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時代遅れの公選法

 鳩山政権はホームページの更新など、インターネットを活用した選挙運動を解禁する方針を固めたという。原口一博総務相が解禁に向けた問題点の整理を総務省に指示した。小沢一郎民主党幹事長もネット利用や戸別訪問の解禁など、選挙運動の自由化に向けた公職選挙法改正が必要との考えを示している。
 他国ではネットの選挙活用は常識となっている。米国では平成12年の大統領選で600万人のアドレスリストを確保した共和党のブッシュ陣営が選挙期間中、効果的なメールを発信し続けたことで当選した。昨年の大統領選では民主党のオバマ陣営がネットでメッセージを発し続けたほか、大量の小口献金をネットで集め、活動資金を調達した。韓国でも平成15年の大統領選では盧武鉉(ノ・ムヒョン)陣営のホームページに1日40万件のアクセスと7000件の書き込みがあったという。
 日本の公選法は「文書図画の頒布」を制限している。法定のちらしやポスター以外の文書を不特定多数に配ると選挙違反になる。総務省はネット上での文書公開もこれにあたり、ブログを含めて選挙期間中の更新は認められないとしてきた。ネットを活用すれば、さほどの経費をかけずに候補者は多くの有権者に主張や公約を伝えることができる。
 有権者も各候補者の詳細な政見を自宅などで手軽に知ることができる。候補者と有権者の意見交換も可能だ。ネットの選挙活用が公選法違反だとしたら、公選法は「表現の自由」を保障した憲法違反だとの指摘もある。
 民主党は過去4回、ネット選挙解禁に向けた公選法改正案を国会に提出した。その都度、自民党はネットの普及率が低い、匿名性を利用した中傷合戦になりかねないといった理由で改正に反対、改正案を廃案にしてきた。ネットを利用できる人と、そうでない人との有権者間の情報格差が生じるのではないかとの懸念、匿名でネットを悪用した選挙妨害が行われるのではないかとの心配があることは事実だ。だからといって、利用禁止はない。自動車が発明されたが交通事故が心配だから禁止する、ストーブはあるが火事が心配だから冬でも使わせないと言っているようなものだ。
 事前運動や戸別訪問の禁止など、公選法には候補者と有権者を遠ざけるための多くの規制がある。欧米では戸別訪問が民主主義を機能させる大事な活動と位置付けられているのに、日本は候補者が有権者宅を回って政策を訴え、支持を求めることを禁止している。公選法をしっかり守ると、有権者は各候補者の詳しい主張を知らないまま、投票することになる。羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹くような公選法はさっさと改正すべきだ。

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