樋渡市長の『がばい市政』~市政にも楽しさと笑い必要
全国にはユニークな市長がいるものだ。佐賀県武雄市の樋渡(ひわたし)啓祐市長がこのほど来条、「がばい市政」の一端を見せてくれた。
樋渡市長は昭和44年11月生まれの38歳。東京大学経済学部卒業後、総務庁(現総務省)に入庁、平成17年に退官し、18年4月から武雄市長。同年11月に総務省の後輩、国定勇人三条市長が34歳で当選するまで、全国最年少市長だった。
樋渡市長の武雄市の売り出し方がおもしろい。島田洋七氏の小説『佐賀のがばいばあちゃん』がヒットし、テレビドラマ化が決まると、そのロケを誘致。武雄市を「がばいばあちゃん」の故郷にしてしまった。
さらには平均年齢74歳、最高齢91歳の地元女性たちによる観光PR隊「7人のがばいばあちゃん」を結成。歌って踊れる最高齢コーラスグループにしようとオリジナル曲を作り、CDを発売した。グループ名は「ABBA(アバ)」ならぬ「GABBA(ガバ)」。市役所内に「佐賀のがばいばあちゃん課」まで設置し、市職員がマネージャーとなって各地で公演している。
市長就任翌年には武雄温泉で日曜朝市を開催。地場の農作物などのほか、市長の音頭とりによって地元のパン店とかまぼこ店が協力して開発した「楼門バーガー」も販売している。
このほかハーブの一種「レモングラス」を武雄の特産品として栽培することにも力を入れており、市役所内に「レモングラス課」を設置、お茶をはじめエッセンシャルオイルの開発なども進めている。
樋渡市長は「GABBA」とともに三条市を訪れ、国定市長とのパネルディスカッションなどで武雄市を紹介した。樋渡市長は「地域活性化のために、武雄という名をより多くの人に知ってもらうことが大切」と説き、「リーダーは風呂敷を広げられるだけ広げ、夢を語るべき」と話していた。
樋渡市長を「可視化のプロ。見るだけで政策が分かる取り組みを進められている。本当に勉強になる」とたたえ、そのひらめきと粘り強さ、手腕にほれ込んでいる国定市長が、ことし1月に武雄市を訪問。相互交流をすべく、7月に樋渡市長が来条した。
三条市政に武雄市政ほどの楽しさやスピード感があるだろうか。九州の陽気なノリを三条市に持ち込んだらどうなるだろう。武雄の「がばいばあちゃん」と、三条の「ごうたれジサ連」のコラボレーション。「ふざけるな」「まじめにやれ」と怒られるかもしれないが、固すぎるのもつまらない。観光客数が着実に増えている武雄市は、市政にも適度な笑い、遊び心が必要であることを教えてくれている。(スキップビート82 7月27日付け三条新聞)