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偉大なる「お」

 「おビール」という言い方が広まっているようだ。
 飲食店の女性だけでなく、お客の女性まで「おビール下さい」などと注文している。
 接頭語の「お」は敬語のなかでも分類が難しい。「お名前」のように相手のものや行為について、相手を立てるために使う場合は尊敬語になる。
 同じように相手を立てるためであっても相手ではなく、自分の行為に「お」をつける「お届けする」などは謙譲語になる。「先生のお手紙」は尊敬語、「先生へのお手紙」になると謙譲語というのだからややこしい。
 「お酒」や「お魚」など単にものごとを美化するための「お」もある。かつては丁寧語とされていたが、文化庁は平成十九年にまとめた「敬語の指針」で従来の丁寧語を丁寧語と美化語に分け、「お酒」などを美化語に分類した。
 「お魚」など和語には「お」、「ご祝儀」など漢語には「ご」を使うことが原則で、以前はビールのような外来語に「お」や「ご」はつけなかった。

 ビールは「お」を付けられるまでに出世したが、生ビールは出遅れており、まだ「お生ビール」とは呼ばれない。ウイスキーやコーラ、ウーロン茶などもまったく出世できずにいる。
 ジンライムに「お」を付けたら加齢臭が漂ってきそうだし、マンゴージュースに「お」を付けたら下ネタと間違えられてしまいそうだから、万年ヒラは決定的だ。
 それに比べて和語の酒や茶は「お」を付けた方が呼びやすい。「おビール」はまだ女性が使っているだけだが「お茶」や「お酒」は性別を問わずに使われているだけ格上だ。
 飲み物界の出世頭は「お神酒」だろうか。
 「お」を取ったら女性の名前かメガネ店と間違えられる。
 いや、もっと上がいた。
 みそ汁の別名、おみおつけだ。漢字で書くと御御御付。接頭語とは違うものの、「お」の三段重ねはすごい。NHK連続テレビ小説『あまちゃん』なら「じぇじぇじぇ」、チョーびっくりとなる。
 無知無教養を売り物にするおバカタレントや、肥満体系が売りのおデブ芸人もいる。「お」が付くと言葉のマイナスイメージが裏返るのだから、「お」は偉大だ。だからといって「おっさん」と呼ばれるのは嫌だが。

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