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遠くのうどんより近くのラーメン

 春、弥彦神社に参拝してお願いしたことがかなったので、遅ればせながらお礼参りに行った。神体山の弥彦山を背にした越後国一宮は美しい。周辺の森も含めた厳かな雰囲気と、清々しい空気が参拝者を俗世とは別の世界に連れて行ってくれる。
 弥彦村民はじめ県央の住民は近くに弥彦神社があるために、旧社格の高い他の有名神社に参拝しても、宗教的雰囲気に圧倒され、感動するということがあまりない。「建物は大きいけど、全体の雰囲気はこんなものか」で終わってしまうことが多い。野鳥の鳴き声なども含めて、弥彦神社の方が神秘的だからだ。

 JR弥彦駅から弥彦神社まで1キロ足らずの散策路も風情があって魅力的だ。
 まず5年前にリニューアルした駅舎が素晴らしい。『千と千尋の神隠し』に出てきそうな建物だ。
 通りには趣きのある食堂や菓子屋もあれば、洒落たガラス工芸品店などもある。小料理店の軒先などあちこちに樹齢数百年の古木が立っているかと思えば、その隣には「大人とび出し注意」という交通安全看板もある。
「子ども」の飛び出しを警告する看板はあちこちにあるが、「大人」の飛び出しに注意しろと呼び掛ける看板は初めて見た。浮かれて飛び出す観光客が多いのだろうか。

 今春、駅前通りにオープンしたおもてなし広場にも寄った。ソフトクリームは、味が濃いのに後味はさっぱりしていて美味しかった。満腹だったので酒粕うま味噌の豚串は食べることができなかった。次は腹を減らして行かなくてはならない。うどんの店もあった。弥彦村と、讃岐うどんのまち香川県琴平町が姉妹都市だからという。「遠くの親せきより近くの他人」というが、弥彦村は「近くの背油ラーメンより遠くのうどん」を選んだようだ。

 道路向かい側には16haに及ぶ弥彦公園もある。春のサクラ、秋のもみじ谷は絶景だ。これらは他の有名観光地に負けない観光資源だが、十分に整備されているとはいえない。電信柱は散策の邪魔になるし、電線は通りの美観を損ねている。観光客目線で言えば東京・浅草寺や長野・善行寺の門前のようにもっとさまざまな店があった方が楽しい。
 燕三条地場産業振興センターが出店するなど県央全体で弥彦の観光開発に協力できないものだろうか。弥彦がよりにぎわえば新幹線駅や高速道インター周辺もにぎわうのだから。

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