けっこう軽だらけ
環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に日本が参加することについて、米通商代表部(USTR)が意見を公募した。いわゆるパブリックコメントだ。
昨年12月7日から今月13日までの1か月余に寄せられた意見は100件以上。米国内の穀物や食肉などの業界団体は「日本は除外品目なしで参加すべき」と包括的な農業市場の開放を求め、保険業界は日本郵政のかんぽ生命保険について「国有保険が民間競争をゆがめている」などと主張したようだ。
日本政府との本格的な事前協議開始にあたり、米国内の意見を確認するために公募したものだが、日本のJA全中までが「米政府は日本の交渉参加を認めるべきではない」といった意見を提出したという。国内の対抗勢力と戦うために米国を利用する、いわゆる「ガイアツ」頼みの手法を、日本は官僚だけでなく農協まで使うようになってしまった。
米自動車業界も日本のTPP参加に反対する意見を提出した。日本の農協と、米国の自動車業界の意見が期せずして一致したわけだ。米自動車業界は日本の参加を認める前に、日本が米国車の輸入拡大に向けて数量を示す複数年枠を設けるべきと主張しているほか、日本独自の軽自動車規格についても「日本メーカーだけに恩恵がある。市場の30%を占めており、もはや合理的な政策ではない」と廃止を求めている。
言いたいことを言い合うのが交渉だとしても、米自動車業界の言い分はあまりに身勝手だ。日本の道路事情には軽自動車が合っている。エコの観点からも小さくて軽い軽自動車の方が、ガソリンを大量消費するアメ車より優れている。そもそも外国メーカーであっても、サイズと排気量が規格内であれば軽自動車扱いになる。事実、ドイツ車「スマート」の排気量660㏄以下のモデルは軽自動車登録できた。
普通車の税や保険を軽自動車並みに引き下げるというならまだしも、軽自動車の優遇措置をなくして普通車並みに引き上げるなど、とんでもない。米自動車業界はそのうち左側通行も非関税障壁だからイギリス連邦や日本は世界で多数派となっている右側通行に改めろなどと言い出すのではないだろうか。