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首長パンチ

 「悪天続きでやる気が出ない」「寒くて何をするのも億劫だ」という人にお薦めの本がある。今月7日発刊の『首長パンチ』(講談社)だ。著書は佐賀県武雄市の樋渡(ひわたし)啓祐市長。現職市長の本といっても、行政用語を並べた小難しい話ではない。自身の波乱万丈の歩みをつづった自叙伝で、常に前向きな樋渡氏のパワーが詰め込まれており、読み終わったときには元気が沸いてくる。
 樋渡氏は総務省出身で、国定勇人三条市長の4年先輩。入省後、しばらく同期のトップを走っていたが、上司に逆らって沖縄に左遷されてしまう。キャリア官僚としては大きな挫折だが、樋渡氏はすぐに立ち直り、沖縄振興策などに取り組む。それが評価されて内閣官房に呼び戻されたが、書類相手の仕事を苦痛に感じるようになる。
「僕が沖縄で学んだことの中でいちばん大切なこと、それは、人は人と人の間に入っていかなければならないということだ。人と人の間で生きていくからこそ、人間なのだ」と再度、市民と直接かかわる仕事を希望し、大阪府高槻市に出向する。
 高槻市でもユニークな実績を積む樋渡氏に、出身地の武雄市から市長選に出馬してほしいと要請される。「無投票になる見込みだから」と説得されて武雄市に戻ると、実は強力な対立候補がいて樋渡氏は泡沫候補扱い。話が違うと戸惑いつつも、「なんくるないさ~(なんとかなるさ)」と開き直り、必死で戦った結果、当時36歳で全国最年少の市長となった。
 武雄市では「佐賀のがばいばあちゃん」のテレビロケ誘致に成功したほか、イノシシ肉やレモングラスを新しい特産品として売り出すなど、新しい発想で次々と新事業を展開した。樋渡氏のセンスと行動力、人を巻き込むうまさと情報発信力で武雄市はどんどん変っていくが、市を二分する問題が急浮上する。前市長が国から譲り受けた市民病院が巨額の赤字を抱え、放置すれば市の財政破たんを招きかねない状況になっていたのだ。
 樋渡氏は市民病院の民営化を決断したが、これに医師会が反発。反対運動が起き、反樋渡派の自民、共産両党市議らが相乗りし、ついには市長リコール運動に発展。樋渡氏は先手を打って辞職し、市長選に挑む。
 樋渡氏のキャラクターなのか、文章の巧みさゆえか、お堅い行政の話のはずが、まるで冒険小説を読んでいるような気分になる。
 あとがきには樋渡氏の仲間として国定三条市長の名前も出てくる。確かに共通点は多い。選挙までの展開や、選挙戦での批判の浴び方などはそっくりだ。国定市長も自分の体験と重ね合わせながらこの本を読んだようだ。


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