ハード日程続く国定市長
宮城県の東国原(そのまんま東)知事の多忙ぶりがワイドショーで強調されている。激務は東国原知事だけではない。他の首長も似たようなもので、三条市の国定勇人市長もハードな日々が続いている。
国定市長の休日は、選挙直後はほとんどなく、ことしに入ってからも1月は正月休みを含めて3日間、2月も3日間にとどまっている。ほぼ10日に1日しか休めていない。
休日が少ないのは歴代市長と同じだが、国定市長の場合、夜の会がやたらと多い。1月は18日間、2月は21日間、夜の会合が入っている。平日に限ればほぼ連日、朝から夜までスケジュールが詰まっている。
夜の会合はふれあいトークや各種団体の新年会など。ふれあいトークは市民と市長が直接、市政や地域の課題などを話し合う場。選挙公約に各小学校区で年1回以上開くことを掲げた。三条市の小学校区は24。平均して月2回の開催で公約達成となるが、実際は1、2月だけで13回も開いている。市長自身ができるだけ早く、より多くの市民に市政の課題を理解してもらうとともに、市民の声を聞きたいと開催を急いでいるためだ。市が設定する小学校区単位の開催以外にも、団体申し込みがあれば出かけている。
市側の一部には当初、ふれあいトークが地域への予算配分を求める陳情中心の会になりはしないかとの不安もあったようだが、市長は「しっかりした意見交換ができており、手応えを感じている」と喜んでいる。
各種団体の新年会などは、招く側にとっては年1回だが、市長は1人。いくら若くても酒席が毎晩ではこたえるだろうが、選挙後間もないこともあって市長は断りきれないようだ。
過密スケジュールにあっても、そこは行政のプロ。情報分析や意思決定が早いだけに、新年度予算編成などは順調に進めている。ただ、これから先は国定市政本来の業務に力点を移してもらわなければならない。
過去の市長や他市町村長と、国定市長の最大の違いは何か。個人の能力だけなら、過去にもりっぱな市長はいた。他市にもいる。そのほとんどは、地元で生まれ育った人だ。国定市長はそうではない。「来たり者」などと言われて選挙戦は大変だったが、当選後は市長自身が「東京から人材を引き抜き、受け入れる、開かれたパワフルなまち三条市」の象徴となった。
泉田知事によると、新潟県では子ども1人に対し、18歳となるまでに約1400万円の公費をつぎ込んでいるという。そうして育てた人材の多くが首都圏に移り住み、向こうで住民税を納めている。国定市長はその逆。東京が育てた人材を三条市が活用している。
これから先、よそからどれだけ人や資本、技術、情報を呼び込めるかが地域の発展を左右する。国定市長には中央省庁の情報や支援策はもとより、国内外からの民間投資も呼び込んでもらわなければならない。地元に縛り付けておくわけにはいかない。時間を作り出しては県外を飛び回る市長であってほしい。(スキップビート38 2月22日付け三条新聞)