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2011年08月29日

グラウンド復旧

 新潟・福島集中豪雨災害で水没した三条・燕総合グラウンドの整備作業には、延べ1700人を超えるボランティアが協力した。三条、燕両市の野球、陸上、サッカー、テニス、ソフトボール、グラウンドゴルフ、凧協会などの選手や関係者、さらには県央内外から駆けつけた個人ボランティアなどだ。
 年齢層はスポーツ少年団の小学生から中高校生、6、70代まで幅広い。泥が乾き始めた8月3日から作業を始め、お盆の13日には最多の457人が参加。16日までの参加者累計は1773人に達した。
 普段はおとなしい表情しか見せない信濃川が、濁流と化したときの力はすさまじい。グラウンド内にあった鉄製のサッカーゴールは恐竜に体当たりでもされたかのようにグニャリとたわみ、1基は1㌔以上、下流の石上大橋付近まで流された。グラウンド内のフェンスやベンチには大小さまざまな流木がからみ、グラウンドには厚さ10㌢以上の泥が堆積した。乾いた泥は分厚いチョコレートやチーズのようになる。大きな塊は手で、細かなものはスコップでトラックの荷台や一輪車に投げ入れ、集積場所にまとめた。
 陸上競技場脇にあった、ねじ曲がったサッカーゴールの周囲には、大量の堆肥のようなものが溜まっていた。隣には汲み取り式のトイレもある。グラウンドが水没したとき汚物も流れ出たかもしれない。グラウンド内の泥は乾いているのに、こちらは13日になっても乾かない。近付くとかなり臭い。トイレの汚物にたかるような虫たちもいる。さすがにどのボランティアも手をつけたがらなかったが、16日になってサッカーチームの指導者や中学生たちが山を崩し、チームの指導者が運転するダンプの荷台に積み込み始めた。
 堆肥のなかからはミミズやカエルにとどまらず、トカゲやヘビまで出てきた。中学生たちは「くせー」「わー、きもちわりー」と叫びながらも作業を続けている。荷台に投げたはずの堆肥がダンプの反対側にこぼれ、頭からかぶった生徒は「ぎゃー、きたねー」と騒いでも、作業はやめようとしない。男性指導者たちはもちろん、若い母親も臭いや虫を嫌がらない。堆肥の山をわずか半日で片付けた。
 水害は大きな爪あとを残した。死者を出したうえに住宅が壊れ、田畑も被災した。嫌なことばかりだが、個人的にはボランティアに励む中学生チームの姿に感動する機会を得た。ざまみろ、水害!

2011年08月17日

争点のひとつは消費増税

 ポスト菅をめぐり、消費税増税が争点のひとつとなりつつある。
 菅政権は年金など社会保障制度の財源として、消費税率を2010年代半ばまでに段階的に10%まで引き上げる方針を決めている。ポスト菅有力候補の野田佳彦財務相(54)はこの方針を守ろうとする増税派。社会保障と税の一体改革を「覚悟をもって実現していきたい」と決意を示している。野田氏の対抗馬となりそうな馬淵澄夫前国交相(50)や小沢鋭仁元環境相(57)などは「いまは増税の時期ではない」と主張しており、増税には慎重という。
 大手マスコミの調査では、国民の多数が消費増税に理解を示していることになっている。朝日新聞が7月に行った世論調査では、消費税を段階的に10%に引き上げる政府方針に賛成、反対がともに45%。読売新聞が8月に行った調査だと賛成が47%で、反対の46%をわずかに上回っている。日本の財政赤字を憂い、社会保障のための安定した財源を確保するためならやむを得ないと考えている人が多いのだという。
 本当だろうか。「現実を見ずに何でもかんでも反対したり、自分の欲得だけで反対する無責任な人間と思われたくない」から賛成しただけの人もいるのではないだろうか。
 マクロ経済政策の柱に増税をすえて不況を脱出しようとしたり、増税を中心に財政再建を図ろうとして成功した国はほとんどないという経済学者もいる。いくつかの施策のひとつが増税という例はあっても、最初に増税ありきでは歳出カットが不十分になる。例えば政府はNTTの株式売却収入などの3000億円をベンチャー支援と称して企業にばらまいた。戻ってきたのはわずか5%、200億円以下。残りはドブに捨てた。こういうことを繰り返している政府が増税しても、ばらまきや無駄遣いが増えるだけだ。
 とくに日本はいまデフレ状態にある。これを解消しなければ景気回復はありえず、増税などしたら日本経済はさらにボロボロになりかねない。バブル期、日本の税収は60兆円あった。いまはたった40兆円だ。景気次第で3分の1も減る。税率を上げても景気が落ち込めばどうにもならない。
 資産の売却や公務員の削減、時代に合わない各種補助金の廃止など、政府がやるべきことはまだたくさんある。増税論議はその後でいい。昔と違って財務省の言いなりになったからといって、国力は回復しない。

2011年08月12日

校歌、不幸か

 第93回全国高校野球選手権大会では期待通りの熱戦が繰り広げられている。新潟代表の日本文理は初戦で西東京代表の日大三高に敗れた。以前は負けた学校の校歌演奏はなかった。「甲子園で校歌を聴きたかったです」と涙ぐむのが、敗戦の弁の定番だった。
いまは試合途中の2回に両校の校歌が流れる。「負けてもちゃんと校歌は聴けますから」という主催者の配慮なのだろうか。平等に敏感な朝日新聞らしい。お陰で日本文理の校歌も聴けた。
 「越後の平野蒼穹(そら)はるか、夢呼ぶ風に流れあり、青雲万里翔ぶ彼方、四季の試練を越え行かん、ここに吾れ在り日本文理高校」。蒼穹をそらと読ませ、「飛ぶ」ではなく「翔ぶ」と書く。昭和59年開校の同校らしい。
 三条高校校歌の「風空嚢を翻し、説は愚人を驚かす」などというさっぱり意味が分からない歌詞と比べると、文理ははるかに今風だ。と思っていたら甲子園出場校にはまだまだ上がいた。
 愛知代表の至学館は、校歌に「夢追人」という題名が付いている。歌詞は「一番高い所に登って一番光る星を掴んだ、一番辛い道を選んで一番強い心をまとった、夢を渡る風が吹いた、カシオペアが近くに見えた、夢を追い続けた、そしてここまで来た、でもどうしてかな、熱い涙が止まらない、うつむきかけた時、君の顔が見えた、差し出された白い腕が翼に見えた」。これに合わせたメロディーも当然、ポップス系だ。インターネットでは大好評のようで、動画投稿サイトでは何十万回も再生されている。至学館は初戦で敗れたため今大会ではもうこの校歌は流れない。
 校歌らしくないという点では群馬代表の健大高崎高校も同様だ。いきなり「Be together!」で始まる歌詞は「茜色の雲に向かって空を行く白い鳥の群れ、あの一羽、つぎの一羽も翼に風をまとってはばたく、Be together! きらめく翼支える空よ、Be together! 鳥を彼方に連れて行ってよ、Wow wow あの風のようにきみのココロに寄りそって飛べたら、ああ我らの健大高崎、高崎高校」と続く。途中に「Wow wow」が入っている校歌は全国でも同校だけではないだろうか。
 入学式で「Be together」などと言われたら、かなり引きそうだ。卒業式でみんなで「Wowwow」などと歌うのも照れくさそうだ。母校がオーソドックスな校歌でよかった。

2011年08月08日

災害は忘れぬうちにやってくる

 「災害は忘れたころにやってくる」というが、忘れぬうちにやってくることもある。
平成16年の7・13水害からわずか7年。再び「五十嵐川決壊」の恐怖を味わうことになろうとは思っていなかった。
 7・13水害では三条市内だけで9人が死亡、1人が大けがをし、7511世帯が被災。住宅など1万935棟が壊れたり、水に浸かった。被害総額は商工業や農業、土木施設など合わせて289億円に達した。
 これを教訓に、国県や市は三条市本町6地内の信濃川合流点から諏訪地内までの五十嵐川3・9㌔を363億円で改修したほか、上流の西大崎地内から島潟地内までの4・3㌔も27億円で改修した。五十嵐川水系の大平川についても、長沢地内の1・2㌔を7億円で改修した。
合計397億円もの巨費を投じ、「市民の安心と安全」を確保したはずだった。一昨年7月の水害復興記念式典でも、国定市長は「これからも災害に強い、安全で安心のまちづくりにまい進する」と誓った。にもかかわらず30日に五十嵐川は江口地内、大平川は荻堀地内の堤防が決壊した。大面川も東光寺地内で破堤した。いずれも7・13水害後に改修した堤防とは別の場所だった。
 今回の集中豪雨はかつてない規模だった。7・13水害と比べると、今回は降り方も降った量も違う。笠堀ダムの記録では、7・13水害のときに強烈な雨が降ったのは13日朝から昼過ぎまでの間だった。1時間当たり50㍉を超えたのは午前8時の71㍉と9時の73㍉の2回で、12日の降り始めから14日までの累計降雨量は491㍉だった。
 今回は、まず28日午後10時に38㍉降り、半日後の29日午前11時から午後7時までの8時間にわたって強烈な雨が降り続けた。30㍉前後から76㍉までの豪雨で、累計降雨量はここまでで541㍉。すでに7・13水害を50㍉超えている。
さらに30日未明から朝にかけて30㍉前後、ときには61㍉の強烈な雨が降り続いた。総降雨量は797㍉。これは7・13水害時の約1・6倍にあたる。7・13水害が強烈なパンチ1発だったのに対し、今回はジャブのあとに強烈なパンチが2発続いたようなものだった。
 今回、破堤した箇所はもちろん改修しなければならない。同時に今回のような、かつてない規模の豪雨に備えるには、本格的な内水対策が不可欠であることも示した。
とくに嵐南地区はひどい。嵐北もひどいが、とりあえず29日のうちに、水はほぼ引いた。嵐南は30日になってもあちこちが水浸しで、破堤した下田地域の水が引いた後も嵐南には水が残っていた。
 今回はいつもの新通川、島田川、間野川に加え、貝喰川まで暴れた。県は昨年度、新通川と島田川の河床掘削を行ったが、今回のような豪雨になると新通川は河床掘削ではどうにもならない。抜本的な対策を講じない限り被害が出続けることがはっきりした。