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2008年11月21日

21年度予算編成始まった三条市~どこを削る10億2千万円

 三条市の平成21年度予算編成作業が始まった。来年度は生活関連施設整備や燕三条ブランド、新潟国体などが重点項目となりそうだ。
 21年度は国定市長にとって3回目の予算編成となる。最初の19年度を「芽出しの年」、20年度を「深化の年」と位置付けてきた市長。3年目の方針は来年3月の施政方針演説で明らかにするが、歳入では不況による法人税収などの減少、歳出では扶助費のほか、団塊世代職員の定年退職による退職金の増加などが見込まれ、厳しい編成作業となる。
 キーワードを「選択と集中」とすることは従来通りだが、編成方法は大幅に変えた。これまで各課は新規事業や重要施策を予算枠に関係なく要求、理事者査定の結果を待つ立場だった。経常的経費の節約は求められても、新規や重要施策は「予算をよこせ、よこせ」と求めていればよかった。
 今回は新規を含めた重点事業や縮小、廃止事業を各部が自ら選定。それを市長を長とする政策評価委員会が審査し、政策的経費も含めた各部の予算枠を決定。各部は新規事業から経常的経費までを、その枠内に収めるよう部内調整することにした。
 各部が主体的に事業の選択と集中に取り組むことを促し、市民ニーズに沿った効果的な施策展開を図ることが目的。各部課長の手腕がより試される編成方法でもある。
 こうした手法によって市は10月末までに各部への予算配分枠を63億4千万円とすることを決めた。枠配分外の義務的経費などは187億8千万円で、一般財源ベースの予算要求額は合わせて251億2千万円となった。
 これに対して歳入は241億円しか見込むことができない。不足額は差し引き10億2千万円。市長は今回も、どの事業に予算を追加配分するかではなく、どこを削って帳尻を合わせるかという判断を求められることになった。
 個々の重点事業では、新しい斎場が来年度完成。し尿処理施設に続き、来年度にはごみ焼却施設の建設にも着手する。このほか箱ものでは、第二中学校区公民館や栄体育館の建設、栄庁舎一階の子育て拠点施設としての活用などが予定されている。
 産業振興では「燕三条ブランド」の推進、医療関係では県央医師会応急診療所の運営支援と県央中核病院設置推進などがある。
 スポーツ関係ではトキめき新潟国体の軟式野球、カヌー、ウエイトリフティング、馬術の4競技を市内で開催。防災関係では7・13水害から5年、五十嵐川改修事業の完了を記念したイベントを計画している。
 各部の予算要求提出日は11月21日。12月から理事者査定を始め、来年2月に予算概要を発表する。
(スキップビート87 11月19日付け三条新聞)

2008年11月01日

総合運動公園の芝生広場~この状態続けば規制や制限

 壁などに所有者の許可なく描かれたものは単なる「落書き」だが、所有者の了解を得て描かれたポップな絵やメッセージは現代アートの「グラフィティ」と呼ばれる。
 横浜市桜木町、旧東横線高架下約1㌔の壁は、かつて落書きだらけだった。「○○参上」「バカ」といったものから下手くそな絵、卑猥なマークなどが描かれていた。道行く人が不快に感じる落書きも多く、消しては描かれの繰り返しだった。
 そのうち、他の落書きと明らかにレベルの違うアメリカンコミックのような見事な絵やマークが登場するようになった。90年代にはそうしたものがどんどん増え、東横線高架下は「壁画アートの聖地」と呼ばれるようになった。
 平成16年に東横線横浜・桜木間が廃線になり、高架下の管理を担うことになった横浜市は、それまでの消しては描かれの追いかけっこをやめた。若者や芸術家のエネルギーの発散を規制するのではなく、逆に壁面を壁画キャンパスに開放、公序良俗に反しない範囲でさまざまな作品を描いてもらうことにした。これによって高架下の絵は無許可の「落書き」、法的には刑法の器物損壊罪にあたる犯罪から、合法的な「アート」となった。
 その結果、約1㌔の壁面は79組による163点もの作品で埋め尽くされ、市民はもとより、観光客も楽しませるアート空間となった。壁が作品で埋まると、昔ながらの落書きを上書きする若者もいなくなった。市では高架補強工事のため来年3月までに全作品を一旦、消去することにしているが、今後もアート空間としてのあり方の検討を進めることにしている。
 規制だけではつまらないし問題解決にもならない、若者のパワーを抑えるのではなく、活用する施策を用いれば地域が面白く、元気になるという好例ではないだろうか。
 さて三条市。総合運動公園内、三条機械スタジアム向かい側に約1万5000平方㍍の芝生広場がある。芝張り工を終えて供用開始したのが平成18年。市の施設にしては珍しいくらい市民に自由に使ってもらっている。
 広場内でバーベキューをするのもよし、夜も午後10時には広場の街灯を消すものの、それ以降、広場に残っている市民がいてもうるさいことは言わない。夏の週末などは深夜まで宴会を楽しんでいるグループも多い。
 市民の施設なのだから、市民に自由に使ってもらうことは当然なのだが、それには互いにマナーは守ることが前提。しかし、ことしの夏はその前提が崩れた。ごみを放置する利用者、トイレを汚す利用者、芝生や木製ベンチを焦がす利用者などが相次いだ。
 なかには深夜、付近の人家側に向かってロケット花火を飛ばす非常識な若者もいた。「みんなの公園です。ゴミはもちかえりましょう!」との看板も立てたが効果はなく、ガラスの破片が散乱していたことまであった。
 この状態が続くと、市はごく一部の不心得者のために届け出制やら利用制限といった規制をせざるを得なくなる。横浜市の逆だ。できるだけ規制のない芝生広場で遊びたいと願う市民も多いのに、一方で公園を荒らして平気な人もいる。どうすればいいのだろう。「芝生を焦がして公園にハゲを作った奴は、自分の頭にもハゲができる」という都市伝説を流す・・・。冗談はともかく、芝生広場で遊ぶなら最低限のマナーは守って欲しい。(スキップビート86 10月30日付け三条新聞)