魚沼基幹病院 着工
魚沼基幹病院(仮称)の新築工事が始まった。
南魚沼市浦佐の市立ゆきぐに大和病院敷地内に鉄筋コンクリート九階建て延べ床3万3064㎡を建てるもので、整備費は約221億円。県が整備し、財団法人新潟県地域医療整備推進機構が運営する、いわゆる公設民営方式となる。
ベッド数は救命救急センターの14床を含む454床。スタッフは医師70人から90人、看護師380人で、診療科は総合診療科から内科、神経内科、小児科、心臓血管外科、脳神経外科、産婦人科などまで21科を予定。事故や急病で危険な状態にある患者を受け入れる救命救急センターに加え、地域がん診療連携拠点病院、地域周産期母子医療センターとしての機能や、心疾患、脳卒中などに対応する高度先進医療を担う。
地域医療を支える医師の研修、育成も行う計画で、高度医療の提供などは新潟大学と提携している。
県内には7つの医療圏がある。このうち下越には県立新発田病院、新潟には新大病院と新潟市民病院、中越には長岡日赤病院、上越には県立中央病院にそれぞれ救命救急センターがあり、危険な状態の患者を地元で治療できる体制ができている。
3年後に魚沼にもできると、救命救急センターがないのは県央と佐渡だけとなる。
救急患者を地元で診ることができず、圏域外まで搬送している率が県内でもっとも高いのは県央。魚沼の10・9%に対して県央は19・3%。5人に1人は地元の病院で診ることができず、新潟や長岡まで運ばれている。
にもかかわらず、県央より先に魚沼に救命救急センターを供えた基幹病院ができる。広域的な医療体制整備を担当するのは県だ。泉田裕彦知事は4年前の知事選のマニフェストで「医師および看護婦の確保と魚沼・県央基幹病院等をはじめとする地域医療ネットワークの整備を進めます」と約束したが、県央に関しては三条、燕、田上、弥彦の四市町村長が三条燕インター周辺への設置を求めたのに対し、加茂市長は県立加茂病院を移転改築して救命救急センターを併設すべきと主張。県が意見調整をする間に四年が過ぎ、事業が具体的に進むことはなかった。
知事が3期目に向けた公約で県央の救命救急センターをどう位置付けるかがポイントになる。