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救急患者 1時間待ち

 昨年11月12日夜、三条市内の女性A子さん(82)が自宅居間で倒れた。家族が119番通報したのが午後10時31分。その6分後、三条市消防本部の救急車が到着した。
 救急隊員はストレッチャーでA子さんを救急車に乗せ、酸素吸入や人工呼吸などの救急措置を施した。A子さんの家族も同乗した。現場でできることはやり終えた。しかし救急車は走り出せない。搬送先の病院が見つからないのだ。
 隊員は救急車内から三条市内の病院に電話し、脳疾患と思われる患者の受け入れを要請した。
 「先生に聞いてきます」。待つこと5分。当直医が専門外なのでと断られた。県央地域の他の病院にも電話したが、結果は同じだった。救急車の現場到着からすでに20分以上過ぎている。家族はもちろん、サイレンの音で集まった近所の人たちも「どうなってるんだ、早く医者に診せなきゃ」とヤキモキしている。救急車は向かう方向が決まらなければ走り出せない。走ってみたものの逆方向でしたでは、かえって時間がかかるからだ。
 午後11時4分、ようやく受け入れてくれる病院が見つかった。相手は長岡市・立川総合病院。サイレンを鳴らして走り、病院に到着、患者を引き渡したのが午後11時25分。家族が119番通報してから実に54分が過ぎていた。脳や心臓疾患は手当ての遅れが命取りとなる。A子さんは翌日午前0時33分、小脳出血のため死亡した。
 A子さんの搬送が特異な例というわけではない。三条市消防本部の昨年一年間の救急搬送は3363人。うち821人、24・4%が市外の病院に運ばれている。病院から病院への転院を除いた119番通報搬送に限っても、平日夜間や休日に搬送した1703人のうち350人、20・5%が市内の病院では診てもらえず、市外まで運ばれている。
 市外の病院の場合、119番通報から収容までの平均時間は53分。うち、もっとも件数の多い長岡市内の病院までの平均は58分、新潟市は1時間。A子さんは平均よりは早かったのだ。
 市内の病院も可能な限り救急患者を受け入れている。しかし夜間や休日だと「専門医がいない」「処置困難」「ベッドが満床」などの事情で断らざるを得ない。
 救急隊員が受け入れ先を探す救急車内での電話は、多いときには10回に及ぶ。ようやく新潟や長岡の病院に運び込んでも、命にかかわる三次救急患者でない場合、「この程度の患者を連れてこられたら三次救急ができなくなる。地元で対応しなさいよ!」と罵声を浴びせられることになる。
 市外搬送は行き帰りの時間がかかる。消防本部4台、栄、下田分署各1台の計6台の救急車がすべて出動、次の通報に対応できないために慌てて帰ってくることもある。
 なぜこんな事態になってしまったのか。県央に救命救急センターがないからだ。(スキップビート2 6月9日付け三条新聞)

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