ペンギンは助け合い、日本人は押し付け合う
冷蔵庫内の温度は2度から5度、氷を作る冷凍庫でも氷点下18度ほどだ。
南極の冬の平均気温はそれより低い氷点下20度で、最低記録は氷点下97・8度。
人間なら数回呼吸しただけで肺から出血して死んでしまうほどの寒さだ。
この極寒の地で暮らしているコウテイペンギンたちは、ハドリングという独特の寒さ対策を講じている。
ブリザード(地吹雪)が吹き荒れるなか、数百羽、数千羽がまるでおしくらまんじゅうをしているかのように身を寄せ合う行動だ。
ハドルの内側では外側では体感温度が10度以上も違うという。
どのペンギンも防風役の、寒さ厳しい外側にいるのは嫌だろう。
内側に入りたいはずだが、ペンギンたちが場所を争ってケンカすることはない。
一番つらい風上のペンギンは、寒さに耐えられなくなるとハドルの横を回って風下に移動する。
これで風上となった次のペンギンも、耐えられなくなると風下に回る。
みんながそれを繰り返すので、どのペンギンも外側と内側を交互に担うことになる。
ペンギンは嫌な役割を順に担っているが、人間はどうだろう。
日米安保条約で日本には米軍が駐留している。
その大半が沖縄県にいる。日本の国土面積のわずか0・6%しかない沖縄県内に、在日米軍基地の70・3%がある。
このために沖縄県では米国の軍人軍属による犯罪がこれまでに6029件発生も発生した。
うち580件は殺人や強盗、強姦などの凶悪犯だ。
3年前には米兵が沖縄の女性を殺害して自殺、5年前には米軍属の男が女性を強姦したうえで殺害した。
過去には小学生の少女が米兵3人に暴行されたこともある。
一昨年の米軍普天間飛行場の辺野古移転の賛否を問う県民投票では71・7%が反対。
賛成は19・0%だけだったが、政府はこの結果を無視している。
見かねた米国のカリフォルニア州バークレー市議会が先月、辺野古基地建設に反対し、工事の即時中止を求める決議を可決したほどだ。
ペンギンと違って日本では
「沖縄ばかり大変な目に遭っているから今度はうちが米軍基地を引き受けよう」
と手を挙げる都道府県はない。