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平成 好きだ 愛している

 「愛している」という言葉を口にすることを恥ずかしがる高齢の男性がいる。
 異性に対して使うことを恥ずかしがるだけではない。「○○を愛する会」といった名称についても「愛するとかいうのは、しょうしい(恥ずかしい)てば」という。
 主人公が「君を愛してるんだ!」と叫ぶトレンディドラマを観て育った世代には分からない感覚だ。
 90年代にヒットしたスピッツの『チェリー』には
 「『愛してる』の響きだけで強くなれる気がしたよ」という歌詞まである。

 「愛する」に抵抗がある人でも「好き」は気軽に使っている。「山菜が好きだ」「好きな酒はやめられない」など。方言も「愛している」より「好き」バージョンの方が多いのではないだろうか。
 広島弁は「愛しちょる」より「好きじゃけ」の方が格好いい。焼きジャケのようで美味しそうでもある。
 博多弁では「すいとう」。水筒ではなく「好いとう」。女性の場合は「好いとっと」とニワトリのようになって可愛い。
 大阪弁は「好っきゃねん」。ニッカネン、ハッキネンと並べるとフィンランド人三兄弟のようになる。
 鹿児島弁は「惚れもした」。「セ、ボン、ホレモシタ」と言うとフランス語のように聞こえる。
 土佐弁は「すき焼き」ではなくて「好きやき」。
 秋田弁は「好ぎだ」と濁る。スギ花粉で鼻が詰まったかのようだ。
 新潟弁の「好きらて」も、他地域の人には「カフェラテの仲間?」と首を傾げられるのかもしれない。

 間もなく平成が終わり、来月から令和になる。昭和がますます遠くなる。遠くなると昭和元年生まれから昭和63年生まれまでを全部まとめて「昭和世代」とされかねない。
 63年間も続いたのだから昭和世代の幅は広い。
 大東亜戦争や太平洋戦争開戦前に生まれた世代もいれば戦中生まれ、戦後生まれもいる。戦後生まれも高度成長期の前と後では育った環境がまるで違う。
 昭和には「愛している」に照れる世代から「愛し合っているかい?」「イエー!」などと叫んできた世代までいるのだ。令和の若者には同じようにしか見えないのかもしれないが。

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