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2017年02月05日

運だめし

 節分会でにぎわう三条市の法華宗総本山本成寺で、豆のついでに「運だめしせんべい」も買った。
 なにが「運だめし」かというと、4つ折りにしてねじったような形のせんべいの内部に、小さく折りたたんだおみくじが入っているのだ。
 原材料は「小麦粉、砂糖、玉子、植物油脂、味噌」。香ばしくてほんのり甘い、素朴で飽きない味だ。せんべい13枚、120㌘入りで5百円。
 知人たちと一緒に袋を開けた。おみくじまで食べてしまわないようにせんべいを少しずつかじる。
 すき間からおみくじを引っ張り出すと「小吉」だった。財運は「好調が続きます。自分勝手にならないように」、健康は「ことしは激しく動いても来年は注意」、愛情は「夢続く幸せ者。老いも若きも青春しよう」とある。
 運が良いらしいと喜んでいたら、知人は「大吉」だった。「くすぶっているトラブル恐れるな。くそ度胸が金星射止める」という。別の人は「中吉」で「棚ぼた的幸運入りそう。午前中に期待」だった。

 もしかして「大吉」「中吉」「小吉」だけで、「凶」などは入っていないのだろうか。ふたつ目のせんべいも「小吉」だった。財運は「うますぎる話にのせられるな。大けがのもとだ」、健康は「顔色が良いです。心配無用」、愛情は「ことしから楽しく団らんの日が続く」という。
 知人たちは2個目も「中吉」や「大吉」だった。3種類しかないのだとすれば「小吉」は一番下だ。せんべいの名前の「運だめし」という点ではさほど幸運ではないらしいが、悪いことが書いてあったわけでもないので気にならない。

 面白いし、美味しいので次々と食べてしまう。「迷っているなら勇気とやる気です」「有力者と知り合う。弱輩の人でも尊敬を」「3日に1度は梅ぼし食べよ」「外出しても金は極力使うな。無駄が目立つ」などという注意もあった。
 これで5百円は安い。スーパーなどには卸しておらず、本成寺の社務所でしか売っていないという。
 「法華宗総本山本成寺」の朱印も押してあるので、土産にもなる。
 自分だったらおみくじに「節分会以外にも参拝すべし」「さい銭多ければご利益も多し」などと書くだろうが、本成寺のお坊様たちはそういう下品なことはしない。

2017年02月02日

どんどん減っていく宝物

 「宝物」とは宝石や貴金属など金銭的価値の高いもの、その人にとって大切なもののことだ。
 河原の石ころよりダイヤモンドやルビーが高価なのは希少価値が高いからだ。
 「子宝」という言葉もある。宝の価値が数の多少で決まるのであれば、子宝の値打ちはどんどん上がっているはずだ。
 厚労省の推計によると昨年1年間に日本で生まれた子は98万1千人だった。統計を取り始めた明治32年以降でもっとも少なく、初めて100万人を割った。ベビーブームの昭和24年、出生数は269万6千人だった。それと比べて昨年は3分の1近くに減った。
 一方で死亡は前年より6千人多い129万6千人となった。人口の自然動態は差し引き31万5千人の減。県央5市町村の全人口がすっぽりいなくなるほどの減り方だ。

 数が減って価値が上がっているはずの「子宝」だが、実際はそれほど大切にされていない。
 首都圏などでは保育所が迷惑施設扱いされ、設置断念に追い込まれている。
 「送迎の車や自転車が増えて危険になる」ことを懸念する人がいるという。朝夕の限られた時間帯の交通安全に注意すればいいだけのことだ。
 「子どもの声がうるさい」という意見もある。哲学的思索に耽っているのか、数学の難問を解いているのか知らないが、子どもの声を「うるさい」と受け止める感覚が分からない。
 電車内やスーパーでのベビーカー使用を「邪魔」「マナー違反」と批判する人もいる。微笑ましいと感じる余裕のない人たちなのだろう。

 出生数は今後も減り続け、40年後には50万人を割ると国立社会保障・人口問題研究所が推計している。
 すでに適齢期の女性が少なくなっているのだから、子どもが増える要素はない。保育所を迷惑施設、ベビーカーを邪魔者扱いするような社会で合計特殊出生率が高くなるはずもない。
 三条市の昨年の出生数も合併後最少の663人だった。彼らが小学校に入学するとき、35人以下学級でも19クラス、40人以下なら17クラスあれば間に合うことになってしまう。これで社会を維持していけるのだろうか。