« ダメ出し選挙 | メイン | 早寝、早起き、朝カレー? »

住民を守る医療 & 医療を守る住民運動

 市民運動は大別してふたつに分けられる。ひとつは行政や大企業などに何かを働きかける運動。もうひとつは他に働きかけるのではなく、自分たちの行動を変える運動。多くは前者。「怒り」に火をつける反対や、公共に利益供与を求める陳情の方が住民パワーを結集しやすいからだろう。
 後者の代表的な例が兵庫県の「県立柏原病院の小児科を守る会」。3年前、同病院の産科と小児科が閉鎖の危機にあると知った地域の母親たちが結成した。当時、同病院小児科の医師は2人。うち1人が院長就任のため異動することになり、残る1人は「これ以上の負担に耐えられない」と退職を決意した。
 最初に上がった声は病院や行政に対する不平や不満だったが、徹夜が続く小児科医の過酷な勤務実態を知ると、母親たちは医師にこれ以上「頑張れ」と言えなくなった。そこで同病院の医師増員を求める署名運動を行った。ここまでは一般的な市民運動。冒頭の分類で言えば前者だ。
 しかし行政、なかでも県の対応は遅い。待っている間に医師がいなくなってしまう。人任せでは解決しない。自分たち自身で医師が働きやすい地域を作るしかないと母親たちは運動方針を転換した。
 医師に過酷な勤務を強いている一因が「コンビニ受診」。軽い症状なのに「翌日の日中は都合が悪い」などと自分の都合で夜間外来を受診する人が多かった。かといって開業医の受診も控え、症状が悪化してから柏原病院に駆け込まれるのも勤務医の負担増になる。守る会は「コンビニ受診を控えよう」「かかりつけ医を持とう」「お医者さんに感謝の気持ちを伝えよう」の3つをスローガンに掲げた。
 街頭でビラを配ってスローガンに理解を求めたほか、子どもが熱を出したり、咳き込んだときの基本的対応を紹介するパンフレットも作った。小児科外来の窓口には「ありがとうポスト」を設置、医師への感謝のメッセージを書いてもらっている。
 これらの運動の結果、同病院の小児救急患者はほぼ半減した。母親たちの運動に感動した他県の小児科医が自ら希望して同病院に着任するなど、いまのところ医師も確保できている。守る会はいま、小児科だけではなく、地域医療全般を守る活動を続けている。
 私たちを病気やけがから守ってくれているのが地域医療。一方通行の関係ではなく、私たちも地域医療を守るという意識が必要だ。県央では救命救急センター設置に向けた議論が始まっている。医療関係者だけでなく、一般住民の意識も大切だ。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://sugihit.com/cgi/mt/mt-tb.cgi/146

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)