酒と品格
冷たいビールがうまい暑さが続いている。
ビールの本場、ドイツのミュンヘンでは「オクトーバーフェスト」というビール祭りが毎年開かれているという。200年以上続いている伝統行事で、毎年、世界各国から600万人を超えるビール好きが集まり、盛大にビールを飲み、ソーセージや鶏の丸焼きなどを食べているそうだ。
それを手本に新潟県酒造組合が新潟市で始めたのが「にいがた酒の陣」。13年目のことしもおよそ80の県内酒蔵が500種の地酒を提供、2日間で県内外から13万人が来場し、日本酒とそれに合う料理を味わった。
長野県松本市の教育委員会が、こうした酒がらみのイベントを「品格がない」と判断したと報じられている。同市教委はことしから松本城公園の利用規制を強化。飲酒や酒類販売を伴う催事は「史跡松本城の品格にふさわしくない」とし、自粛を求めることにしたという。
このため9月に松本城公園で開く予定だった「クラフトビールフェスティバル・イン松本」は中止に追い込まれた。3年前から毎年開いてきた料理と県内外の地ビールを販売するイベントで、地元の飲食店主たちが実行委員会を組織。これまで平均して2万人近い来場があった。主催者側は「飲酒後の本丸庭園や天守閣への入場は禁止」といったルールも定めていたため、酒がらみのトラブルはなかったという。
中止決定後、松本駅前の居酒屋は店頭に「品格のある方の入店をお断りします。当店では品格のない商品を取り扱っております」と書いた紙を張り出した。市教育委員や市教委職員が来たら入店を断るつもりなのだろうか。あるいは店内に入れても酒や焼き鳥など品格のない商品は庶民にしか提供せず、教育委員には抹茶と和菓子しか出さずに帰ってもらうつもりだろうか。
酒のイベントに品格がないわけではないだろう。おとなになっても自分の適量をわきまえず、飲み過ぎて暴れたり、泥酔して前後不覚になる人の品格に問題があるのだ。松本市だって三々九度の盃にサイダーをつぐわけではないだろう。報じられている通りだとしたら、つまらない規制をしたものだ。三条市はこういう点に関しては心配ない。こんな話が出れば酒好きの市長、副市長、教育長が真っ先に反対する。