東三条の波
JR東三条駅がことし開業120周年を迎える。
同駅は明治30年11月20日に北陸鉄道一ノ木戸駅として開業した。
明治40年に国有化され、大正15年に名前を東三条駅に変えた。
駅周辺にはビジネスホテルや旅行代理店などがあった。昭和50年には長崎屋東三条店が開店し、主婦や学生、通勤客でにぎわった。海老勢、しらつゆ、安兵衛、村さ来、海茶屋などの居酒屋がうまさと安さを競い合い、レコード店や楽器店、ビリヤード場などが若者を呼び集めていた。
長崎屋東三条店は平成2年の29億円をピークに売り上げが減少。長崎屋本体が会社更生手続きに入ったこともあり、東三条店は平成14年に閉店した。核店舗を失った商店街は衰退し、シャッターを下ろしたままの店や空き地が増えた。「三条の玄関口」は燕三条駅に代わり、東三条は小売店より学習塾と保険会社の方が目立つ地域になった。
店が減る一方だった東三条だが、最近、新規開店が続いている。2年前に佐藤屋食堂が「ブタとゆかいなレスとらん」に生まれ変わると、同年にはイタリア料理のカフェダイニング「Wood」がオープン。
ことしに入って韓国風居酒屋の「韓(はん)サラン」、テイクアウト専門の「オリオンカレー」も相次いで開店した。
一方でかつての居酒屋戦争を勝ち抜いた海老勢、ネタにこだわる老舗の銀八すし、本格的な中華料理とカレーが味わえる「華園」、一人でも気軽に寄れる「ホルモン焼うまっ」、カラオケ好きが集まる「スナックあい」など、根強い人気を誇る店も健在だ。沈下傾向が続いた東三条だが、ようやく底を打ち、グルメエリアとして復活基調に入ったように見える。
東三条駅の1日平均乗車人員は2870人。これは燕三条駅の2196人を上回り、依然として県央ナンバーワンだ。
駅が近いということは、タクシー代などを気にせずにアルコール類を楽しめるということだ。
東三条の飲食業は弥彦線の燕や弥彦、信越本線の見附や加茂、田上、やり方次第では新潟や長岡まで商圏に入ることにもなる。
飲食以外でも今月には家庭用品センター・マルチョー、5月には三条信用金庫東支店がリニューアルする。
120年に及ぶ東三条駅の歴史に波があるのは当然だ。波は下がったあとには上がる。