市長の職務
三条市長選挙に出馬する顔ぶれが今週中には固まる。23日の立候補予定者説明会で構図が明らかになるが、多くても三つ巴止まりのようだ。
市長選には25歳以上の被選挙権を持ち、供託金100万円を用意できる人なら、だれでも立候補できる。だからといって多数が立候補したことはない。戦後では昭和22年と24年の旧三条市長選に各5人が立候補したのが最多。近年では平成3年と7年に各4人が立候補した程度で、他は3人以下にとどまっている。町内のカラオケ大会より手を挙げる人は少ない。
なぜか。当選の見込みの有無ももちろんあるが、そもそも市長になろうと思う人が少ないのだ。
市長になればプライバシーなどないに等しい。世間の目の厳しさは県議や市議の比ではない。休日もほとんどない。過去3年間、市長の公務がなかった日は年平均で59日間。これはあくまで行政のトップとしての公務がなかった日であって、このほかに政治家として国会議員や県議、市議の会などに出席したり、施策推進のために根回しに動くといった日もある。完全なオフという日はほとんどない。先日、泉田知事がたまの休日に家族サービスをしようと東京ディズニーリゾートに行ったその日、北朝鮮が核実験を行った。知事は「緊急時に不在とは何事か」との批判を浴びた。首長とはそういうものだ。
政策面も、うまくいって当たり前。失敗すれば批判を浴びる。行政の事業には必ず賛否両論が出る。失敗しなくても反対派からは糾弾される。
一般会計で400億円余、特別会計を含めた総額で687億円余の予算を間違いなく、より効果的に使わなければならない。ミスがあれば市長が責任を取らなければならない。こうした職務に対する市長の給与は月額91万8000円、ボーナスを含めた年収は1455万2000円。少なくはないにしても、このくらいの給与を受け取っている経営者は地元にも大勢いる。その人たちは私生活を丸裸にされることも、選挙戦で「電信柱にも頭を下げろ」と言われることもない。
裏でうまい汁を吸うなどということもない。いまは情報公開制度が確立しているし、議会やマスコミのチェックもある。三条市の歴代市長には、経営していた会社が倒産した人も少なくない。うまい汁が吸えたとしたら、こんなことにはならない。
市長を目指すのは、自らの人生を投げ打って三条市のために尽くすとの気持ちが非常に強い人か、市長の職務をよく分かっていない人かのどちらかだ。
いま、市内のあちこちで「市長選に手を挙げたのはどんな人か」「ほかにどんな人が出るのか」といった話が交わされている。人物評価も大事だが、なにも選挙で三条市の象徴や宗教指導者を選ぶわけではない。より大切なのは「どんな三条市政を展開するのか」だ。行財政改革にしろ、福祉や教育、産業振興にしろ、何を重点にどんな方法で進めようと訴えているのかを市民に見極めてもらわなければならない。
(スキップビート22 10月19日付け三条新聞)