揺れる再開発ビル パルム① 開業20年にして大きな転機
三条市の中心市街地にそびえるパルムが、来年3月の開業20年を前にして大きな転機を迎えている。最大手の所有権者であるイオン(ジャスコ)が認めてきた特例措置の協定期間終了に向け、イオン、地元権利者、立体駐車場経営者、三条市の四者それぞれの事情や思惑が絡み合っており、現時点では来年3月以降のパルム1の姿が予測できない状況となっている。
昭和63年3月竣工の昭栄地区市街地再開発事業によって造られたパルム。6階建ての商業ビルであるパルム1、1、2階が店舗、3階から14階までがマンションのパルム2、5階建て立体駐車場と店舗のパルム3の3棟からなる。
パルム1はイオンと地元権利者42人が共有している。持ち分比率は土地、建物ともにイオンが58・5%、地元権利者が41・5%。どの階のどの区画がだれの持ち分と区切ってある「区分所有方式」ではない。各所有者がどの部分も比率に応じた権利を持っている「持ち分あん分共有方式」となっている。
パルム2、3はマンション、店舗、駐車場ともに区分所有方式。各区画の所有者ははっきりしている。
パルム1の共有方式は、イオンがキーテナントとしてジャスコを出店していた当時はそれほど大きな問題にならなかった。イオンの持ち分を超える店舗面積分については、イオンが地元権利者に家賃を払ってきた。
平成13年1月、ジャスコが撤退。開店から一度も黒字化できず、累損は60億円を超えた。残ったのは開店時に21億2700万円で三条市から取得したパルム1の58・5%の権利。これを売却しようにも、共有方式のために買い手はなかなか見つからない。結局、イオンは退店しても所有者ではあり続けた。
後継店探しは難航した。パワーズフジミや三喜が出店した時期もあったが、ともに4年ほどで退店した。現在は1階にスーパーのマルイなど、2階にスポーツ用品のカムイ、3階に日用雑貨のセリアなど、5階にフィットネスクラブのヴァーテックスなど合計21店・機関が入居している。入居率は78・7%だが、当初と比べると家賃はかなり安くなっている。
家賃収入は減っても管理費や固定資産税はかかる。通常なら家賃収入も所有権の比率に応じてイオンと地元権利者間で分配するところだが、それでは地元権利者は固定資産税すら払えなくなる。
イオンは家賃収入について、まず共益費に、次いで地元権利者が負担すべき固定資産税や維持管理費に充てること、家賃収入がそれらを上回り、地元地権者の一定以上の利益が出た場合に限り、自社負担分の固定資産税に回すことを了承した。
この結果、イオンは平成13年以降、所有権を持ちながら家賃収入は受け取っていない。年間1597万5000円(18年度)にのぼるイオン分の固定資産税はすべて自社で負担している。
三条市の強い要請に応えての特例措置だ。三条市を立会人にイオンと、管理会社の三条昭栄開発が協定書を締結した。その協定期間が来年3月で満了する。更新の見込みは薄い。(スキップビート53 7月12日付け三条新聞)