自分で決めたい税の使い道~パーセント法
パーセント法が流行りつつある。納税者が自分の納税額の一定率を公益機関・団体などに提供できる制度で、平成8年にハンガリーが導入して以後、各国に広まっている。
日本では千葉県市川市が平成17年から実施している。名前は市民活動団体支援制度(1%支援制度)。支援金の交付を希望するボランティア団体やNPОなどがあらかじめ活動計画を市に提出し、市はそれらを市民に広報する。
市民は、自分が納める個人市民税のうち、1%分の使途を自分で決めることができる。ある団体の活動を応援したいと思う人はその団体に、特定の団体に限らず市民活動全般に使ってほしいと思う人は市民活動団体支援基金に一%を振り向けると申し出ればいい。意思表示をしなければ、他の税と同様に市政全般に使われる。
市川市の人口は約47万人。初年度は6344人が団体や基金への活用を申し出た。団体交付額と基金積立金の合計は1519万円だった。
今年度は8278人が使途を指定、団体に1737万円を交付し、基金に206万円を積み立てることになった。
交付を受けるのは104団体。活動内容は福祉施設の慰問から地域の緑化活動、ホームレスの生活支援、障害者支援、音楽文化振興、スポーツ振興、市民の健康増進、エコロジー推進、子育て支援などさまざま。交付額はその団体を支持する納税者の人数と納税額によって異なり、今年度は1万5000円から69万円まで幅が開いた。
制度の目的は納税者意識を高めることと市民活動の育成支援。給料明細書でチェックするのはもっぱら手取り額だけで、自分の納税額には関心がないという人も多いなか、この制度を利用することで税の使い道を考えたり、自分の納税額をしっかりと把握することにつながる。
ボランティア団体やNPОについては財政支援になることはもちろん、市民に認知され、支持される活動を意識するようにもなり、より公的な性格が強まる。結果として市民と行政との協働を進めることになる。
三条市内にも「自分の税の使い道については、たとえごく一部であっても自分で決めたい」という声はある。「パーセント法を導入すれば納税者の意識はもちろん、ボランティア団体の意識も大きく変わる」と説く税の専門家もいる。
三条市の場合、事務コストがどの程度になるのかにもよるが、検討する価値はあるのではないだろうか。(スキップビート92 2月16日付け三条新聞)