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2017年08月10日

酒と品格

 冷たいビールがうまい暑さが続いている。
 ビールの本場、ドイツのミュンヘンでは「オクトーバーフェスト」というビール祭りが毎年開かれているという。200年以上続いている伝統行事で、毎年、世界各国から600万人を超えるビール好きが集まり、盛大にビールを飲み、ソーセージや鶏の丸焼きなどを食べているそうだ。
 それを手本に新潟県酒造組合が新潟市で始めたのが「にいがた酒の陣」。13年目のことしもおよそ80の県内酒蔵が500種の地酒を提供、2日間で県内外から13万人が来場し、日本酒とそれに合う料理を味わった。

 長野県松本市の教育委員会が、こうした酒がらみのイベントを「品格がない」と判断したと報じられている。同市教委はことしから松本城公園の利用規制を強化。飲酒や酒類販売を伴う催事は「史跡松本城の品格にふさわしくない」とし、自粛を求めることにしたという。
 このため9月に松本城公園で開く予定だった「クラフトビールフェスティバル・イン松本」は中止に追い込まれた。3年前から毎年開いてきた料理と県内外の地ビールを販売するイベントで、地元の飲食店主たちが実行委員会を組織。これまで平均して2万人近い来場があった。主催者側は「飲酒後の本丸庭園や天守閣への入場は禁止」といったルールも定めていたため、酒がらみのトラブルはなかったという。

 中止決定後、松本駅前の居酒屋は店頭に「品格のある方の入店をお断りします。当店では品格のない商品を取り扱っております」と書いた紙を張り出した。市教育委員や市教委職員が来たら入店を断るつもりなのだろうか。あるいは店内に入れても酒や焼き鳥など品格のない商品は庶民にしか提供せず、教育委員には抹茶と和菓子しか出さずに帰ってもらうつもりだろうか。

 酒のイベントに品格がないわけではないだろう。おとなになっても自分の適量をわきまえず、飲み過ぎて暴れたり、泥酔して前後不覚になる人の品格に問題があるのだ。松本市だって三々九度の盃にサイダーをつぐわけではないだろう。報じられている通りだとしたら、つまらない規制をしたものだ。三条市はこういう点に関しては心配ない。こんな話が出れば酒好きの市長、副市長、教育長が真っ先に反対する。

2017年08月02日

県央にも療育センターを!

 発達障害の子どもが激増している。
 文科省によると全国の公立小中学校などで通級による指導を受けている児童生徒は昨年5月で9万8311人に達した。この3年間で17%増え、23年前の8倍になったという。
 発達障害にはコミュニケーションや対人関係をつくることが苦手な自閉症やアスペルガー症候群、集中することが苦手でじっとしていられない注意欠陥多動性障害(ADHD)、「読む」「書く」「計算する」ことが苦手な学習障害(LD)などがある。
 原因はよく分かっていないが、近年の研究では親のしつけや教育の問題ではなく、脳機能の障害とされている。早めに発見し、適切な治療や支援を受ければ問題行動はなくなることも分かっている。


 三条市でも全児童の9%前後に発達障害の傾向が見られるという。
 どのクラスにも2、3人は発達障害と思われる児童がいることになる。
 教師も研修を重ねて知識や意識が高まっているため、以前より発見が早くなっていることもあるが、多くの教師が増加を実感している。保育所や学校だけでは対応しきれず、医師や保健師、言語聴覚士、作業療法士などの支援も必要になっている。

 専門スタッフの治療を受けるには新潟市のはまぐみ小児療育センターなどに通わなければならない。
 県央には県立吉田病院に「子どもの心診療科」がある。専門医の診察を受けることはできるが、療育センターのように言語や作業療法士など医師以外のスタッフまでそろっているわけではない。
 「吉田病院医療提供体制等の検討会議」報告書は、同病院の早期改築が望ましいとする一方、子どもの心の診療や小児慢性疾患診療については「現行機能の維持に努める」にとどめている。発達障害の子がこれだけ増えているのに、改築後の機能強化は見送るということだ。


 燕、弥彦両市村は「早期改築」の報告を踏まえて燕市役所周辺への移転改築などを求める要望書を知事に提出した。小児科関係では「重症心身障害児の家族に対するレスパイトケア(介護を行う家族への休息支援)を実施し、県央地域の中核的機能を担うこと」を要望した。
 小児科については「現行機能の維持」だけでなく、療育センターなどを併設し、急増する発達障害の子どもたちのケアに努めてもらえないものだろうか。療育機能を強化することも「特色ある医療の提供」につながるのではないだろうか。