもかかわらず、いまだにスーパーやドラッグストアなどの店頭からマスクは消えたままだ。
医療機関や介護施設なども深刻なマスク不足に陥っている。

官房長官がいくら言ってもマスク不足が解消されないのは、マスクの国内自給率が圧倒的に低かったからだ。
これまで日本に流通していたマスクの8割は中国などからの輸入品だった。
残り2割の国内生産分についても、原材料の不織布やゴムひも、鼻部分のワイヤーの大半は中国から輸入していた。
新型コロナウイルスの感染拡大によって中国での生産量が減少、原材料も含めて中国からの輸入が止まった。中国政府が自国で使うマスクを確保するために輸出を規制したとの報道もある。
日本国内の工場が急いで増産に努めても、もともと2割しかなかった自給率を一挙に10割に引き上げるのは容易ではない。

生産を外国に頼り切ると、こういうことになる。
「そのマスクは日本用の契約なのだから、日本によこせ」と言っても、
「やれない」と言われればそれまでだ。
感染症だからマスクの輸入が止まり、ドラッグストアに行列ができた。
これが気候変動などによる大飢きん発生だったらどうなるのだろう。

日本の食料自給率はカロリーベースで37%まで落ち込んでいる。
コメは100%だが、牛肉は36%、豚肉は49%、砂糖類34%、小麦14%、大豆7%だ。
 小麦や大豆の自給率はマスクより低い。
 各国がマスクのように食料も「まず自国分の確保が先。それまで輸出ストップ」と言い出したら、日本人は飢えることになりかねない。
 今回の経験を踏まえ、もっと農業を見直すべきではないだろうか。

2020年03月16日

迷惑メール

 「スマホ片手にお金儲け」というメールが先日、届いた。
 「あなたのスマホにあるアプリを入れるだけです。必要な時間は1日15分から30分。主婦でも学生でもサラリーマンでも簡単に稼げます。通勤通学電車の中でも、お昼休みでも、スマホさえあればOK。最短で3日後には口座にお金が振り込まれます。銀行の営業日は毎日振り込まれます。振り込み主は、だれでも知っている有名上場企業です。こんなに簡単にお金が稼げると、就活が嫌になるかもしれません」というものだ。怪しいアドレスも書いてある。もちろん、無視した。

 以前は「懸賞が当たりました」とか「未払い金があります。早急にお支払いいただかないと、差し押さえすることになります」といった、すぐに詐欺メールと分かるものが多かった。
 「天皇の座に即位しませんか?」という、戦前であれば不敬罪となりそうなメールもあった。
 「夫がカナブンに殺されて1年になります。体の強い夫でしたが、カナブンにぶつかり帰らぬ人となりました。夫は会社の社長で遺産が8億円あります。私の遺産と私をもらってくれる優しい男性はいませんか?」という訳の分からないメールもあった。
 体が強いのにカナブンとぶつかっただけで妻や社員を残して死なないでね、社長。

 大手運送会社になりすました偽メールもある。不在通知を装って「配送物は下記よりご確認ください」とURLをクリックするよう誘導するものだ。
 実際にクリックしたり、添付ファイルを開いたりすると不正なアプリがインストールされたり、ウイルスに感染したり、IDやパスワードを盗まれたりすることになる。無視するのが一番だ。
 昨日は「呪い・あなたに替わって憎い相手に呪いをかけます」というメールが届いた。「現代は複雑な人間関係が入り組んでいます。職場、学校、サークル、近所。『いなくなってくれ』と思う人間は一人や二人はいるはずです。呪術堂ではそんなあなたのお手伝いをいたします」と書いてある。
 こんな迷惑メールを送り付けてくる奴に「いなくなれ」という呪いをかけてくれないものだろうか。