21世紀型の子育て
私たちは人類史上、もっとも変化の激しい時代を生きているのだそうだ。
1200年前の平安時代と、200年前の江戸時代の生活はそれほど変わっていないが、江戸時代と現代ではまったく違う。
社会の変化が遅い時代は先人の知識や経験が役立つので経験豊富な年長者は尊敬される。
親は自分が教わってきたことを子に教え、子は親の指導に従う。
現代のような変化が早い時代は前の世代の経験が通用しなくなる。発明や技術革新などに伴って仕事のやり方も変われば、生活のパターンも知恵も変わってくる。
親や祖父母が自分の知識を子どもに伝えようとしても「古い!」と言われてしまう。子どもから見ればパソコンやスマートフォンなどのことを質問してもチンプンカンプンなおとなでは尊敬しにくいというわけだ。
だから、いまほど子育てが難しい時代はないのだと東大名誉教授で白梅学園大学学長の汐見稔幸氏が説いている。
汐見氏はどれみ福祉会が29日に三条市中央公民館で開いた公開子育て講座で講演した。
人間の子どもは大昔から「仕事の手伝いをする」「子ども同士で存分に遊ぶ」「家族団らんで疲れをいやす」という三つの行為を繰り返すことによって育ってきたのだという。
それが近年、3つともなくなりつつある。
仕事や家事の手伝いをすることもなければ、異年齢の子ども集団を作って屋外で創意工夫して遊び回ることもなくなった。
その結果、親は子どもを言葉だけでしつけようとして過干渉、過評価となり、子どもはお手伝いや遊びで得られた達成感や役立ち感を得にくくなっている。
親子ともにストレスがたまりやすい生活を送っているのだという。では、現代はどういう子育てをすべきなのか。
汐見氏は「おとなの好みを押し付けるのではなく、子どもがやりたいことを自分で見つけ、自分で決め、自分でやる環境をできるだけ作ってやること、子どもの自己決定を保障してやることで、子どもの自尊感情や個性が育つ。ほめるのではなく認める、させるのではなく見守る育児が二十一世紀型だ」と説いた。
子どもが小さいころに聴いておけばよかった。