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2007年11月30日

来年度も『選択と集中』 国定市長2度目の予算編成

 三条市でも来年度予算編成作業が始まった。国定市政2度目の編成となる来年度も、「選択と集中」がキーワードとなりそうだ。
 21日に各課予算要求を締め切り、12月上旬まで財務課によるヒヤリングを実施。計数整理後、来年1月から理事者査定に入る。
 三条市の19年度当初予算は、一般会計が前年度比4・5%増、特別会計を含めた総額は4・3%増だった。国定市長は最初の予算編成で人件費などを切り詰める一方、子育て支援や緊急内水対策などを伸ばす積極予算を組んだ。
 20年度の一般財源は、約5億円減の244億円程度となる見通しだ。一般財源とは、使い道が特定されておらず、市の裁量で使える地方税や地方交付税などのこと。5億円減は地方交付税の合併特例分などが減るためだ。
 このマイナスをどうやってカバーするかが編成のポイントのひとつ。歳出ではただでさえ高齢者福祉、児童福祉などの社会保障に必要な扶助費と、借金返済の公債費だけで2億8000万円も増える。職員数をさらに減らすことで人件費は3億6000万円減るが、これだけでは到底、足りない。財務課では各課予算要求にあたり、施設管理費などの経常的経費を5%減らす、いわゆるマイナスシーリングを設定した。
 もうひとつのポイントは政策的な事業の推進度合い。五十嵐川改修事業や緊急内水対策、新保裏館線や国道403号三条北バイパスといった継続事業は、ペースを落とすわけにはいかない。国県の補助をうまく活用しながら引き続き進めていかなくてはならない。
 民生関係では斎場の建設工事着手、し尿処理場の用地買収がある。地域の医師会と検討を重ねてきた救急診療所の新設もあれば、調査事業を行った高速道栄パーキングエリアへのスマートインターチェンジ設置事業もある。
 三条高校跡地を県から購入するための財政負担も必要となる。また新市建設計画では第二中学校区の公民館建設も予定されている。
 これらの事業のどれを選択し、どれを先送りするのか、あるいはすべてを選択するには資金繰りをどうするのか、これから編成作業のなかで協議することになる。
 なお市の借金となる市債、債務負担行為、一部事務組合債は9月末時点で合わせて974億1600万円、市民1人当たり91万2679円。対して貯金となる財政調整基金、市債管理基金、職員退職手当基金は合わせて44億4700万円。「裕福なまち」には程遠いが、かといって市民要望の強い事業や将来への投資をすべて先送りするわけにもいかない。市長の政策判断が求められる日々が続く。(スキップビート67 11月29日付け三条新聞)

コンビニ納付 来年1月から水道と下水道料金

 三条市の水道や下水道料金は、来年1月からコンビニでも納付できるようになる。市は税や保育料などのコンビニ納付も検討を始めた。
 水道料金や市税などは現在、口座振替のほかは、市役所と金融機関の窓口だけで受け付けている。受け付け時間は市役所が平日の午前8時30分から午後5時30分まで、金融機関は午前9時から午後3時まで。週末などの時間外窓口サービスでは受け付けていないため、平日の日中、働いている市民が窓口で納めようとすると、昼食や休み時間を潰すしかないのが現状だ。
 市は来年1月から水道と下水道料金をコンビニ各店でも支払えるようにした。すでに収納代行サービス業者も決定済みで、市内はもとより国内すべてのコンビニ店で24時間、支払い可能となる。市民は休み時間に急いで金融機関や市役所に納めに行かなくてもよくなる。
 市民税や固定資産税、都市計画税、軽自動車税、国保税、介護保険料、保育料、市営住宅使用料など市が徴収する税などのコンビニ収納についても、関係各課の担当者レベルによる委員会を設置、検討を始めている。来年度以降、できるものから順次、コンビニ収納を行うことにしている。
 コンビニが電力、ガスなどの公共料金の収納代行を始めたのは昭和62年。20年目の今年度、最大手のセブンーイレブン・ジャパンや3位のファミリーマートは料金収納代行の取扱高が、本業の物品販売の売上高を上回るまでになっている。
 全国的にこれだけ普及しているのに、三条市がなかなかコンビニ収納に踏み切らなかったのは、手数料が高いため。金融機関の口座振替手数料が1件当たり10円50銭なのに対し、コンビニは5倍以上の53円55銭。経費がかかりすぎるとして二の足を踏んできた。
 国定市長は市民の利便性向上が第一であって、多少のコスト負担はやむを得ないと判断、コンビニ収納の導入を決めた。
 三条市の場合、水道料金の窓口納付率は件数ベースで13%。これに対して軽自動車税の窓口納付率は56%、市民税(普通徴収)は53%、介護保険料(普通徴収)は52%と、口座振替より窓口納付の方が多くなっている。これらのコンビニ収納を始めれば、水道料金以上に利用が増えそうだ。
 18年度の市税の収納率は91・7%、国保税は80・8%、水道の有収率は87・7%。市ではコンビニ収納によって収納率が向上することも期待している。
 ちなみに県内の市町村でコンビニ収納を行っているのは5市町だけ。湯沢町は水道料金と税、新潟、上越、村上、五泉の4市は水道料金のみのコンビニ収納を行っている。民間なら当たり前の利用者サービス。行政の場合は周囲が遅いために、対応の遅さがそれほど目立たない。(スキップビート66 11月24日付け三条新聞)

2007年11月18日

夕方5時にはウェルナーの『野ばら』 季節ごとに変えては?

 三条市内では毎日午後5時になると同報系防災行政無線のスピーカーから、穏やかで優しいメロディーが流れる。クラシックファンにはお馴染みの、ウェルナーの「野ばら」という曲なのだそうだ。
 同報系防災行政無線の屋外スピーカーは市内179か所に設置してある。7・13水害の教訓を踏まえて16、17年度の2か年で放送設備やFM緊急割り込み放送システムなどを整備した。費用は4億7250万円。
 「野ばら」の定時放送を始めたのはことし6月。緊急時に役立たないようでは困るので設備の日常点検という意味があるほか、子どもたちに帰宅時間が近付いたことを知らせる意味もある。
 この放送システムには、「野ばら」やドボルザーク「家路」などのクラシックから「故郷」「夕焼け小焼け」などの日本の名曲、「イエスタディ」「恋は水色」などのポップスまで8曲が、あらかじめプログラムされている。市では曲調のほか、演奏時間が約40秒と適度な長さのため8曲のなかから「野ばら」に決めた。
 ちなみに「野ばら」と言えばシューベルトも有名。ゲーテの詩を近藤朔風が訳した「童は見たり野中のば~ら」の歌詞からシューベルトの「野ばら」を思い浮かべる人も多い。このゲーテの詩にはシューベルト、ウェルナーのほか、ベートーベン、シューマン、ブラームス、ライヒャルトなど数多くの作曲家が曲を付けていて、現在、分かっているだけで150曲以上もあるのだという。曲がたくさんあるのだから歌詞もと「裏金見たり野中のば~か」といった旧橋本派の替え歌や、「童もビビる背中のば~ら」といった暴力団関係者の替え歌などを作り始めると、収拾が付かなくなるからやめておく。
 屋外スピーカーでの放送は、近くはうるさく、遠方は聞こえないことが弱点。定時放送を始めた当初、スピーカーのすぐ近くの住民から「うるさい」といった苦情が市役所に相次いだ。
 一方で「子どもの帰宅時間の目安になって安心」「畑仕事の最中でも時間が分かって便利」といった声も届いた。近所の人には日常点検が必要であることなどを説明し、なんとか理解を得た。
 さて「野ばら」が定時に流れるようになって約半年。「いい曲だけど、そろそろ飽きてきた。季節によって曲を変えたりできないのか」との声も出始めている。八曲も入っているのだから変えることは簡単だ。曲で四季の移り変わりを表すのもしゃれているが、市は「せっかく定着してきたのに、いま変えるのはいかがなものか。他の曲は演奏時間が長すぎたり短すぎたりする」と消極的だ。
 行政は何事も一度決めたことを変えるのは難しい。(スキップビート65 11月17日付け三条新聞)