新潟、県央、長岡合わせて新潟経済圏~中長期視点でPRを
各市町村単独ではなく、県央から新潟、長岡までを含めた産業集積地を全国に売り出そうという試みが動き始めた。まだ最初の一歩を踏み出した段階だが、首長たちは国内にとどまらず、世界にも目を向けている。
三条、新潟、長岡、聖籠の四市町が11月25日に東京都千代田区霞ヶ関、東海大学校友会館で開いた「新潟港利用活性化・産業発信フォーラム」がそれだ。新潟港を前面に掲げたフォーラム名となっているが、目的は新潟、県央、長岡をひとつの経済圏ととらえ、産業集積度が高く、インフラも整っている地域であることをアピールすることだ。
会には首都圏などの大手商社やメーカー、物流、金融、不動産などの民間企業と、国交、経産両省担当者など合わせて200人余が出席。寺島実郎日本総研会長が基調講演で、ユーラシア大陸が目覚しい発展を遂げている昨今、新潟はかつての裏日本から表日本に変わりつつあると指摘した後、国定勇人三条市長、篠田昭新潟市長、森民夫長岡市長、渡辺広吉聖籠町長が新しい視点で新潟経済圏の魅力を説明した。
新潟、県央、長岡を合わせた新潟経済圏の製造品出荷額は2兆9511億円(平成18年)。これは1兆5705億円の仙台経済圏の1・9倍、1兆3232億円の札幌経済圏の2・2倍で、北日本最大の工業地域となる。
県央の金属加工、長岡の機械工業、新潟の流通、サービスと集積している産業機能も幅広い。加えて新潟港と新潟空港がある。これら拠点施設は新幹線と高速道路で圏域内各都市、さらには首都圏と結び付いている。
また新潟、長岡、三条、燕、聖籠の五市町の合計人口は129万人。「産業都市」を名乗るに十分な規模に達している。
フォーラムは、金融危機に端を発した現在の不況に対して即効性の効果があるものではない。緊急の不況対策は別途必要としても、首長たちは中長期の視点で新潟経済圏をPRしていくことは大切との認識で一致している。今回のフォーラムはその第一歩として、それなりの手ごたえがあったようだ。
企業誘致などの話が進んだとき、「我が市内でなければだめ。よその市が得をするのはけしからん」といった、どこかの首長のような短絡的な、狭い考え方では地域全体のスケールメリットは生かせず、何も進まない。企業進出が長岡に決まったとしたら、その企業の仕事が県央に回ったり、荷物が新潟港を通ればそれで十分に地域のプラスになると考える首長たちがそろったのは新潟経済圏にとって幸運だった。
一歩目は首都圏など国内企業対象のフォーラムだったが、今後は国際的な視野でのPR活動なども検討している。今回、新潟県や燕市が参加を見合わせたのは寂しい限りだが、今後も強力なアピールを続けなくてはならない。(スキップビート88 11月30日付け三条新聞)