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強気を助け、弱きをくじく農政

 野菜が高い。
 白菜、キャベツ、レタス、大根いずれも例年の2倍以上の高値が続いている。
 昨年秋の天候不順の影響という。本当にそれだけが原因なのだろうか。
 日本は食料自給率が低いだけではない。国内で作っている野菜の種子も大半が外国産だ。
 白菜やトウモロコシはアメリカ、キュウリは中国、タマネギはフランス、ニンジンはチリ、カブはニュージーランドなどから種子を輸入している。
 ほとんどがF1種と呼ばれる交配種で、第一世代だけ成長が早くて収穫量が多く、形や大きさもそろっている。第二世代以降、そうした特性は消える。生産者がF1種で育てた実から種子を取っても良い野菜は育たない。毎回、種子を買わなければ作れないようになっている。

 日本の野菜は、以前は地域の気候や風土に根付いた固定種(在来種)から作られていた。
 自然の種子から育った野菜は形も大きさもさまざまだ。
 F1種なら同じものが効率よく大量にできる。日本もいつの間にか大量生産向きのF1種に入れ替わった。
 世界ではモンサントやデュポンなど巨大化学企業が種子の市場を牛耳っている。
 上位5社の世界の種子市場占有率は7割。種子と肥料、農薬をセットで売っている。
 モンサントなどは強力除草剤のラウンドアップで儲け、同時にラウンドアップをまいても育つトウモロコシなどの種子でも儲けている。
 巨大企業が市場占有率をさらに高めたら、企業が世界の野菜市場まで思い通り動かすことになる。
 種子と肥料と農薬の生産や流通をコントロールできたら人類の生殺与奪権を握ったようなものだ。
 日本の野菜の高騰ぶりを見て、巨大企業はいまごろ種子の値上げを考えているかもしれない。

 日本はこれまで稲と麦、大豆だけは巨大企業の支配下に置かれることを免れてきた。
 昭和27年に制定した主要農作物種子法によって稲、麦、大豆の種子の品質管理と安定供給を都道府県に義務付けたからだ。
 その種子法がことし3月末で廃止となる。
 政府は農業競争力強化支援法で「都道府県が有する種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供を促進すること」まで定め、巨大企業の参入に便宜を図っている。
 まさに「強きを助け、弱きをくじく」。こんな農政でいいわけがない。

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