迷惑電話
夕方から夜にかけて自宅に学習塾や家庭教師を派遣する会社、教材販売会社から頻繁に電話がかかってくる。相手は我が家の中学生の名前を知っている。「○○さんのお母さん、いらっしゃいますか?」。いないと答えると相手は電話を切る。後日、またかかってきたときに母親に替わると、家庭教師の説明を始めた。最初に電話に出た父親には説明すらしようとしない態度に腹が立つ。この父親は子どもの教育に関心がなさそうだと判断したのだろうか、あるいは家庭教師を雇うかどうかを決める権限を握っているのは母親だと見抜いたからだろうか。いずれにしても失礼な奴だ。
番号非通知の電話は受け付けない設定になっているので、相手の電話番号は分かる。市外局番025の新潟市などからの電話が多い。塾や家庭教師を断ると「お母さんは子どもさんの成績を良くしたいとは思わないのですか」などと非難されるらしい。電話を切った妻は「余計なお世話」と怒っている。「早くお風呂入りなさい!」などと弟がとばっちりを食うこともある。
東京や埼玉など5都県はことし3月、学習教材販売会社3社に対して特定商取引法に基づく業務停止命令を発した。これらの業者は電話で「良い勉強方法があるので説明を聞いてみませんか」などと誘い、承諾した家庭を訪問。購入契約を結ぶまで3、4時間にわたって勧誘を続け、高額教材を売りつけていた。九州では同じ手口で「買ってくれるまで帰りません」と6時間粘った業者もいる。
個人情報保護法が平成17年に施行された。小中学校のPTAが連絡網を作るのにも、保護者の了解を得なければならない面倒臭い世の中になったのに、肝心のプライバシーはまったく守られていない。受験生の名簿が売買されているのだろう、受験生のいる家庭には教材販売会社などから名指しで電話がかかってくる。
勧誘電話に慣れてきた妻は最近、機嫌の良いときは「うちの夫も家庭教師なんですよ。商売敵ですねー」「うちも学習塾なんですよ」などとうそをついて遊んでいる。相手はすぐ電話を切るらしい。