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2013年03月01日

キラキラネーム

 二十年前、友人が長男を「健人(けんと)」と名付けた。当時、外国人風の名は珍しかった。スーパーマンの主人公はクラーク・ケント。
 「変身する前のケントは格好悪いぞ」などと冷やかされても友人はひるまなかった。
 明治の文豪、森鴎外も子どもを「於菟(おと))」「茉莉(まり)」「杏奴(あんぬ)」「不律(ふりつ)」「類(るい)」と名付けたという。
 「鴎外は我が子が将来、外国で暮らすようになったとき、外国人からも覚えられやすいようにと欧米風の名を付けた。うちの子も将来、世界で活躍するようになるかもしれない。そのときに困らないためだ」と親バカぶりを発揮していた。
 健人は名門大学に進学した。トンビがタカを産んだと驚いていたら、やはり親の子。クラブ活動に熱中しすぎて、なかなか卒業できずにいる。世界に羽ばたくのはまだ先らしい。

 赤ちゃん本舗の調査によると、昨年生まれた子でもっとも多かった名は男が「悠真(ゆうま)」、女は「結菜(ゆうな)」だった。男は他に「蓮(れん)」「大翔(ひろと)」「颯太(そうた)」「陽翔(はると)」、女は「陽菜(ひな)」「結愛(ゆあ)」「凛(りん)」「愛莉(あいり)」などが上位に並んだ。いまでは健人は珍しくもなんともない、ごく普通の名前になっている。

 最近はもっと奇抜な名前が増えた。「希空(のあ)」「永久恋愛(えくれあ)」「心愛(ここあ)」「澄海(すかい)」「礼夢(らいむ)」などだ。
 こうした名前をキラキラネームとかDQN(ドキュン)ネームと呼ぶのだそうだ。
 親が音楽好きなのだろうか、「美勇士(みゅうじ)」「連夏江(れげえ)」「蓮音(れんおん)」「飛和音(ぴあの)」などがある。
 アニメの影響か、「光宙(ぴかちゅう)」「天空(らぴゅた)」「流布伊(るふぃ)」などもある。
 「在波(あるふぁ)」「紅多(べーた)」などのギリシャ文字、「羽愛(はわい)」「碧海(あてね)」「朱李埜(とりの)」など海外の地名もある。
 「沙利菜愛利江留(さりなありえる)」まで行くと、もうほとんど落語「寿限無」の世界だ。親の趣味に振り回される子どもは大変だ。