草野プラン
県央地域の救命救急体制整備に向け、行政と医師会、救急病院の連携が進みつつある。救急車に患者を乗せても行き先が見つからないといった現状を改善するため、救急診療所の拡充強化を先行させることになりそうだ。
三条市消防本部の昨年1年間の救急出動回数は3500回、搬送した患者は3365人。この半数以上の55・4%が休日や夜間の出動で、救急隊員が患者を受け入れてくれる病院探しに四苦八苦することが増えている。
問題解決に向け、国定市長はじめ関係者は中期的に取り組む課題と、早急に実現すべき課題の両面作戦を進める。
中期の課題は救命救急センターの建設。早期実現に向けて国県や関係機関への働きかけを始めているが、巨費が必要なうえ、県は県立病院の赤字問題を抱えている。県央各市町村の思惑の違いもある。1、2年では解決できそうもない。センターの運営形態や既存病院の再編問題、資金手当、医師はじめスタッフの確保といった問題をひとつひとつ解決していかなくてはならない。
かといって現状を放置しておくわけにはいかない。早急に取り組む課題が救急診療所の拡充強化だ。現在は三条市医師会が近隣医師会の協力も得て南新保、医師会館内で運営している。診療科目は内科と小児科。診療時間は毎日午後7時半から午後9時半まで。
これを県央地域として見た適地に移し、診療科目に外科も加えたうえで診療時間をできるだけ伸ばすことを検討している。三条市医師会の草野恒輔会長のアイデアは、単に診療機能を強化するだけではない。救急患者には在宅治療で十分な初期患者から入院が必要な二次患者、命にかかわる三次患者までいる。これを全部、救急病院に運んでいるために病院側がパンクし、救急車が搬送先を探して立ち往生する事態を招いている。救急診療所の医師が患者の状態を判定し、初期患者を引き受ける一方、二次患者は地元の総合病院などの二次医療施設に、三次患者は長岡日赤病院や新潟市民病院などの三次医療施設に搬送するように変えれば、二次、三次医療機関の負担も減り、救急患者を受け入れやすくなる。災害時に多数の患者を重症度と緊急性によって分別するトリアージのような機能を救急診療所が発揮すべきだというのが草野プランだ。
救命救急体制の整備は国定市長の選挙公約でもあり、市長の腹は決まっている。医師会や病院の協力を得られれば、近隣市にも参加を呼びかけながら早急に用地選定に入ることになる。
その際、救急診療所と救急車をインターネットで結ぶことも考えられないだろうか。弥彦村では無線でインターネットに接続できる「フリースポット」が普及している。総務省ではより広範なエリアで無線通信できる「ワイマックス」の実用化も推進している。診療所と救急車を無線ネットで結ぶことは技術的には十分、可能となっている。搬送中の患者の心電図や血圧、血中酸素飽和度などのデータのほか、動画によって姿も確認できるようになれば、より迅速なトリアージができる。
総務省情報通信政策局にいた国定市長はその道のプロだ。他のモデルとなるような救急情報システムを構築してほしいものだ。(スキップビート26 12月3日付け三条新聞)