2009年05月21日

地方分権と三条市議会

 先日、三条南ロータリークラブ様の例会で「地方分権と三条市議会」をテーマに卓話をさせていただきました。以下はその内容です。

1 上下・主従関係から対等・協力関係へ

 かつて市町村の仕事の6、7割は、機関委任事務という国から言われたとおりにしなければならない国の下請け仕事でした。市長は大臣の地方機関といった位置付けで、機関委任事務に関して市議会は関与すらできませんでした。それが95年の地方分権推進法、2000年の地方分権一括法の施行によって機関委任事務が全廃され、法定受託事務となりました。補助金や交付税、許認可権などによって依然、国と地方の力関係は圧倒的に国が強いことに変わりはありませんが、法的には上下、主従の関係から対等、協力関係に変わりました。市長は各大臣の命で働く営業所長から、協力会社の社長に変わったようなものです。
 その分、地方の裁量も増え、地方が独自に上乗せしている行政サービスも増えました。北海道の夕張市が財政破綻し、財政再建団体となったのはご承知の通りです。市の上乗せサービスができないため、保育料の最高額は三条市が月額45,300円なのに対して夕張市は80,000円です。夕張市民は本当に大変だと思います。三条市も昭和31年から37年まで財政再建団体でしたが、市民生活への影響はいまの夕張ほど大きくはありませんでした。地方の裁量が増えた結果、自己責任も大きくなったということだと思います。


2 なぜ役所仕事が起こるのか

 市役所の仕事はすべて、予算と条例に基づいて行われています。逆に言うと予算や条例がなければ市役所は動けません。その予算や条例を決めるのが市議会なのですが、議会は年に4回、3月、6月、9月、12月しか開かれません。大相撲より少ないのです。民間なら、例えば3月の納期に間に合わなければ残業して4月早々に納品しようと努めます。しかし役所はお客様、つまり市民からこういうサービスをしてほしいという発注があっても、納品、つまりサービス提供は3月に間に合わなければ次の6月議会で予算や条例を決めてから動くことになります。それも間に合わなければ半年後の9月。下手をすると1年後の来年度当初予算でとなってしまいます。よく役所の職員はひまそうにしていると言われますが、それは動きたくても動けないシステムになっているからという面もあるんです。
 子育て支援策に児童クラブというものがあります。保育所のころは朝から夕方まで子どもを預けておけるので親御さんは安心して働けるのですが、小学生になると下校は午後2時、3時になり、夏休みや冬休みは一日中、家にいることになります。お母さんが仕事を休んだり、パートを辞めたりしなければならないと困るので、放課後や長期の休み期間中、子どもさんを預かるのが児童クラブです。これを設置するにあたり、準備の都合で6月定例会での条例制定が間に合わない地域がありました。だったら7月に臨時会を開いて条例を整備すれば夏休みに間に合うのですが、市は次の9月定例会まで待ちました。夏休みにこそ必要な施設なのに、9月から準備を始めるわけです。
 民間なら、こんなことをしていたら倒産します。役所だけはそれが当たり前になっています。地方自治法の改正で定例会は年4回に限らず、いくらでも開けるようになりました。一年中でもよくなりました。役所仕事をなくし、市が市民要望にスピーディーに対応するには議会から変えなくてはならないと思います。


3 二元代表制なのに市民ニーズは一元集約

 国は国民に選ばれた国会議員が内閣を造る一元代表制ですが、市町村は首長と議員、いずれも選挙で選ばれる二元代表制です。どちらも民意を代表していることになっているのですが、市長は1,000人もの職員を使って組織的に民意がどこにあるかを確かめます。自治会長さんがまとめる地域要望も市長のもとに集まります。市長へのたよりといった制度もあります。これに対して現在29人いる議員はそれぞれ自分ひとりで市民の間を回り、民意を集めています。A案とB案、どちらが民意に沿うのか、首長と議会のどちらが民意を正しく把握しているのかといった議論になると、いわば千人規模の企業と29の個人商店が対決しているような形となります。情報量の差は圧倒的です。議会も個人商店の集まりではなく、組織として民意を把握する仕組みづくりが必要ではないかと思います。


4 株主総会から取締役会へ

 議会はこれまで、執行機関の監視役、市長のチェック機関としての機能が最重視されてきました。市長の行き過ぎ、あるいは怠慢をチェックすることが議会に求められるもっとも大きな役割でした。しかし分権が進み、地方同士の競争が激しくなった現在、議会は監視機能に加えて、政策や予算を決定する機関としての責任や、問題を提起したり、政策を提案する能力が求められています。政策によって都市間格差が広がる時代に入ったのですから、議会の位置付けも変わって当然です。
 先ほど話した夕張市は、標準財政規模の14倍もの負債を抱えて破綻しました。この膨大な債務があることを最初に指摘したのは北海道新聞で、議会ではなりません。財政破綻の責任は市長だけでなく、放漫財政を放置してきた議会にもあります。
 企業に例えると、これまでの議会はどちらかというと株主総会のような存在でした。役員の決定権を握り、意見や要望を言うことはあっても、経営責任は役員にありました。これからの議会には取締役会のような役割が期待されています。政策を決めるとともにその責任も負う存在です。市長とは緊張感を持った協力関係を保ち、陳情ではなく政策提言をする機関にならなければ地域間競争に勝ち残れないのではないかと思います。
 地域への強い影響力を持ったロータリーの皆様には、今後も議会のあり方についてご指導ご支援を心からお願い申し上げます。つたない私の話を聴いてくださったことに感謝申し上げ、卓話を終わらせて頂きます。

2009年03月19日

県職員1人に対し市町村職員2人~自立度ゼロ歳児並み

 行政には国と都道府県、市町村がある。市民から見ると全部が「役所」。同じような仕事もしているために「二重行政」「三重行政」の批判を浴びている。
 役割は、一応は分担されている。国は「国際社会における国家としての存立にかかわる事務」や「全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動」「全国的な規模、視点に立って行わなければならない施策」などを担うことになっている。
 地方が担うのは「地域における事務等で、法律や政令により処理することとされるもの」。このうち「広域にわたるもの、市町村の連絡調整に関するもの、規模や性質において一般の市町村が処理することが適当でないもの」は都道府県、その他は市町村が担うと地方自治法に定めてある。
 現実には国も地方も同じような仕事をしている。道路や河川、農地の整備や管理、中小企業支援などだ。県と市町村間でも、健康づくりや生涯学習、男女共同参画、国際交流、環境保全などを双方で行っている。
 無駄の多いこれら二重、三重行政の解消は行政改革の目玉のひとつであるとともに、地方分権を進めることにもなる。
 泉田裕彦新潟県知事も「行政サービスは基本的には住民にもっとも近い市町村が担い、県などの広域公共団体はこれを補完する、いわゆる近接、補完の原理に基づいて行われることが適当。県は市町村のサポーター役を務めることが大事。これまでのような国の決めたルールに従って事業を執行することに重点を置いた組織ではなく、市町村や民間の視点に建った県の仕組みに変えていきたい」との考えを示している。
 ところが、職員数を見るとどちらがサポーター役で、どちらが実働部隊か分からない。昨年4月の県内31市町村の職員数は合わせて2万8377人。これに対して県は3万5694人で、県が7327人も多い。小中学校の教職員や警察官、県立病院職員などを除いた一般行政部門だけで比べると、県職員は6438人、県と同格の政令指定都市となった新潟市を除いた県内30市町村の一般行政部門職員は1万2001人。市町村職員2人に対して県職員が1人以上いることになる。県がサポーターというよりプレーヤーとなっている部分が多いためだ。
 合併によって市町村の規模も大きくなった。二重行政の無駄を省きつつ、市民サービスを向上させるために、県の権限と財源、職員を市町村に移すべきだ。ちなみに公立保育所の保育士配置基準は、ゼロ歳児2人に保育士1人、3歳児は20人に1人、4、5歳児は30人に1人。県職1人に対して市町村職2人という現状は、市町村の自立度がゼロ歳児並みということか。せめて3歳児並みぐらいまで成長しなければならないのではないだろうか。

2009年03月07日

一般質問

 6日、市政に対する一般質問を行いました。内容は「三条市が育むべき人材について」「児童クラブについて」「図書館について」「小中学校のグラウンド整備について」の4項目です。
 人材育成に関して教職員の人事権を市町村に移譲するよう運動すべきだとの主張に、国定市長は市長会などで要望していくとの見解を示したほか、児童クラブは市民要望に柔軟に対応することを、芝生化など小中学校のグラウンド整備については前向きに検討する方針を示してくれました。
 以下は質問の概要です。ちょっと長くなりますがアップします。

1 教育行政について 三条市が育むべき人材について

 三条市は学校教育の基本方針で、目指す児童生徒像を「未来を拓き、力強く生きるための『たしかな学力』『豊かな心、感性』『健やかな身体』をもった三条っこ」、目指す学校像を「児童生徒の生きる力(知、徳、体を育む学校)」とし、重点目標を「地域に信頼される特色ある学校づくり」「確かな学力の向上」「豊かな心、感性の育成」「健やかな身体の育成」「生徒指導の充実」「特別支援教育の充実」の6項目と定めている。もっともな言葉が並んでいるが、これらは「三条っこ」という言葉を抜けば新潟市のもの、函館市のもの、那覇市のものだといっても通用する。裏返すと三条市ならではという方針や目標ではない。全国共通といっていいような内容でしかない。「特色ある学校づくり」を重点目標に掲げているが、特色のない基本方針や学校像を掲げておきながら特色ある学校づくりなどできるわけない。市長は施政方針で「他市に誇れる三条市の教育を形作っていきたい」と述べられているが、基本方針や重点目標は誇れる内容か。もっと三条らしい、他市から見て「なるほど」と思われる内容にすべきではないか。
 子どもたちの将来を考えるとき、これだけ変化の激しい時代にあっては、まず子どもたちが社会に出るころの日本や、地域がどのようになっているのかを考えなくてはならない。そうした近未来社会で力強く生き、地域に貢献するためのスキルを伸ばさなくては教育の意味がない。どのような近未来社会を想定しているのか。
 確実なのはグローバル化がより進んでいるということ。三条の企業もメーカーであれ、商社であれ、否応なく、いま以上に海外と取り引きせざるを得なくなっている。材料は国産だけ、売り先は国内だけ、日本人以外とは付き合わないという商売のやり方はあるにはあっても、伸びる企業にはなりえなくなっているのではないか。ネット社会も良かれ悪しかれ、いま以上に進んでいると思われる。そうした状況で子どもたちのどんなスキルを伸ばすべきなのか。
 地域や産業界の協力を得て、いま三条の産業はどんな国と取り引きしているのか、この先、どうなりそうなのか、この先、地域はどんな人材を求めることになるのかといった話を聞く機会を増やすべきではないか。いま現在、世界各国と取り引きしている企業はたくさんある。そうした企業の経営者や人事担当者を小中学校に招き、「三条の企業はこんな国、あんな国とこういう取り引きをしているんだよ」「皆さんがこういう勉強をして、こうした能力をみにつけたら、おとなになってこんな活躍ができるよ」といった話、あるいは「自分はこうして独立し、事業を大きくした。君たちもこれを心がけるといい」といった話、企業だけでなく、例えば医療や福祉、金融などさまざまな仕事の第一線で活躍している社会人が直接、子どもたちに話しかける機会などをもっと設けるべきではないか。小中一貫教育関連の来年度予算は6059万円に達し、市独自で講師15人を配置することも行う。制度の整備も大事だが、教育の本質にももっと予算を割くべきではないか。
 教育は制度も大切だが、一番は人だ。学校教育は教職員次第。そうしたなかで人事権を持つ政令指定都市とそうでない市町村との格差が懸念される。地域の子どもは地域で育てるといわれている。そのためには地域の教員を地域で育てる必要がある。すぐに合併ができそうもないいま、教職員の人事権を三条クラスの市、あるいは県央レベルの広域圏に移譲する運動を起こすべきではないか。


2 児童クラブについて

 地場産業のまち三条にとって、児童クラブは大切な子育て支援施設。19年度にようやく旧三条地域の15小学校区と、栄地区、下田地区に各1ヶ所設置できたが、まだ十分とはいえない。条例では対象児童を原則1年生から3年生としているが、「市長が必要と認めた児童」も入会可能としている。今年度は施設によっては4、5、6年生も入会しているが、過密状態の施設は3年生までとし、4年生以上の入会は断ってきた。来年度は余裕のある施設も4年生以上は断るという。なぜ、空いている施設まで断るのか。せめて春休み、夏休み中は受け入れられないのか。
 4年生といっても個人差がある。放課後、家に一人で置くのは心配という親も多い。三条は地場産業のまちだけに共働きの親が多い。近年は母子家庭、父子家庭も多くなっている。保護者が安心して働けるために、また男女共同参画社会実現のためにも児童クラブの拡充は急務であり、子育て支援を6つの重点施策のひとつに掲げている国定市政の責務でもある。児童が過密状態にある一ノ木戸、裏館、南の3施設について、学校施設を活用するなどして対応すべきだ。


3 図書館について

 平成20年4月に指定管理者制度を導入してほぼ1年。成果はどうか。
 地域の歴史の記録者、文化の守り手としての活動は十分か。生涯学習課で対応できているのか。
 図書館は司書の資格がある職員を配置するだけでは、適切なサービスは提供できない。その図書館に慣れ、どんな蔵書があるのか、どこに何があるのか、パソコンで調べるにしても大雑把に全体像を把握していなくてはならない。そういう点で職員の定着率が大切だが、人件費を削れば定着率は悪くなる。適切な対応を求めるべきではないか。
 先進的な図書館では新たなサービス提供に取り組んでいる。千代田区立図書館などでは、職員が利用者の知りたい情報を一緒に探すレファレンスサービスのほか、地域の玄関口として地域の文化施設やレストラン、イベントや喫茶店、観光スポット、古本屋の紹介なども行うコンシェルジュサービスも行っている。レファレンス自体、例えば三条の業界人がこうした技術について調べたい、特許について調べたい、企業化について調べたいと申し込めば、それにあった図書や資料を紹介してくれる。三条でもこうしたサービスに取り組むべきではないか。


4 小中学校のグラウンド整備について
 新潟はグラウンドを使える日が少ない。12月から2月まで使えない。それだけで雪国以外の地域と比べて4分の1、損している。そのうえ、暗きょが不十分で雨の日の翌日、翌々日も使えないとなれば、子どもたちがグラウンドを使える日はさらに減ってしまう。改めて暗きょ工事などしなくともグラウンドの水はけは良いという学校はどの程度あるのか。今後、暗きょ整備を計画的年次的に進めるようにすべきではないか。
 小中学校のグラウンドの芝生化については平成13年6月と12月に清水昭治議員が一般質問されている。清水氏は「サッカー、野球などの球技は本来、芝のうえで行うのが基本であり、土のうえだけではタックルやセービングのような基礎技術が身に付かない、スポーツ嫌い、体育が苦手という子どものためにも、あるいは情操教育のためにも、さらには近隣への砂ぼこり対策のためにも芝生化は必要」と説かれている。これに対して当時の高橋一夫市長は「グラウンドの一部に芝を張ることは可能ではないかと考えている。地域の協力も得ながら、コミュニティーの拠点としての学校整備のひとつに位置付けられないか検討したい。範囲を限定したなかで、一部、試験的な実施が来年度から可能かどうかも含めて検討したい」と答弁されている。答弁から8年が過ぎた。いまだにグラウンドに芝を張った学校はない。なぜ進まないのか。
 三条・燕総合グラウンドを見ても、総合運動公園の芝生広場を見ても、子どもたちのためには思いっきり走って転んでもけがをしない芝生のグラウンドの方がいいのは分かりきっている。東京都は10年間で都内約2000の公立小中学校すべてのグラウンドを芝生化する事業を進めている。いま鳥取や塩釜の低コストの芝生化事業も注目を集めている。三条市も検討すべきだ。

2009年02月16日

自分で決めたい税の使い道~パーセント法

 パーセント法が流行りつつある。納税者が自分の納税額の一定率を公益機関・団体などに提供できる制度で、平成8年にハンガリーが導入して以後、各国に広まっている。
 日本では千葉県市川市が平成17年から実施している。名前は市民活動団体支援制度(1%支援制度)。支援金の交付を希望するボランティア団体やNPОなどがあらかじめ活動計画を市に提出し、市はそれらを市民に広報する。
 市民は、自分が納める個人市民税のうち、1%分の使途を自分で決めることができる。ある団体の活動を応援したいと思う人はその団体に、特定の団体に限らず市民活動全般に使ってほしいと思う人は市民活動団体支援基金に一%を振り向けると申し出ればいい。意思表示をしなければ、他の税と同様に市政全般に使われる。
 市川市の人口は約47万人。初年度は6344人が団体や基金への活用を申し出た。団体交付額と基金積立金の合計は1519万円だった。
 今年度は8278人が使途を指定、団体に1737万円を交付し、基金に206万円を積み立てることになった。
 交付を受けるのは104団体。活動内容は福祉施設の慰問から地域の緑化活動、ホームレスの生活支援、障害者支援、音楽文化振興、スポーツ振興、市民の健康増進、エコロジー推進、子育て支援などさまざま。交付額はその団体を支持する納税者の人数と納税額によって異なり、今年度は1万5000円から69万円まで幅が開いた。
 制度の目的は納税者意識を高めることと市民活動の育成支援。給料明細書でチェックするのはもっぱら手取り額だけで、自分の納税額には関心がないという人も多いなか、この制度を利用することで税の使い道を考えたり、自分の納税額をしっかりと把握することにつながる。
 ボランティア団体やNPОについては財政支援になることはもちろん、市民に認知され、支持される活動を意識するようにもなり、より公的な性格が強まる。結果として市民と行政との協働を進めることになる。
 三条市内にも「自分の税の使い道については、たとえごく一部であっても自分で決めたい」という声はある。「パーセント法を導入すれば納税者の意識はもちろん、ボランティア団体の意識も大きく変わる」と説く税の専門家もいる。
 三条市の場合、事務コストがどの程度になるのかにもよるが、検討する価値はあるのではないだろうか。(スキップビート92 2月16日付け三条新聞)

2009年01月23日

三条市の21年度は「根張りの年」~不況で苦しいときを粘り強く

 「芽だし」「深化」の次は何か。毎年度の施政方針をひと言で表すように努めている国定勇人三条市長は、21年度を「根張り」の年と位置付けた。
 市長は平成17年の合併から2年間を「足場固め」の時期だったとし、国定市政最初の予算編成となった19年度を「芽だしの年」、20年度はその芽をしっかり根付かせる「深化の年」と位置付けてきた。
 21年度は「根張りの年」。根張りとは、根が土中に張り広がること。未曾有の不況が世界を覆っている昨今、無理して開花を急ぐより、茎が倒れないようにしっかりと根を張りめぐらせ、次年度以降の開花を目指して着実に前進しようという意図だという。また異業種連携、異地点間連携、あるいは地域コミュニティといった各種ネットワークの構築を推進する意味も込められている。
 こうした方針で21年度予算の編成作業を進めているわけだが、不況で三条市も税収の大幅減は避けられない。税源不足をどう乗り切るかが課題だが、「根張り」は「粘り」にも通じる。苦しいときこそ粘り強い市政運営に努めなければならないとの自戒も込められている。
 「芽だし」や「根張り」が分かりやすい言葉かどうかは別として、政治や行政のリーダーが理念やスローガンを掲げ、それを市民に説明し、理解を求めるのは大切なことだ。日本は池田勇人首相の「所得倍増」の掛け声に乗って高度成長を成し遂げた。当時の池田内閣のスローガンは「寛容と忍耐」。政策も理念も明確だった。
 所得倍増計画だけなら貧富の差が激しい、いまの中国のような社会になっていた。そこで田中角栄首相が唱えたのが「国土の均衡ある発展」に向けた「日本列島改造」。これを「決断と実行」という果敢な政治スタイルで推進し、格差拡大を防いだ。
 中曽根康弘首相は「戦後政治の総決算」を掲げ、佐藤栄作、吉田茂に続く戦後3番目の長期政権を維持した。その中曽根政権を抜いて戦後三位となった小泉純一郎首相は「聖域なき構造改革」「構造改革なくして景気回復なし」「官から民へ」といったスローガンを次々と打ち出し、劇場型政治を展開した。
 評価はどうあれ大物政治家が国民に発したメッセージには、政治理念や目標が込められていた。ことしの年頭記者会見で麻生太郎首相が掲げた言葉は「安心」「活力」。紛争続きの中近東の政治家が発した言葉だったら、それなりに政治理念や深さを感じられたのかもしれない。日本の政治家が使うには、安心も活力も、ありきたり過ぎる。使い古されたものを再利用するエコは、言葉以外の分野で実践した方がいいのではないだろうか。(スキップビート91 1月23日)

2009年01月17日

だます手口は年々巧妙に~三条署管内の振り込め詐欺

 タクシー強盗などの犯罪が多発している。景気の悪化は治安に響く。粗暴犯はもとより、地場産業の町三条では資金繰りの苦労に付け入る悪質詐欺などにも気をつけなければならない。
 三条署管内の昨年1年間の振り込め詐欺被害は10件、487万円だった。11月には三条市内の80歳代の男性Aさんが150万円を騙し取られた。手口は、甥を装う男が電話で「株に失敗して会社の金を遣い込んでしまった。きょうの会議でそのことがばれてしまう」、甥の上司を名乗る男が「ばれると警察沙汰になる。150万円振り込んでもらえれば、きょうの会議は乗り切れる」と説明。甥を可愛がっていたAさんは、指定された口座に150万円を振り込んだ。男と甥は別人と気付いたとき、150万円は引き出され、男の携帯電話もつながらなくなっていた。
 未遂事件となると、少なくともこの数十倍はある。60歳代の女性が息子を装う男に騙され、あやうく300万円を振り込みかけたこともある。このときは「携帯電話をなくした。新しい番号はこれ」と犯人が事前に連絡してきた携帯番号のメモをなくしたことが幸いし、なくしたはずの携帯番号をダイアルしたところ、本物の息子と連絡がとれ、詐欺と分かった。
 不況下、資金繰りに苦しむ中小零細企業を狙った融資保証金詐欺という手口もある。正規の金融業者を装って無担保融資のはがきやメールを送り、問い合わせには、いかにも有利な融資を実行するかのように説明。実行直前になって保証金を求める。最初は少額で、振り込みがあれば追加保証を求める。振り込み済みの金を無駄にはしたくないとの心理を利用して保証金を吊り上げていく。
 これの一般消費者向けがおまとめローン詐欺。消費者金融などの高金利融資を一括返済するための資金提供を装う手口で、まず信用調査のためと称して別の消費者金融から借金をするよう指示。その金を証拠金や保証金、入会金などの名目で送金させる。「送金すれば融資を実行する」との説明は、もちろん嘘だ。
 国は平成15年に金融機関に対し、口座開設にあたっての本人確認を義務付ける本人確認法を、16年には預金口座の売買にも罰則を適用する改正本人確認法を施行。17年には携帯電話の販売に際しても本人確認を義務化したが、犯罪現場ではやみ金融などの多重債務者やホームレスなどの名義の売買が横行している。犯罪に使われた口座を凍結することは可能だが、大半は発覚前に金が引き出されており、被害金の回収も、口座などの名義人からの捜査も困難となっている。
 騙す手口は年々、巧妙になっている。油断は禁物だ。(スキップビート90 1月17日付け三条新聞)

2009年01月14日

定住自立圏構想~三条・燕市は新制度の下「中心市」へ

 広域行政のあり方がことし4月から抜本的に変わることになった。これまで県央の広域行政の核となってきた県央広域市町村圏協議会(会長・国定勇人三条市長)は解散せざるを得ず、今後は三条、燕両市が新たな制度における「中心市」について協議していくことになる。
 総務省が現在の広域行政圏に変わる、新たな地方活性化施策として定住自立圏構想を打ち出したもの。ことし4月に同構想推進要綱を施行する。一方、昭和44年の策定から現在まで広域行政を支えてきた広域行政圏計画策定要綱はことし3月末で廃止となった。
 県央では県央広域市町村圏協議会が40年にわたって活動してきた。当初は県央11市町村、合併などを経た現在は5市町村が会員で、県央まつりの開催や国県への要望活動などを行ってきた。
 近年は公共施設の相互利用協定や、応急診療所の設置などをめぐり、加茂市と他市町村の足並みがそろわず、広域協力は停滞。協議会の存在意義も薄らいできた。結果的には内部から解散の声が上がる前に、総務省の要綱廃止によって存在根拠を失うため、協議会は遅くとも数年以内に解散せざるを得なくなった。
 総務省が新たに打ち出した定住自立圏構想は、中心市と周辺市町村が、自らの意思で1対1の協定を結ぶことで形成する、核が明確な圏域。中心市は原則として人口5万人以上で、夜間人口より昼間人口が多いことなどが条件となっている。中心市になろうとする市は地域全体の経営の中心的役割を担い、協定相手の周辺市町村住民にも積極的に各種サービスを提供していく方針などを明記した宣言書を作成。医療や福祉、教育、産業振興、公共交通、人材育成などに関する協定を周辺市町村と結び、共生ビジョンを策定する。
 総務省は協定を結んだ中心市には年間4000万円程度、周辺市町村には1000万円程度の特別交付税を交付するほか、協定などに基づく基幹的施設整備などに地域活性化事業債、民間事業者などに融資を行うファンドを形成する場合は一般単独事業債を充当するといった財政支援も行うことにしている。
 県央で中心市となりうるのは三条、燕両市。加茂市は人口要件を満たしていないため対象外となる。三条、燕両市の場合、それぞれが中心市となってふたつの定住自立圏を作る方法のほか、両市は隣接しているため、合併していなくても両市をひとつの中心市とみなし、ひとつの定住自立圏を作ることもできる。
 もっとも定住自立圏を作るには協定を結ぶ相手が必要。もともと広域協力に消極的な加茂市は別として、田上町や弥彦村まで三条や燕と協定を結ぶのは嫌だとなれば、県央は自立圏なしとなる。協議はこれからだが、いずれにしろことしは県央の広域行政が大きく変わる年となる。(スキップビート89 1月14日付け三条新聞)