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2018年03月17日

何のため、誰のための検査?

 三条や燕には金属製品を取り扱う中小企業が多い。重い荷物をトラックに積むときや、倉庫内に高く積み上げるときに使う機械がフォークリフトだ。数百人規模の企業はもちろん、社員数人の個人事業所でも使っている。地場産業には欠かせない、頼りになる機械だが、自動車車検と似たような制度がフォークリフトやブルドーザーなどにもある。特定自主検査という。

 「自主」という名前が付いているが、使用者が自主的にやるわけではない。年に一度、厚労省の登録を受けた検査業者の検査を受けることが労働安全衛生法で義務付けられている。車検のような価格競争は行われておらず、どの業者に頼んでも検査料は大差ない。機械によって10万円を超えるものもあり、中小零細には重い負担となっている。

 安全確保のための点検は必要だが、常にメンテナンスを行っている使用者も、年に一度の特定自主検査のときしか点検しない使用者も、検査料は同じ。となると安全のための検査なのか、検査のための検査なのか。
 この制度はメーカーや検査・整備業者などで作る公益社団法人建設荷役車両安全技術協会が実質的に担っている。検査員の研修を一手に引き受けているだけでなく、検査済みの機械に張る検査標章や記録表なども販売している。同協会には厚労省OBが天下っている。安全のための検査なのか、天下り先確保のための検査なのか。

 先日、衆院予算委員会分科会で新潟4区選出の菊田真紀子代議士(無所属)がこの問題を取り上げた。「特定自主検査は厚労省の天下りを受け入れている協会がなくては機能しない仕組みになっている」「価格競争を阻害し、事業者に過大な負担を強いているのではないか」と追及すると、加藤勝信厚労相は「事業者や各検査業者において適切な価格を設定しているものと考えている。厚労省として検査料金をこの水準にといった指導は行っていない」とカルテルを否定した。

 特定自主検査制度だけが安全確保の方法とは思えない。検査業者が価格競争に挑みやすい環境を三条や燕の業界が作り出せないものだろうか。官僚の天下り先と産業界の国際競争力、どちらの確保が大切であるかは言うまでもない。