県が口を出すときは応分の負担と責任を!
県議会が加茂市の自主防災組織を取り上げた。加茂市は県内の市町村のなかで唯一、自主防災組織がなく、組織率ゼロとなっている。小池清彦加茂市長は必要性を認めておらず、今後も組織化する予定はない。
県議会の総合交通・防災対策特別委員会では、新潟市や新発田市、上越市選出の県議が「加茂市では消防団が自主防災組織の役割を担っているというが、消防団と自主防災組織では役割が違う」「広域災害時には隣接地域との連携が取れないケースも出てくる」「加茂市と県の(考え方の)隔たりを放置することはできない」などと主張。加茂市に対して、県が組織化を働きかけるよう求めた。
県議たちの言い方には、県が市町村を正しい方向に導いてやるといったニュアンスも感じられる。
「加茂市長がヤボなことを言っているから、県はちゃんと指導しなさい」と言わんばかりだ。県にそんな権限はない。災害対策基本法は、自主防災組織の充実や住民の自発的な防災活動の促進は市町村の仕事と位置付けている。その市町村を助け、総合調整を行うのが県の役割だ。県に調整権はあっても指揮監督権はない。
住民に選ばれて加茂市民の生命、財産を守る役割を担っている加茂市長が「消防団こそ自主防災組織」「住民による防災組織を新たに作り、さまざまな役割を担わせるのはかえって危険」と主張している。
これを変えさせる権限など県にはない。
新発田や上越の県議は加茂市の実情も知らず、加茂で災害被害が発生しても何の責任も取らない。
小池市長もこういう県議たちに文句を言われるようなスキを見せないようにすべきだ。
災対法は、市町村長は自主防災組織の充実に努めなければならないと定めている。一方で同法は自主防災組織を「住民の隣保協同の精神に基づく自発的な防災組織」としか定めていない。
加茂市には防災対策に熱心な区もある。情報伝達や避難を担う区を自主防災組織とみなし、消火や救出、救護は消防団が担うという役割分担型自主防災が加茂スタイルであり、災対法上も問題はないと主張すれば、他地域の県議は口出しできないのではないか。
それでもまだ口を出してくるなら、それ相応の負担と責任を県に担ってもらえばいい。