火の用心
火事は怖い。
27日午後7時前、三条市本町二、曹洞宗福昌寺の本堂から出火、本堂と庫裏を全焼し、付近の寺や住宅など8棟の外壁などを焼いた。
同寺の家人から三条市消防本部に通報が入ったのが午後6時44分。消防車が現場に到着したのは5分後の6時49分。この時点ですでに本堂から炎が立ち上っており、庫裏の炎上も防ぎようがなかった。
本堂の屋根が焼け落ちた際には巨大な火柱が上がり、周辺の家屋や道路に火の粉が飛び散った。火の粉は火元から約350㍍離れた、五十嵐川付近の空き家の屋根を焦がし、通報を受けて急行した消防車が放水、消し止めた。五十嵐川を越えて嵐南側まで飛んだ火の粉もあったという。
三条の旧市域では5年前の平成26年5月7日深夜に横町一地内で住宅や店舗など10棟を全半焼、6棟を焦がす大火があった。
9年前の20年10月27日早朝には、本町一地内でスナックなどが入った雑居ビルなど6棟を全半焼、3棟を焦がす火災があった。
住宅密集地や繁華街の火災は被害が大きくなりやすい。今回は本堂が墓地に囲まれていたこと、東西南北の各方向から放水できたことなどで延焼被害を最小限に抑えることができ、人的被害もなかったが、同寺にあった石川雲蝶作の欄間などを焼失した。
退社時間帯の繁華街の火事とあって、一時期、周辺は騒然とし、渋滞も発生した。
現場近くのスナック経営者は「友だちから『あんたの店、やばいよ』と電話が来て、あわてて店に向かったらものすごい火と煙が見えた。店から大事なものを持ち出して、少し離れた友だちの店に置かせてもらったあと、ずっと消火活動を見ていた。9時すぎにようやく鎮火したみたいだったけど、なんだか疲れて、店を開ける気力がなくなったので店は休んだ」と話していた。
店から持ち出した大事なものは何だったのだろう。「ブタの貯金箱と営業許可証。貯金箱には小銭しか入っていないし、営業許可証は燃えても保健所でまたもらえるそうだけど、それしか思いつかなかったんだよね」。炎と煙を見ると、冷静ではいられないものだ。