« 2008年07月 | メイン | 2008年09月 »

2008年08月09日

開館4年目の三条鍛冶道場~三条鍛冶のPR施設として運用に本腰を入れる時期

 三条鍛冶道場が開館4年目を迎えた。鍛冶職人を育成する研修施設との位置付けだが、そろそろマニアや観光客向けの三条鍛冶のPR施設として運用に本腰を入れる時期ではないか。
 鍛冶道場は平成17年4月、元町の西別院跡地に開館した。施設は鉄骨平屋建て458平方㍍。研修室のほか、コークス炉やスプリングハンマー、グラインダーなどを備えた鍛冶の体験場がある。
 総事業費は1億67万円。このうち市の負担は3512万円で、残る6555万円は経済産業省などの補助金。補助に際し、鍛冶道場は技術の伝承や後継者育成のための研修施設とする条件が付けられ、物品販売などは禁じられた。
 入館者は過去3年とも年間1万人前後で、うち半分は研修や鍛冶体験以外の施設見学者。研修や体験は地元が中心で、熟練技術者を目指すプロ向け講座の参加者は年間200人前後。ほかは和くぎや切り出し小刀づくり、包丁研ぎ体験、木工工作教室などの一般参加者と小中学生だ。
 県外客を対象とするコースへの参加は年間50人前後。ことしはコースを増やしたものの、100人には達しないようだ。
 「鍛冶のまち」であることは三条市の魅力のひとつであり、大切な財産。せっかく鍛冶道場を造ったのだから、もっと売り出し方を考えなくてはならない。『ナイフマガジン』をはじめ、専門誌やマニア向けメディアを賑わす企画が求められる。
 温泉や宿泊施設との連携も重要だ。三条市内にとどまらず弥彦や湯田上、岩室温泉など近隣の温泉地も、団塊世代の定年退職が始まったことを踏まえ、長期滞在客などの獲得に熱心だ。それには滞在客を飽きさせないメニューがいる。数日通って自分だけの切り出し小刀を作ったり、包丁研ぎの技術が身につくコースがあれば、温泉地の魅力も増す。鍛冶道場の隣では二・七の露店市も開かれている。足元に磨けば光る観光資源があるのに、見落としているのではないだろうか。
 物品販売も必要だ。小刀の材料は売っているのに、参加者が「ここで使ったのと同じ砥石が欲しい」と求めても、国の規制であっ旋できないなど馬鹿げている。砥石は受講者の必要資材、三条のプロが作った包丁は研修資材の名目で販売するぐらい、利用者サービスの範ちゅうだ。国がどうしてもダメだというようなら、敷地に余裕はある。隣に物販用の建物を併設する方法もある。
 問題は指導者、実演者の確保だ。ベテラン技術者による三条鍛冶集団(池田慶郎筆頭師範)が結成されて15年。三条鍛冶全体のためにと指導を引き受けてきたが、いつまでもボランティアに頼っていては続かない。
 観光ビジネスとして協力者にそれなりの報酬を支払える仕組みを作らなければならない。「〇〇基本計画」「〇〇実施計画」などと、さして意味のない計画をいくつも作るためにコンサルタント委託料を払うくらいなら、鍛冶道場の指導者確保に充てるべきだ。
 鍛冶道場には使っていないハンマーが二基もある。使いたくても基礎工事をする予算がないために放置してあるという。施設は「造って終わり」ではない。活用にこそ力を入れなければ意味がない。(スキップビート83 8月9日付け三条新聞)