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2017年09月20日

UFOと黒ネコ

 国会で未確認飛行物体、いわゆるUFOに関する質疑が行われたことがある。
 10年前に山根隆治参院議員(民主)が「政府として地球外から飛来してきたと思われる未確認飛行物体(UFO)についてどのような認識を持っているのか。どのような情報収集や研究、対応を行ってきたのか」という質問主意書を提出した。
 当時の福田康夫首相は「政府としてはUFOの存在を確認していないため、特段の情報収集、外国との情報交換、研究等を行っておらず、我が国に飛来した場合の対応についても特段の検討を行っていない」と答弁した。
 町村信孝官房長官は定例会見で「政府の公式答弁としては紋切り型になるが、私は個人的にはこういうものは絶対いると思っている。そうじゃないと、ナスカの地上絵など説明できない」
 石破茂防衛相は「UFOや宇宙人が存在しないと断定できる根拠はない」「ゴジラの映画で自衛隊が出るのは天変地異の類なので災害派遣。UFOは災害派遣かな、防衛出動かな。我が国への武力攻撃はあるのか。仲良くしようと言われたらまた対応は違う」などと話した。

 これより数年前、欧州からアラスカに向かった日本航空機の機長がUFOを目撃したことがあったという。アンカレッジ空港に着陸しようとしたところ、UFOと思われる光の集団につきまとわれた。着陸後、機長は「UFOに追いかけられた」と上に報告した。
 国交省はすぐに機長を乗務停止処分とし、精神科の医師の診断を受けさせた。
 以後、日航のパイロットたちは「UFOらしきものを見ても口外してはならない。すれば乗務停止になる」と口をつぐむようになったという。後日、科学者たちが検証したところ、気象条件と太陽の位置、飛行経路などによってアンカレッジ空港周辺では機体の影が乱反射し、UFOに追いかけられているように見えることが分かった。

 この夏、友人が自宅のテレビで高校野球を見ていたところ、投手の後ろに黒いネコが座っていたという。なんで審判はプレーを止めないのだろうと不思議に思っていたのだが、試合は何事もなく進み、ネコはいつの間にかいなくなった。乱反射だろうか、精神科医に診てもらうべきだろうか。

2017年09月02日

「書店ゼロ自治体」とならないために

 学校、警察、消防、医療機関、金融機関、食料品店など地域になくてはならない事業所は多いが、個人的には書店も欠かせない。「スターバックスがない田舎には住みたくない」という若者もいるそうだ。スタバがなくても困らないが、書店がない地域はつまらない。

 先日、朝日新聞が1面トップに「書店ゼロ自治体二割超」という記事を載せた。書店がない自治体・行政区が420もあるという。この4年間で1割増えており、全国の自治体・行政区の2割強を占めるまでになった。背景には書店数自体の大幅な減少がある。平成12年には全国に2万1654の書店があった。いまは1万2526店。17年で9128店、42%も減った原因は人口減や活字離れ、インターネットやコンビニ販売の増などで、地域の文化拠点の衰退が危惧されているという。

 元伊藤忠商事社長で駐中国大使も務めた丹羽宇一郎氏は近著『死ぬほど読書』(幻冬舎新書)で「買い物は実際に現物を見て購入するのと、ネットで口コミなどの情報を見ながら買うのとでは、やはり違います。わざわざ足を運び、視覚や手触りなどを総動員して買うのと、不確かさを残しながらネットで買うのとでは、ものに対する思い入れも変わってくるはずです」「書店の面白いところは、いろいろな人(著者)と出会える点です」「書店ほど、ものすごい数の人に出会える場所はありません」「思いもよらない出会いもたくさんあります。時間に余裕があるときは、ふだんあまり見ることのないジャンルの棚なども眺めてみる。すると、『こんなすごいことがこの業界で起こっているのか』といった発見をしたりもします」「偶然の出会いは、ネットでは体験できない書店ならではの楽しさだと思います」「思いもよらない形で好奇心の幅が広がる喜び、それを堪能させてくれるのが書店のよさなのです」と説いている。

 ネットにも良さはある。24時間、好きなときに注文できる、在庫が豊富、注文履歴から好みの本を紹介してくれるといった点だ。だが、丹羽氏が指摘するように思い入れが違うためか、買っても読まずに積んだままの本もある。県央の書店も以前よりは減った。「書店ゼロ自治体」とならないために、本や雑誌はネットではなく、地元の書店で買うようにしなければならない。