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2017年12月28日

米の米による米のためのコメのタネの話

 主要農作物種子法という法律がある。
 戦後間もない昭和27年にコメや麦、大豆の増産や安定供給のために制定された。
 都道府県はこの法律に基づいて地域に適した優良なコメや麦、大豆の品種を開発し、その種子を安く安定的に農家に供給してきた。国もそれを予算面で支援してきた。国民に安全な主食を安定的に提供し、安心して食べてもらうためだ。コシヒカリや新之助も、この法律によって生まれた品種だ。
 政府はことし2月にこの種子法の廃止を閣議決定し、4月には与党の賛成多数で廃止法を可決。来年4月に廃止と決まった。

 廃止理由を政府は「技術水準の向上によって種子の品質は安定している。民間企業の参入を促進し、開発を促進する」と説明している。
 そのために都道府県には「官民の総力を挙げた種子の供給体制の構築のため、民間事業者による稲、麦類及び大豆の趣旨生産への参入が進むまでの間、種子の増殖に必要な栽培技術等の趣旨の生産に係る知見を維持し、それを民間事業者に対して提供する役割を担う」ことを求めている。
 都道府県が長年、積み上げてきた研究成果を民間に提供しろというのだ。

 民間企業のなかには除草剤「ラウンドアップ」を開発し、この除草剤に耐性を持つ遺伝子組み換え作物とセットで販売している米国のモンサントなどもある。
 モンサントはアスピリンを開発したドイツのバイエルに近く買収される予定で、バイオ化学メーカーは今後ますます巨大化、多国籍化する。こうした巨大企業が日本の種子市場に参入すると何が起きるだろう。
 「将来的に市場原理によって都道府県が開発した品種が淘汰され、外国の巨大企業が種子の市場を独占することもあり得る。そうなった後に種子が高騰しても、農家はどうすることもできない」
 「都道府県が管理しているうちはいいが、民間企業の種子となると、どこにどんな遺伝子組み換え作物が紛れ込んでくるか分からなくなる」
 と心配する声もある。
 政府が唐突に種子法廃止を閣議決定したのは安倍首相とトランプ大統領による日米首脳会談から3か月後のことだった。
 種子法廃止は米国の要求だったということはないだろうか。

2017年12月22日

鎖国か開国か

 開発途上国などの外国人を日本に受け入れ、職場実習で技能の習得を支援するのが技能実習制度。期間はこれまでは3年以内だったが、ことし11月から最長5年に延びた。現在、全国で約21万人が実習している。
 三条市でも平成4年から三条商工会議所が中国人を技能実習生として受け入れた。7年からは三条経営労務センターがフィリピン人を受け入れている。今月には三条市とベトナムのバリア・ブンタウ省が覚書を締結、ベトナム人の技能実習生受け入れに向けた準備を始めた。

 技能実習制度の目的は「国際貢献」。人材育成に協力し、開発途上国の発展に寄与しようというものだ。この制度で育てた技能実習生を中国の武漢や上海事務所の幹部に登用しているパール金属、三条本社で研修を積んだベトナム人中堅幹部がベトナム工場で活躍しているサンカなどは理想的なモデルだ。
 一方で、「国際貢献」は建て前で、本音は「安い労働力が欲しい」という場合、トラブルが起きることもある。受け入れ側が「手間がかかるうえに思ったほど安くない」と不満を抱けば、実習生側も「待遇が悪い」と反発。双方が感情的になることもある。
 技能実習生として日本に入国したのに行方が分からなくなった外国人が年間5000人を超えているという。三条でも中国人実習生が受け入れ企業を抜け出し、県外の中国人の知人宅で見つかったことがある。
 ことしは行方不明が半年で3200人に達しており、年間では6000人を超えそうなペースとなっている。
 失踪者はベトナム人、中国人、ミャンマー人、カンボジア人など。見つかって強制送還された元実習生は「期待していた賃金がもらえなかった」「友だちからもっと給料が高いところがあると聞いた」などと話しているという。

 日本の少子高齢化が進み、人手不足が深刻になっているのに、「国際貢献」が目的の技能実習制度でお茶を濁すようなことを続けているから、こういった問題が起きるのではないだろうか。現実に即してきちんと「外国人労働力」として受け入れ、関連する法律やチェック体制などを整備した方が、労使双方にとって好ましい結果になると思う。「鎖国」か「開国」か、真剣に考えるべき時期ではないだろうか。

2017年12月03日

新潟空港と上越新幹線

 新潟空港への上越新幹線乗り入れは金子清知事時代に浮上した構想だ。
 新潟空港は市街地に近い好立地にありながら公共交通の便が悪く、バスかタクシーを利用しなければ鉄道に乗り継ぐことができない。バスだと新潟駅まで通常なら直行便で30分、路線バスで40分前後だが、新潟市内ではたびたび渋滞が発生する。新潟空港に降りた乗客が新幹線に乗ろうとしても、新潟駅までの所要時間が読めない。
 新幹線を新潟空港まで延ばせば、こうした不便さを解消できる。県内だけでなく、群馬、埼玉など新幹線沿線地域からの空港利用も増える。新潟空港を成田、羽田に次ぐ首都圏第三の空港とすることによって、新潟を日本海側最大の交通拠点として発展させようといった発想だった。

 自治省出身で関係省庁とのパイプも太かった金子知事だが、この構想を具現化する前に東京佐川急便事件によって、在職わずか3年で辞職した。平山征夫、泉田裕彦両知事時代も構想の検討だけは続けたが、実際に変わったのは空港と新潟駅を結ぶバスの乗降場所程度。新幹線は1㍉も延びないまま、25年が過ぎた。
 この間に新潟空港の国際線はソウル、ハルビン、上海、台北合わせて週10便だけなのに、富山空港はソウル、上海、大連、台北の週11便、小松空港はソウル、上海、台北の週12便に増加。利用者数も新潟の99万人に対し、小松は170万人と大きく水を開けられた。

 県内の行政、経済界、交通事業者などによる新潟空港アクセス改善協議会(会長・米山隆一知事)は、空港への新幹線乗り入れについて「不確実な要素や採算性の課題も多く、現時点で整備着手を判断できる状況にない」とし、検討を中断することにした。
 当面は空港駐車場の割引やタクシーの定額運行、バス専用レーンの整備などによって空港利用者を増やす努力を続け、9年後、もしくは空港利用者が現在の1・13倍の135万人に達したら、検討を再開する。
 空港まで新幹線を延ばすには422億円必要で、現状の利用状況ではそれだけの投資をしても採算が合わないという。
 利用が少ないから投資できないというが、投資をしなければ利用が増えないのが公共交通ではないのだろうか。鶏が先か、卵が先かと悩んでいるうちに日本海側の交通拠点の地位を石川県に奪われてしまうのではないだろうか。