2017年12月03日

新潟空港と上越新幹線

 新潟空港への上越新幹線乗り入れは金子清知事時代に浮上した構想だ。
 新潟空港は市街地に近い好立地にありながら公共交通の便が悪く、バスかタクシーを利用しなければ鉄道に乗り継ぐことができない。バスだと新潟駅まで通常なら直行便で30分、路線バスで40分前後だが、新潟市内ではたびたび渋滞が発生する。新潟空港に降りた乗客が新幹線に乗ろうとしても、新潟駅までの所要時間が読めない。
 新幹線を新潟空港まで延ばせば、こうした不便さを解消できる。県内だけでなく、群馬、埼玉など新幹線沿線地域からの空港利用も増える。新潟空港を成田、羽田に次ぐ首都圏第三の空港とすることによって、新潟を日本海側最大の交通拠点として発展させようといった発想だった。

 自治省出身で関係省庁とのパイプも太かった金子知事だが、この構想を具現化する前に東京佐川急便事件によって、在職わずか3年で辞職した。平山征夫、泉田裕彦両知事時代も構想の検討だけは続けたが、実際に変わったのは空港と新潟駅を結ぶバスの乗降場所程度。新幹線は1㍉も延びないまま、25年が過ぎた。
 この間に新潟空港の国際線はソウル、ハルビン、上海、台北合わせて週10便だけなのに、富山空港はソウル、上海、大連、台北の週11便、小松空港はソウル、上海、台北の週12便に増加。利用者数も新潟の99万人に対し、小松は170万人と大きく水を開けられた。

 県内の行政、経済界、交通事業者などによる新潟空港アクセス改善協議会(会長・米山隆一知事)は、空港への新幹線乗り入れについて「不確実な要素や採算性の課題も多く、現時点で整備着手を判断できる状況にない」とし、検討を中断することにした。
 当面は空港駐車場の割引やタクシーの定額運行、バス専用レーンの整備などによって空港利用者を増やす努力を続け、9年後、もしくは空港利用者が現在の1・13倍の135万人に達したら、検討を再開する。
 空港まで新幹線を延ばすには422億円必要で、現状の利用状況ではそれだけの投資をしても採算が合わないという。
 利用が少ないから投資できないというが、投資をしなければ利用が増えないのが公共交通ではないのだろうか。鶏が先か、卵が先かと悩んでいるうちに日本海側の交通拠点の地位を石川県に奪われてしまうのではないだろうか。

2017年11月16日

カラスの恩返し

 先日の朝、我が家の近くでカラスが鳴き始めた。最初は数羽がけんかしているような鳴き声だった。数分後には数が増えた。鳴き方も異常で、カアカア、グワッグワッとうるさい。
 窓の外を見ると、少なくとも50羽はいた。電線にずらりと並んでとまっているカラスだけで20羽以上。ほかに近所の柿の木の上を円を描くようにして飛び、急降下を繰り返しているカラスも30羽ほどいる。山の方からは援軍が続々と飛んでくる。アッと言う間に100羽を超えた。まるでヒッチコックの映画のようだ。
 「カラスが騒ぐと人が死ぬ」などという言い伝えもあっただけに気味が悪い。タカやフクロウなどの天敵と戦っているのだろうか。探してみたが天敵の姿は見えない。急降下している下に何かがあるのかもしれない。

 様子を見に行ったら近所の男性が先にいて、防鳥網にからまって動けなくなっているカラスを助けていた。網は柿の木の腰より下の部分に張ってある。カラスは歩いて柿に近付こうとして網に引っかかったらしい。逃げようとして必死で暴れたのだろう、すでに疲れ果ててぐったりしており、人が近付いても暴れられなくなっている。
 男性は網をハサミで切り、「気をつけろよ。もう網に近付くなよ」と声をかけてカラスを放してやった。カラスは一直線に山の方に向かって飛んで行き、周囲にいた100羽以上のカラスもあちこちに飛び去った。

 カラスたちは仲間が動けなくなっていることを知り、集まって騒いでいたようだ。仲間を助けようと思っていたのかどうかまでは分からないが、動けなくなったカラスの上を旋回し、まるで網を威嚇するかのように急降下を繰り返していたことは間違いない。
 とかくカラスは「不気味で不吉な鳥」「ごみ袋を破ってごみを食べ散らかす迷惑な鳥」「繁殖期には巣に近付いた人を攻撃することもある怖い鳥」といったマイナスイメージが強いが、案外、仲間思いなのかもしれない。
 北海道の開拓時代には、大発生したバッタをどこからか現れたカラスとムクドリがせっせと食べてくれたため、畑を守ることができたという話もある。カラスを助けた近所の人に「カラスの恩返し」はあるだろうか。

2017年11月04日

秋春制? 春秋制?

 サッカーのJリーグ開催時期は現在の春秋制のままがいいのか、秋春制に変えた方がいいのか議論が続いている。
 どちらであっても県央地域には関係のないことと思っていた。
 そうではないことを元Jリーグのスター選手で、現在東京ヴェルディユース監督兼ゼネラルマネージャー補佐の永井秀樹さん(46)に教えてもらった。

 現在のJリーグのシーズンは2月から12月まで。
 日本サッカー協会の田嶋幸三会長はこれを9月に開幕し、翌年6月までとする秋春制に変えるべきと主張している。イタリアのセリエA、ドイツのブンデスリーガ、イングランドのプレミアリーグ、スペインのリーガ・エスパニョーラなど欧州のリーグは秋春制だ。シーズンを世界基準に合わせれば選手の移籍も活発になり、国際大会にも対応しやすくなる。必然的に日本サッカーのレベルが向上するというわけだ。
 これに対してアルビレックス新潟など雪国や寒冷地のクラブは「冬季は雪で競技場が使えなくなる」と反対している。Jリーグ開幕から25年。何度も繰り返されてきた議論だ。

 永井さんはヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)、清水エスパルス、横浜F・マリノスなどで活躍し、昨シーズンに現役を引退。現在はヴェルディユースの監督を務めており、近い将来、ヴェルディで指揮を執ることが期待されている。
 弟の永井篤志さん(42)もベガルタ仙台などで活躍した元Jリーガーで、昨年10月から地域おこし協力隊メンバーとして下田地域で子どもたちにサッカーを指導している。
 その縁もあって三条市を訪れた秀樹さんは「下田の環境は合宿に最適です。Jリーグの各クラブは、春秋制のいまは開幕前の1月、2月に沖縄などでキャンプを行っているが、仮に秋春制の9月開幕に変わればキャンプは7、8月ごろとなる。そのころの南国は暑すぎる。首都圏から近く、環境の良い下田地域などはキャンプの候補地になるのではないか」と話していた。

 Jリーガーの練習を間近で見られることができたら、子どもたちに大きな影響を与えることになる。秋春制移行の議論に急に興味がわいてきた。

2017年10月28日

知らしむべからず

 「民は由らしむべし、知らしむべからず」と論語にある。本来の意味は「人民を為政者の施政に従わせることはできるが、その道理を理解させることはむずかしい」だった。転じて「為政者は人民を施政に従わせればそれでよい。道理を人民に分からせる必要はない」となった。
 公職選挙法は後者の典型だ。第一条には「日本国憲法の精神に則り、(略)その選挙が選挙人の自由に表明せる意思によって公明かつ適正に行われることを確保し、もって民主主義の健全な発展を期することを目的とする」とある。
 憲法前文は「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」で始まる。「正当に選挙」を行うためと言いながら、公選法は有権者をがんじがらめに縛り付けている。選挙人が主張や政策を「自由に表明」することは認めても、それを有権者に届けることを厳しく制限している。

 まず選挙運動の期間を厳格化し、期間外の投票依頼などを「違法な事前運動」として厳しく取り締まっている。アメリカ、イギリス、ドイツ、カナダなどでは選挙期間そのものの規定がない。選挙期間を定めているフランスやイタリアでも事前運動を規制するようなことはしていない。
 日本は戸別訪問も禁止している。投票依頼だけでなく、演説会を開くから聞きにきてくれといった開催案内を戸別に行うことすら禁止だ。戸別訪問を禁止しているのは世界でも数か国だけで、先進国では日本だけだ。カナダではマンションやアパートの管理人は戸別訪問を妨害してはならないというルールまである。
 日本は文書図画の頒布も選挙管理委員会の審査を受けた法定ビラ以外のものを配ることを禁止している。これもほとんどの先進国にはない規制だ。

 何のための規制なのか。総務省は「選挙の公正、候補者間の平等を確保するため」と説明している。
 一方で政党のテレビCMには制限がなく、資金力の豊富な政党はどんどんPRできるようになっている。どこが公正、平等なのだろう。
 戸別訪問や文書図画の頒布を解禁したら有権者に直接、各陣営から多くの情報が届く。有権者は自分でよく考えて投票するようになる。為政者はそれが嫌だから公選法で訳の分からない規制を設けているのだろうか。
 「知らしむべからず」。これで投票率が上がるわけがない。

2017年10月15日

BMX

 BMXというスポーツがある。小ぶりでカラフルな自転車に乗って行う競技で、バイシクル・モトクロスの略だ。
 70年代にオートバイのモトクロスレースに憧れる少年たちが自転車でレースを始めたことから生まれ、映画『ET』で世界に広まった。レース、フリースタイル、ダートジャンプなどの種目がある。
 メインのレースは300mから400mのコースを走り、タイムではなく順位を競う。高さ8mのヒルを全速力で駆け降り、急角度のバンクカーブを曲がり、大小のこぶを飛び越える。
 接触や転倒、コースアウトなどが続出する激しい戦いだ。レース時間はコースによって30秒から長くても1分程度。短時間勝負ながらパワーと走行テクニック、バランス感覚、さらには巧みな駆け引きも必要だ。オリンピックでは平成20年の北京大会から正式種目となり、東京大会ではレースに加えてフリースタイルも行うことになった。

 三条市から東京五輪のBMXレース出場を目指しているプロライダーがいる。神奈川県川崎市出身で、現在は地域おこし協力隊員として下田地域を拠点に活動している菊池雄選手(27)だ。
 4歳でBMXを始め、14歳でプロレーサーとなった。平成22年に国内ランキング3位、23年には日本代表となってデンマークでの世界選手権などに出場した。
 BMXレースは自転車に乗った格闘技の面もあり、プロレベルともなるとかなり危険な戦いになる。菊池選手も24年の国内レースで転倒、頸椎を骨折し、下半身が動かなくなる大けがをした。腰骨を首に移す8時間の大手術と懸命のリハビリによって2年後に復活。国内ランキングでは再び一けた台まで戻った。
 ことし4月に三条市の地域おこし協力隊員となり、スポーツを活用した地域おこしに取り組む一方、東京五輪を目指してレース出場も続けている。4月にはインドネシアでのレースで手を切り、5月には国内レースで鎖骨を骨折、8月のレースでも前歯を折り、くちびるを10針縫った。
 けがと戦う日々でもあるが、恐怖心に打ち勝ち、夢を追い続ける不屈の精神を示すだけで地域を元気にしそうな選手だ。
 ちなみにBMX用の自転車もカーボンファイバー製が主流となりつつある。地域の地場産業にも結び付いたら面白い。

2017年10月13日

世論調査

 「こちらは○○新聞です。アンケートにご協力いただきたいと思ってお電話しました。のちほどかけ直します」という留守番電話が衆院選公示日の10日、午前と午後の2回にわたって入っていた。
 アンケートというのは世論調査のことだろう。公示日から行っているということは、投票日までの間に何回か繰り返し調査し、有権者意識の変化なども調べるのかもしれない。
 留守番電話を聞いた妻は「なんて答えようか。小選挙区と比例区両方の投票先とか聞かれるんだよね。その前に支持政党を聞かれるかもしれないし。なんて答えようかな。重視する政策とか聞かれたら、どうしよう。そんなのよく分かんないし」などと話していた。
 世論調査の電話が自宅にかかってきたことは初めて。投票所で出口調査の対象になったこともない。だからだろうか、なんだかうれしそうだ。

 翌日午前9時すぎ、改めて世論調査の電話がかかってきたそうだ。妻が協力する旨を告げると、まず「ご家族に18歳以上の有権者は何人おられますか」と質問されたという。人数を告げると「そのなかで一番、若い方は何歳ですか」。18歳だと答えると「その方にご協力いただきたいのですが、いま、ご自宅にいらっしゃいますか」。
 高校生が平日の午前9時過ぎに自宅にいるわけがない。「学校に行っています」と答えると、「そうですか。それではしょうがありません。ありがとうございました」といって、あっけなく電話を切られたという。

 「失礼な。いろいろ答えようと思って考えていたのに。18歳に質問したいんだったら、最初からそう言えばいいのに。そもそも18歳に質問したいのなら、なんで午前中に電話してくるの?その時間に18歳が自宅にいると思う?18歳に答えてほしいのなら、18歳が自宅にいそうな時間帯に電話してくるべきでしょう?午前9時すぎに電話してきて中年しかいないのなら、答えなくていいというのは中年をバカにしていない?中年の声は世論じゃないの?おばさんをばかにしてるんじゃないの?」。

 世論調査を行っている新聞社にお願いしたい。
 ささやかな家庭の小さな平和を乱さないでいただきたい。

2017年10月06日

死の商人?

 「インド人もびっくり!」は昔、カレーのCMに使われて流行したフレーズだ。およそ50年後、インドで「日本人もびっくり!」な出来事が起きた。安倍晋三首相がインドのモディ首相に原発を売り込んだのだ。売り込み文句は「世界一安全な日本の原子力技術を提供します」だった。
 さすが五輪誘致のプレゼンテーションで「フクシマについてお案じの向きには、私から保証します。状況は統御されています。東京にはいかなる悪影響にしろ、これまで及ぼしたことはなく、今後とも及ぼすことはありません」と高らかに宣言した安倍首相だ。福島第一原発の汚染水は統御どころか外海にまで漏れていた。地中に氷の壁を作って地下水の流入を防ぐ凍土遮水壁もいまだに完成しておらず、効果も定かではない。そんな状態でも「統御されている」と言い切ることができるのは安倍首相と詐欺師くらいだ。

 インド側もさすがに安倍首相の説明を鵜呑みにはしていない。相手はレベル7というチェルノブイリ原発と並ぶ世界最悪の原発事故を起こした日本だ。とりあえず日印で作業部会を設置することにした。

 インドが原発を欲しがるのは発電のためだけではない。インドはこれまで一度も核拡散防止条約(NPT)を批准していない。北朝鮮ですら一度は批准したNPTを最初から拒否し、アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国の五大国に続く六番目の核保有国となった国だ。
 中国やパキスタンとの戦争を機に核開発に走ったインドはいま100発以上の核爆弾を持っている。日本がインドに原発を輸出すれば、核保有国に濃縮ウランやプルトニウムを提供することになる。
 金のためならどんな兵器も売る「死の商人」と変わりない。日本は口では「核兵器廃絶」と言いながら、核兵器禁止条約には署名せず、インドに原発を輸出して濃縮プルトニウムを提供しようとしている。日印両国首脳は北朝鮮の核・ミサイル開発を非難することでも一致したという。金正恩朝鮮労働党委員長からすれば「お前らが言うな」だろう。
 総選挙で政界は「それどころではない」といった空気のようだが、無視できることではない。