校歌、不幸か
第93回全国高校野球選手権大会では期待通りの熱戦が繰り広げられている。新潟代表の日本文理は初戦で西東京代表の日大三高に敗れた。以前は負けた学校の校歌演奏はなかった。「甲子園で校歌を聴きたかったです」と涙ぐむのが、敗戦の弁の定番だった。
いまは試合途中の2回に両校の校歌が流れる。「負けてもちゃんと校歌は聴けますから」という主催者の配慮なのだろうか。平等に敏感な朝日新聞らしい。お陰で日本文理の校歌も聴けた。
「越後の平野蒼穹(そら)はるか、夢呼ぶ風に流れあり、青雲万里翔ぶ彼方、四季の試練を越え行かん、ここに吾れ在り日本文理高校」。蒼穹をそらと読ませ、「飛ぶ」ではなく「翔ぶ」と書く。昭和59年開校の同校らしい。
三条高校校歌の「風空嚢を翻し、説は愚人を驚かす」などというさっぱり意味が分からない歌詞と比べると、文理ははるかに今風だ。と思っていたら甲子園出場校にはまだまだ上がいた。
愛知代表の至学館は、校歌に「夢追人」という題名が付いている。歌詞は「一番高い所に登って一番光る星を掴んだ、一番辛い道を選んで一番強い心をまとった、夢を渡る風が吹いた、カシオペアが近くに見えた、夢を追い続けた、そしてここまで来た、でもどうしてかな、熱い涙が止まらない、うつむきかけた時、君の顔が見えた、差し出された白い腕が翼に見えた」。これに合わせたメロディーも当然、ポップス系だ。インターネットでは大好評のようで、動画投稿サイトでは何十万回も再生されている。至学館は初戦で敗れたため今大会ではもうこの校歌は流れない。
校歌らしくないという点では群馬代表の健大高崎高校も同様だ。いきなり「Be together!」で始まる歌詞は「茜色の雲に向かって空を行く白い鳥の群れ、あの一羽、つぎの一羽も翼に風をまとってはばたく、Be together! きらめく翼支える空よ、Be together! 鳥を彼方に連れて行ってよ、Wow wow あの風のようにきみのココロに寄りそって飛べたら、ああ我らの健大高崎、高崎高校」と続く。途中に「Wow wow」が入っている校歌は全国でも同校だけではないだろうか。
入学式で「Be together」などと言われたら、かなり引きそうだ。卒業式でみんなで「Wowwow」などと歌うのも照れくさそうだ。母校がオーソドックスな校歌でよかった。