私立保育園と市立保育所
三条市は現在24ある市立保育所・児童館のうち、9施設は市立のまま残し、他の15施設は年次計画を立てて民営化、あるいは統廃合することにしている。
保育施設は大まかに言って2割弱の保護者負担と8割強の公費、つまり税金で運営している。18年度決算見込みでは幼児1人当たり101万円の経費がかかっているのに対し、保護者からの保育料は19万円。残りは国、県、市が負担している。
市の負担は1人当たり平均53万円。これを市立保育所と私立保育園に分けてみると、市立の66万円に対して私立はわずか29万円。市立の市費負担は私立の2・2倍余に達している。
原因の第一は人件費。保育士、調理師の正職員の給料、手当、共済費は1人当たり平均690万円。給与ベースが私立より高いうえに平均年齢も高いため、私立の2倍前後となっている。
第二は定員割れ。私立の7施設はすべて定員を超過しており、充足率は平均114%となっている。市立は14施設が定員に満たず、平均充足率は87%。当然、効率も悪くなる。
充足率は人気のバロメーターでもある。三竹保育所は比較的、保護者の評価の高い市立保育所だった。それ故に保護者間では民営化に慎重な意見も多かった。そうした施設でも近年、定員の90人を超えることはなく、昨年3月時点の幼児数も72二人だった。
三竹保育所は昨年4月に民営化し、私立ひまわり保育園となった。保護者の評判が良いことから現在、幼児数は定員を超える91人となっている。四日町、新保両保育所を統合、民営化したきらきら保育園も人気が高く、定員100人に対して現在の幼児数は125人となっている。
市費負担が半分以下で、保護者にも好評なのだから民営化を拒む理由はない。市では来年度は嘉坪川、21年度には三条、荻堀、22年度には西四日町、あいあい各保育所を民営化することにした。田島、一ノ門、川通、飯田、荒沢の五つの保育所も23年度以降、順次、民営化する。
裏館、名下、中浦各保育所と大島児童館は、いずれも認可基準の幼児数60人を下回っているため、今後、統廃合を検討することにした。
すべての施設を民営化するのではなく市立保育所も残す。行政との連携、地域の子育て支援拠点としての機能、障がい児保育への対応などのためで、地区のバランスも考慮して旭、保内、嵐南、鱈田、須頃、月岡、塚野目、千代が丘の各保育所と、福多、大和両保育所を統合する仮称中央保育所の計9施設は将来も市立のままとする。
もっとも民営化を計画しても、受け皿となる社会福祉法人や財団法人、学校法人がいなければ絵に描いたモチで終わる。少子化が進むなか、どのくらいの法人が保育施設運営に名乗り出てくれるのか。名乗り出てもらうためにどのような条件を整備するかが今後の課題となる。(スキップビート57 7月27日付け三条新聞)