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初心忘るべからず

 「初心忘るべからず」という世阿弥の言葉が600年後の今日までことわざとして残っているのは、初心を忘れやすいからだ。だれもが初心を忘れず、持ち続けているのが当たり前であれば教訓になどならない。

 河野太郎外相が記者会見で記者の質問を無視し続けた。
 日露平和条約の交渉相手であるロシアのラブロフ外相の発言の受け止め方を質問されると、仏頂面のまま「次の質問どうぞ」。
 反応をこの場でするつもりもないということかと問われても「次の質問どうぞ」。
 協議に影響を与える懸念もあるがと問われても「次の質問どうぞ」。
 なぜ?と問われても「次の質問どうぞ」。
 壊れたAI(人工知能)スピーカーのようだった。

 河野氏がまだ新人議員だった平成9年に衆院予算委員会と外務委員会で、在ペルー日本大使公邸人質事件にかかる経費について質問した。
 外務省は具体的な金額を隠そうとした。後日、河野氏は自身のブログで
 「このとき僕は外務省というのは平気でうそをつく役所だと思った。事実が外務省の得にならなければ国会に、つまり国民にうそをつく。このときから何度、外務省にきちんと正しい情報を国民に知らせ、外交政策に理解を求めよ、と言ってきたことか」と嘆いた。

 平成15年に政府のイラク政策に反対した天木直人レバノン大使を外務省が依願退職に追い込むと、河野氏は
 「外務省の隠ぺい体質は何も変わっていないではないか」と批判した。
 25年にコンゴ日本大使館放火事件が発生、三等書記官が逮捕されたときは
 「驚いたことに外務省記者クラブ所属の記者は、まったくといっていいほどこの事件を追わなかった」
 「在北京の日本大使館の引っ越しできない事件や、欧州の大使によるセクハラ事件も、外務省記者クラブはほとんどどこも追及しなかった。いったいメディアに真実を追いかけようという気概があるのか」と報道陣の取材姿勢の甘さまで批判した。

 その河野氏が外相になったら「次の質問どうぞ」だ。
 自身が批判してきた「外務省の隠ぺい体質」そのもの。
 「きちんと正しい情報を国民に知らせ、外交政策に理解を求める」姿勢などみじんもない。
 初心はすっかり忘れている。

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