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「龍馬伝」と「竜馬がゆく」

 中学生のころから坂本龍馬が好きだった。「歴史」の試験はまるきりダメだったが、龍馬が活躍した幕末に関しては、優等生に負けないくらい詳しかった。龍馬ファンを自認していたのだが、NHK大河ドラマ「龍馬伝」を見て気が付いた。自分は司馬遼太郎の小説「竜馬がゆく」のファンなのであって、真の龍馬ファンではないようだ。「龍馬伝」の龍馬がどうにも好きになれないのだ。
 「竜馬がゆく」と「龍馬伝」では、龍馬の人物像がまったく違う。「竜馬がゆく」の龍馬は不潔でずぼら、普段は無愛想だが、話し始めると愛嬌がある。なかなか火がつきにくいが、いったん燃え出したら豪快な炎を吹き上げる心を持つ、スケールの大きな人物として描かれている。「龍馬伝」のようなスマートさや、ちょっとしつこいくらいの優しさはない。
 「龍馬伝」は岩崎弥太郎が龍馬を回想する形で物語が進行する。弥太郎は龍馬を嫌っているが、龍馬は弥太郎を慕ったり、かばったりする。「竜馬がゆく」では、龍馬も弥太郎が嫌いだ。龍馬は顔を見れば弥太郎を愚弄し、弥太郎は龍馬の前ではいじけて音も出せない。
 好きじゃないと言いながらも「龍馬伝」で楽しみにしていた場面がある。伏見の寺田屋で捕吏に囲まれるシーンだ。「竜馬がゆく」では、後に龍馬の妻となるおりょうが風呂に入ろうとして捕吏に気付き、裸のまま二階の龍馬たちのいる部屋に駆け上がって「坂本様、三吉様、捕り方でございます」と叫ぶ。龍馬がおりょうに階下に行くよう命じても、おりょうは自分だけ逃げることを断る。龍馬が笑って服を着るよう命じると、ようやくおりょうは自分が裸でいることに気付き、捕吏たちを突き飛ばして階段を下りる。着物を着るや一目散に薩摩屋敷まで走り、急を知らせたという有名なエピソードだ。
 NHKは大河ドラマでこの場面をどう演出するのか、ひそかに期待していた。その放送が9月5日だった。おりょうは風呂場で捕吏に気付いた。急いで二階の龍馬たちにそれを知らせる。「坂本様」と叫ぶおりょうは・・・ 浴衣を着ていた。なんだ、つまらない。由美かおるの入浴シーンのない「水戸黄門」のようなものではないか。
 「龍馬伝」の視聴率は、いまのところ昨年の「天地人」、一昨年の「篤姫」を下回っているようだ。海援隊の設立や船中八策の立案など、龍馬の大仕事はまだまだ残っている。ばん回できるだろうか。

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