2018年06月19日

減反マインドコントロール

 「マインド」は心や意識、「コントロール」は統制や制御。「マインドコントロール」を直訳すると、心や意識を統制するという意味になる。
 試合前のスポーツ選手が平静を保ち、かつ集中力を高めるために自分自身の心理状態を調整するのもマインドコントロールなら、監禁事件などの犯人やカルト宗教などが恐怖心などを利用して他人を支配することもマインドコントロールと呼ばれている。
 オウム真理教が信者たちを地下鉄サリン事件や弁護士一家殺害事件などの冷酷で悪質な犯罪に駆り立てたことで有名になった。

 農家もマインドコントロールされているのではないだろうか。
 コメの生産調整のことだ。昭和45年の本格実施から昨年まで47年間にわたり、いわゆる減反政策が行われてきた。
 この間、「3、4割もの田んぼを休耕にさせられたら我々は食べていけない。なぜ自由にコメを作らせないのか」と怒る農家に対し、政府は「自由に作れば米価は暴落する」と言い続けてきた。
 減反しても米価は下がった。
 「話が違うではないか」と迫る農家に、政府は「減反をしなければ、もっと下がった。この程度の下落で済んでいるのは減反のお陰だ」と説明してきた。
 補助金と「米価暴落」の脅し。
 いわばアメとムチで農家を減反政策に従わせてきた。

 政府はことしから減反政策を止めた。
 生産数量目標の配分はせず、目標に従った主食用米の作付けに対する助成も廃止、コメの直接支払い交付金をなくした。
 残したのは大豆やそばなど転作作物への助成だけだ。
 50年近く「減反しなければ米価は暴落」と言われ続けてきた影響もあるのか、農業関係団体などは全国農業再生推進機構を設立し、国に代わって需給調整に努めることにした。
 各自治体も生産調整の「目標」ではなく、「目安」を作った。三条市は2年前と同じく田の59%でコメを生産、41%は減反するという「目安」を示した。
 守る、守らないは農家の自由。守らなくてもペナルティーはない。
 守らない農家もいるが、「米価が気になる」「売り先を見つける自信がない」といった理由で守っている農家も多い。47年間の歳月の重みだ。

2018年06月08日

私はこれで、、、仕事を辞めました

  たばこがやめられずに仕事を辞めた男性がいる。大阪府の職員だったAさん(49)だ。
 Aさんは勤務時間中でも1日に2、3回は無性にたばこが吸いたくなるため、席を離れた。
 府庁舎の敷地内は全面禁煙。府庁舎周辺の路上などでの喫煙も禁止されているため、Aさんは庁舎から150㍍ほど離れた民間ビルの喫煙室まで行ってたばこを吸っていた。
 この間、自席を離れるのは約15分。ことし3月、府庁に「勤務時間中に席を離れてたばこを吸いに行っている職員がいる」との通報が入った。Aさんのことだった。

 人事担当の聞き取り調査に対し、Aさんは「ストレスで吸いたくなったときに我慢できなかった」と話した。
 府はAさんがこの2年間でおよそ440回、合わせて100時間以上にわたり勤務時間中にたばこを吸うため職場を離れたと認定。地方公務員法の職務専念義務に違反したとし、4月16日付けで訓告処分とした。
 Aさんの職場はよりによって府民の健康増進を担う「健康医療部」だった。
 Aさんはこの日をもって依願退職した。

 2年で100時間以上というといかにも悪質な職場放棄のようだが、府が認定した事実は勤務日に1日1回およそ15分間、喫煙のために席を離れたにすぎない。
 大阪府は橋下徹知事時代の平成20年に庁舎や出先機関の敷地内を全面禁煙とし、職員の執務時間中の喫煙も禁止した。
 その結果、休憩時間になると庁舎周辺の路上でたばこを吸う職員が増えたため、通行人や近隣住民から苦情が続出。府は2年後の22年に庁舎周辺などの路上での喫煙も禁止した。
 職員の禁煙についても保健師が個別にサポートするなど、積極的に支援している。

 三条市役所は本庁舎の敷地内に3か所、喫煙所を設けている。
 たばこを吸うのは昼休みなどの休憩時間に限っている職員が多いが、我慢できずに執務時間中に吸っている職員もいる。
 同じ地方公務員でありながら執務中の喫煙が大阪府は職務専念義務に違反し、他は違反しないという判断でいいのかどうか。
 愛煙家は今後、ますます肩身が狭くなりそうだ。

2018年05月31日

公選法を変えない限り、投票率は上がらない

 新潟県知事選の投票率はどうなるだろう。
 候補者はそれぞれ来月10日の投開票に向けて県内を走り回っているが、投票率が大幅にアップする気配は、いまのところない。
告示から一週間が過ぎても「何の選挙?」という人が多い。
 知事選は平成になって今回が9回目。平成でもっとも投票率が高かったのは金子清、志苫裕、長崎明各氏が出馬した元年の79・07%で、70%を超えたのはこのときだけ。60%台も2回しかなく、16年以降は4、50%台が続いている。
2年前の前回は53・05%。今回も60%の壁は高い。

 県選挙管理委員会は「明日へ生かそう この一票」の看板を県庁などに掲げ、チラシやティッシュペーパーを配りながら県民に投票するよう呼び掛けているが、投票率アップに必要なのはキャンペーンより公職選挙法の改正だ。
 公選法は候補者を有権者から遠ざける、時代錯誤の規制だらけとなっている。
 まず運動期間。告示日前に「この候補者に投票を」などと呼びかける事前運動を禁じている。違反者は1年以下の禁錮または30万円以下の罰金に処せられ、選挙権も停止される。
 知名度のない新人が立候補を決意し、事前に自分がやりたいと思っている政策を訴え、支援を求めることも選挙違反。「ごく短い選挙期間にすべての有権者に自分の主張を伝えなさい」という現実離れした法律になっている。

 告示後のごく短い期間に主張を伝えるにしても、戸別訪問は禁止されている。
 各家庭を訪問して候補者を宣伝し、投票を依頼した者は、事前運動と同じく1年以下の禁錮または30万円以下の罰金となる。
 せめてビラを配って主張を伝えようとしても、候補者の名前や顔写真を載せた候補者ビラは枚数が制限されているうえ、個人演説会場内や候補者が街頭演説を行っている周辺での配布などに限られえる。ローラー作戦などによる全戸配布は認められていない。
 確認団体ビラは、枚数制限はないが、候補者の名前や写真を載せることができない。
 こんな規制があるから候補者の主張も人物像も有権者に伝わらず、伝わらないから投票率も上がらない。
 
 公選法を変えずに投票率が上がらないと嘆くのは、店の前の道路を通行止めにしておきながら「客がこない」とぼやいているようなものだ。

2018年05月16日

ごみの戸別収集

 所用で東京都八王子市に行って驚いた。朝、各家庭の玄関先にごみ袋が置いてあるのだ。
 町内を回ってみてもごみ集積所、いわゆるごみステーションがない。
 戸建て住宅に住んでいる人は、自宅前の道路に面した敷地内にごみ袋を置いている。
 マンションやアパートなど集合住宅に住んでいる人たちは、それぞれ集合住宅の管理者が敷地内に設置したごみ置き場にごみを出している。
 それを市が戸別に収集する。可燃ごみは毎週2回、容器包装プラスチックは毎週1回、不燃ごみや新聞、雑誌、ペットボトル、空き缶などの資源ごみは2週間に1回、午前8時半までに出すルールになっているという。
 八王子市や武蔵野市がごみステーションを廃止し、戸別収集に切り替えたのは平成16年。いまでは立川市、三鷹市、青梅市、府中市、調布市、町田市、日野市、品川区、台東区なども戸別収集を導入している。


 戸別収集の目的はごみの減量化だ。
 ごみステーションだと、町内のだれが出したごみか分からないため分別が徹底せず、マナーも悪くなりがちだ。
 自分のごみを自宅玄関先に出す戸別収集だと、可燃ごみの袋に不燃物を入れるようなルール違反をするわけにはいかなくなる。違反が分かれば収集されず、玄関先に置きっぱなしとなるためだ。
 生ごみの水分を絞ってから袋に入れる人、買い物をするときにごみが増えないよう不要な包装を断る人も増えるという。ごみステーションへのごみの出し方をめぐる住民トラブル、大量のごみの山を狙うカラスやネコの被害もなくなる。


 デメリットはコスト。業者が住宅を一軒ずつ回ってごみ袋を集めるため、ごみステーション方式より時間も費用もかかる。それを負担するのは住民となる。八王子市の有料ごみ袋は可燃ごみ、不燃ごみともに10ℓが18円、20ℓが37円、40ℓが75円。三条市の約1・8倍だ。安さとごみの減量化のどちらを選ぶか。ただ戸別収集には減量化だけでなく、住民サービス、とくにごみステーションまでごみを持ち運ぶのが大変な高齢者に対するサービス向上になる面もある。新潟には、雪のなかでの真冬のごみ出しという都内にはない試練もある。県央でも戸別収集の是非を検討すべきではないだろうか。

2018年03月17日

何のため、誰のための検査?

 三条や燕には金属製品を取り扱う中小企業が多い。重い荷物をトラックに積むときや、倉庫内に高く積み上げるときに使う機械がフォークリフトだ。数百人規模の企業はもちろん、社員数人の個人事業所でも使っている。地場産業には欠かせない、頼りになる機械だが、自動車車検と似たような制度がフォークリフトやブルドーザーなどにもある。特定自主検査という。

 「自主」という名前が付いているが、使用者が自主的にやるわけではない。年に一度、厚労省の登録を受けた検査業者の検査を受けることが労働安全衛生法で義務付けられている。車検のような価格競争は行われておらず、どの業者に頼んでも検査料は大差ない。機械によって10万円を超えるものもあり、中小零細には重い負担となっている。

 安全確保のための点検は必要だが、常にメンテナンスを行っている使用者も、年に一度の特定自主検査のときしか点検しない使用者も、検査料は同じ。となると安全のための検査なのか、検査のための検査なのか。
 この制度はメーカーや検査・整備業者などで作る公益社団法人建設荷役車両安全技術協会が実質的に担っている。検査員の研修を一手に引き受けているだけでなく、検査済みの機械に張る検査標章や記録表なども販売している。同協会には厚労省OBが天下っている。安全のための検査なのか、天下り先確保のための検査なのか。

 先日、衆院予算委員会分科会で新潟4区選出の菊田真紀子代議士(無所属)がこの問題を取り上げた。「特定自主検査は厚労省の天下りを受け入れている協会がなくては機能しない仕組みになっている」「価格競争を阻害し、事業者に過大な負担を強いているのではないか」と追及すると、加藤勝信厚労相は「事業者や各検査業者において適切な価格を設定しているものと考えている。厚労省として検査料金をこの水準にといった指導は行っていない」とカルテルを否定した。

 特定自主検査制度だけが安全確保の方法とは思えない。検査業者が価格競争に挑みやすい環境を三条や燕の業界が作り出せないものだろうか。官僚の天下り先と産業界の国際競争力、どちらの確保が大切であるかは言うまでもない。

2018年02月10日

フラップって何?

 「フラップ、出ているよ」。
 先日、通夜に出席していたときにある人が注意してくれた。何を言われているのか分からなかった。
 フラップ? 飛行機の主翼の縁に付いている小翼のこと? 
 戸惑っていたら「スーツのポケットのフタのこと」と教えてくれた。
 「ポケットに付いているヒラヒラをフラップ、日本語では雨蓋(あまぶた)と呼ぶんだよ。もともとは屋外にいるときにポケットの中に雨や砂ぼこりが入らないように付けられたものらしい。だからフラップを出してポケットの中が濡れたり、汚れたりしないようにフタをしておくのは屋外にいるときだけなんだね。屋内ではフラップはポケットの中に入れておくのが基本的なマナーなんだよ。ビジネススーツのときはそれほど気にしなくてもいいけど、礼服を着て部屋の中にいるのにフラップを出しているのはマナー違反だから」。

 知らなかった。これまで何百回もスーツを着てきた。
 礼服だって親せきの葬式から友人の結婚式まで何十回も着ているのに、フラップを意識したことはなかった。わざわざ付けてあるんだから外に出しておけばいいのだろうぐらいに思っていた。室内にいるときも常に出しっぱなしにしていたと思う。
 自分の結婚式のときはどうだっただろう。式場スタッフから「出さないように」と教えてもらった記憶がないのは、フラップが付いていないタイプの貸衣装を着たからかもしれない。
 通夜だったので周囲の人たちも礼服を着ている。見回したらフラップを出したままの人も多かった。
 知ったかぶって「室内ではフラップを中に入れるのが紳士のマナーなのだよ、君たち」と教えたくなったが、読経が始まったので我慢した。

 次の日、得意になって知り合いの若者に教えたら「当たり前でしょ。フラップは出さないし、スーツのボタンは二つボタンなら一番上、三つボタンなら真ん中だけを留めて、座るときは外す。それぐらいは就職試験の面接を受けるときの基本ですからね。常識ですよ」と言われた。
 悪かったね、非常識なおじさんで。
 でも、そんなことで人を評価し、採用するかどうかを決めるような会社はつまらないと思うよ。

2018年01月27日

身勝手な意見書

 埼玉県議会が原子力発電所の再稼働を求める意見書を可決し、国に提出した。
 埼玉県内に原発はない。
 東京電力が世界最大級の柏崎刈羽原発や、チェルノブイリと並ぶ史上最悪の事故を起こした福島第一原発などで作った電気を使ってきた県だ。他県の原発で作った電力を消費するだけの埼玉県が、新潟県や福島県にある原発の再稼働を求める意見書を国に提出したわけだ。

 なんとも身勝手な意見書だ。新潟県議会はこれを黙って見ているつもりなのだろうか。埼玉に手も足も出ないのは、サッカーJリーグの浦和レッズに勝てないアルビレックス新潟だけにしてほしい。

 正式名は「世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた原子力発電所の再稼働を求める意見書」。
 エネルギーの安定供給や経済効率性の向上、環境への適合のために原発の再稼働は「欠かせない」とし、原子力規制委員会が規制基準に適合すると認めた原発の再稼働を国に「強く要望する」ものだ。

 関係団体から要望を受けた自民党埼玉県議団などが昨年12月定例会に提案、賛成多数で可決した。同県議会では県議86人のうち6割余の52人を自民党が占めているという。意見書は衆参両院議長、首相、経産相、原子力防災担当相に提出した。

 原発立地県が意見書を提出するならともかく、埼玉県のように自分たちの地域への立地は認めず、他地域の原発で作った電力を消費するだけ、いわばリスクは負わずに便宜だけを受けてきた県が、国に再稼働を求めるのはいかがなものだろう。
 原発立地県民が「いい加減にしろ、再稼働を求めるなら自分たちの地域に原発を造れ」と思うのは当然のことではないだろうか。

 意見書では「将来の世代に負担を先送りしないよう高レベル放射性廃棄物の最終処分に向けた取り組みを強化すること」も求めている。
 原発から出る、いわゆる「核のごみ」は処分場受け入れ地域がないため、原発敷地内と青森県六ケ所村にため込まれている。再稼働すれば「核のごみ」はさらに増える。「将来の世代に負担を先送りしない」というなら、埼玉県が最終処分場を受け入れればいい。
 それもせずに「再稼働しろ、核のごみは原発内にためておけ」はあまりに勝手だ。

 意見書には法的拘束力も大きな政治的効果もない。だからといって新潟県が言われっぱなしでは腹の虫がおさまらないという県民も多い。県議会はきちんと反論すべきではないだろうか。