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2013年06月07日

公民の館

公民館、集会所、コミュニティセンターなど、地域にはさまざまな集会施設がある。
三条市には本館、分館合わせて15の公民館がある。公民館は他の集会施設と違い、社会教育法に事業や運営方針などが定めてある。
 それがいかにも「お役所的」で、なかなか面倒だ。
 法律で義務付けられているのが定期講座の開設や講演会、展示会、体育・レクリエーション集会などの開催、図書などの整備。禁じられているのが営利目的の事業を援助すること、特定の政党の利害に関する事業や特定の候補を支持すること、特定の宗教や教団を支持、支援すること。
 違反した場合は1年以下の懲役か3万円以下の罰金に処せられることもある。

 どこまでが営利事業なのか、その線引きは難しい。三条市中央公民館では以前、講演会の講師であっても館内で著書を販売することは営利事業とみなして禁じていた。いまは講演会の資料として認めている。
 ピアノ業者が公民館でピアノ販売やピアノ教室を開くことは禁じているが、その業者が主宰するピアノ教室の生徒発表会を開くことは認めている。
 儲けるための寄席の地方興行は認められないが、生涯学習のための落語会なら認めている。
 理屈のつけ方次第で抜け道ができたり、できなかったりするわけだ。

 以前はこうした社会教育法の制約を我慢すれば、文科省の財政支援を受けられた。昭和56年に開館した中央公民館は、建設費6億7000万円のうち1億500万円を同省が補助した。こうした補助は国の財政難に伴ってなくなった。
 三条東公民館は平成22年に総事業費約3億6000万円で開館したが、国庫補助はなかった。
 財政支援もないのに社会教育法の規制だけ受けているのは「制約は市民の生涯学習活動を守るためのもの。国庫補助がなくても社会教育の推進のために公民館のままでいた方がいい」という考え方だ。
 「市民の税金で造った施設なのだから規制を撤廃し、市民や企業、団体がもっと自由に使える施設にした方がいい」という考え方もある。
 ちなみに「公民」は政治に参加する権利や義務を持つ民という意味だ。戦後、日本の民主化政策の一環として各地に整備されたため、公民の館などという変な名前が付けられたようだ。