2017年10月15日

BMX

 BMXというスポーツがある。小ぶりでカラフルな自転車に乗って行う競技で、バイシクル・モトクロスの略だ。
 70年代にオートバイのモトクロスレースに憧れる少年たちが自転車でレースを始めたことから生まれ、映画『ET』で世界に広まった。レース、フリースタイル、ダートジャンプなどの種目がある。
 メインのレースは300mから400mのコースを走り、タイムではなく順位を競う。高さ8mのヒルを全速力で駆け降り、急角度のバンクカーブを曲がり、大小のこぶを飛び越える。
 接触や転倒、コースアウトなどが続出する激しい戦いだ。レース時間はコースによって30秒から長くても1分程度。短時間勝負ながらパワーと走行テクニック、バランス感覚、さらには巧みな駆け引きも必要だ。オリンピックでは平成20年の北京大会から正式種目となり、東京大会ではレースに加えてフリースタイルも行うことになった。

 三条市から東京五輪のBMXレース出場を目指しているプロライダーがいる。神奈川県川崎市出身で、現在は地域おこし協力隊員として下田地域を拠点に活動している菊池雄選手(27)だ。
 4歳でBMXを始め、14歳でプロレーサーとなった。平成22年に国内ランキング3位、23年には日本代表となってデンマークでの世界選手権などに出場した。
 BMXレースは自転車に乗った格闘技の面もあり、プロレベルともなるとかなり危険な戦いになる。菊池選手も24年の国内レースで転倒、頸椎を骨折し、下半身が動かなくなる大けがをした。腰骨を首に移す8時間の大手術と懸命のリハビリによって2年後に復活。国内ランキングでは再び一けた台まで戻った。
 ことし4月に三条市の地域おこし協力隊員となり、スポーツを活用した地域おこしに取り組む一方、東京五輪を目指してレース出場も続けている。4月にはインドネシアでのレースで手を切り、5月には国内レースで鎖骨を骨折、8月のレースでも前歯を折り、くちびるを10針縫った。
 けがと戦う日々でもあるが、恐怖心に打ち勝ち、夢を追い続ける不屈の精神を示すだけで地域を元気にしそうな選手だ。
 ちなみにBMX用の自転車もカーボンファイバー製が主流となりつつある。地域の地場産業にも結び付いたら面白い。

2017年10月13日

世論調査

 「こちらは○○新聞です。アンケートにご協力いただきたいと思ってお電話しました。のちほどかけ直します」という留守番電話が衆院選公示日の10日、午前と午後の2回にわたって入っていた。
 アンケートというのは世論調査のことだろう。公示日から行っているということは、投票日までの間に何回か繰り返し調査し、有権者意識の変化なども調べるのかもしれない。
 留守番電話を聞いた妻は「なんて答えようか。小選挙区と比例区両方の投票先とか聞かれるんだよね。その前に支持政党を聞かれるかもしれないし。なんて答えようかな。重視する政策とか聞かれたら、どうしよう。そんなのよく分かんないし」などと話していた。
 世論調査の電話が自宅にかかってきたことは初めて。投票所で出口調査の対象になったこともない。だからだろうか、なんだかうれしそうだ。

 翌日午前9時すぎ、改めて世論調査の電話がかかってきたそうだ。妻が協力する旨を告げると、まず「ご家族に18歳以上の有権者は何人おられますか」と質問されたという。人数を告げると「そのなかで一番、若い方は何歳ですか」。18歳だと答えると「その方にご協力いただきたいのですが、いま、ご自宅にいらっしゃいますか」。
 高校生が平日の午前9時過ぎに自宅にいるわけがない。「学校に行っています」と答えると、「そうですか。それではしょうがありません。ありがとうございました」といって、あっけなく電話を切られたという。

 「失礼な。いろいろ答えようと思って考えていたのに。18歳に質問したいんだったら、最初からそう言えばいいのに。そもそも18歳に質問したいのなら、なんで午前中に電話してくるの?その時間に18歳が自宅にいると思う?18歳に答えてほしいのなら、18歳が自宅にいそうな時間帯に電話してくるべきでしょう?午前9時すぎに電話してきて中年しかいないのなら、答えなくていいというのは中年をバカにしていない?中年の声は世論じゃないの?おばさんをばかにしてるんじゃないの?」。

 世論調査を行っている新聞社にお願いしたい。
 ささやかな家庭の小さな平和を乱さないでいただきたい。

2017年10月06日

死の商人?

 「インド人もびっくり!」は昔、カレーのCMに使われて流行したフレーズだ。およそ50年後、インドで「日本人もびっくり!」な出来事が起きた。安倍晋三首相がインドのモディ首相に原発を売り込んだのだ。売り込み文句は「世界一安全な日本の原子力技術を提供します」だった。
 さすが五輪誘致のプレゼンテーションで「フクシマについてお案じの向きには、私から保証します。状況は統御されています。東京にはいかなる悪影響にしろ、これまで及ぼしたことはなく、今後とも及ぼすことはありません」と高らかに宣言した安倍首相だ。福島第一原発の汚染水は統御どころか外海にまで漏れていた。地中に氷の壁を作って地下水の流入を防ぐ凍土遮水壁もいまだに完成しておらず、効果も定かではない。そんな状態でも「統御されている」と言い切ることができるのは安倍首相と詐欺師くらいだ。

 インド側もさすがに安倍首相の説明を鵜呑みにはしていない。相手はレベル7というチェルノブイリ原発と並ぶ世界最悪の原発事故を起こした日本だ。とりあえず日印で作業部会を設置することにした。

 インドが原発を欲しがるのは発電のためだけではない。インドはこれまで一度も核拡散防止条約(NPT)を批准していない。北朝鮮ですら一度は批准したNPTを最初から拒否し、アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国の五大国に続く六番目の核保有国となった国だ。
 中国やパキスタンとの戦争を機に核開発に走ったインドはいま100発以上の核爆弾を持っている。日本がインドに原発を輸出すれば、核保有国に濃縮ウランやプルトニウムを提供することになる。
 金のためならどんな兵器も売る「死の商人」と変わりない。日本は口では「核兵器廃絶」と言いながら、核兵器禁止条約には署名せず、インドに原発を輸出して濃縮プルトニウムを提供しようとしている。日印両国首脳は北朝鮮の核・ミサイル開発を非難することでも一致したという。金正恩朝鮮労働党委員長からすれば「お前らが言うな」だろう。
 総選挙で政界は「それどころではない」といった空気のようだが、無視できることではない。

2017年09月20日

UFOと黒ネコ

 国会で未確認飛行物体、いわゆるUFOに関する質疑が行われたことがある。
 10年前に山根隆治参院議員(民主)が「政府として地球外から飛来してきたと思われる未確認飛行物体(UFO)についてどのような認識を持っているのか。どのような情報収集や研究、対応を行ってきたのか」という質問主意書を提出した。
 当時の福田康夫首相は「政府としてはUFOの存在を確認していないため、特段の情報収集、外国との情報交換、研究等を行っておらず、我が国に飛来した場合の対応についても特段の検討を行っていない」と答弁した。
 町村信孝官房長官は定例会見で「政府の公式答弁としては紋切り型になるが、私は個人的にはこういうものは絶対いると思っている。そうじゃないと、ナスカの地上絵など説明できない」
 石破茂防衛相は「UFOや宇宙人が存在しないと断定できる根拠はない」「ゴジラの映画で自衛隊が出るのは天変地異の類なので災害派遣。UFOは災害派遣かな、防衛出動かな。我が国への武力攻撃はあるのか。仲良くしようと言われたらまた対応は違う」などと話した。

 これより数年前、欧州からアラスカに向かった日本航空機の機長がUFOを目撃したことがあったという。アンカレッジ空港に着陸しようとしたところ、UFOと思われる光の集団につきまとわれた。着陸後、機長は「UFOに追いかけられた」と上に報告した。
 国交省はすぐに機長を乗務停止処分とし、精神科の医師の診断を受けさせた。
 以後、日航のパイロットたちは「UFOらしきものを見ても口外してはならない。すれば乗務停止になる」と口をつぐむようになったという。後日、科学者たちが検証したところ、気象条件と太陽の位置、飛行経路などによってアンカレッジ空港周辺では機体の影が乱反射し、UFOに追いかけられているように見えることが分かった。

 この夏、友人が自宅のテレビで高校野球を見ていたところ、投手の後ろに黒いネコが座っていたという。なんで審判はプレーを止めないのだろうと不思議に思っていたのだが、試合は何事もなく進み、ネコはいつの間にかいなくなった。乱反射だろうか、精神科医に診てもらうべきだろうか。

2017年09月02日

「書店ゼロ自治体」とならないために

 学校、警察、消防、医療機関、金融機関、食料品店など地域になくてはならない事業所は多いが、個人的には書店も欠かせない。「スターバックスがない田舎には住みたくない」という若者もいるそうだ。スタバがなくても困らないが、書店がない地域はつまらない。

 先日、朝日新聞が1面トップに「書店ゼロ自治体二割超」という記事を載せた。書店がない自治体・行政区が420もあるという。この4年間で1割増えており、全国の自治体・行政区の2割強を占めるまでになった。背景には書店数自体の大幅な減少がある。平成12年には全国に2万1654の書店があった。いまは1万2526店。17年で9128店、42%も減った原因は人口減や活字離れ、インターネットやコンビニ販売の増などで、地域の文化拠点の衰退が危惧されているという。

 元伊藤忠商事社長で駐中国大使も務めた丹羽宇一郎氏は近著『死ぬほど読書』(幻冬舎新書)で「買い物は実際に現物を見て購入するのと、ネットで口コミなどの情報を見ながら買うのとでは、やはり違います。わざわざ足を運び、視覚や手触りなどを総動員して買うのと、不確かさを残しながらネットで買うのとでは、ものに対する思い入れも変わってくるはずです」「書店の面白いところは、いろいろな人(著者)と出会える点です」「書店ほど、ものすごい数の人に出会える場所はありません」「思いもよらない出会いもたくさんあります。時間に余裕があるときは、ふだんあまり見ることのないジャンルの棚なども眺めてみる。すると、『こんなすごいことがこの業界で起こっているのか』といった発見をしたりもします」「偶然の出会いは、ネットでは体験できない書店ならではの楽しさだと思います」「思いもよらない形で好奇心の幅が広がる喜び、それを堪能させてくれるのが書店のよさなのです」と説いている。

 ネットにも良さはある。24時間、好きなときに注文できる、在庫が豊富、注文履歴から好みの本を紹介してくれるといった点だ。だが、丹羽氏が指摘するように思い入れが違うためか、買っても読まずに積んだままの本もある。県央の書店も以前よりは減った。「書店ゼロ自治体」とならないために、本や雑誌はネットではなく、地元の書店で買うようにしなければならない。

2017年08月10日

酒と品格

 冷たいビールがうまい暑さが続いている。
 ビールの本場、ドイツのミュンヘンでは「オクトーバーフェスト」というビール祭りが毎年開かれているという。200年以上続いている伝統行事で、毎年、世界各国から600万人を超えるビール好きが集まり、盛大にビールを飲み、ソーセージや鶏の丸焼きなどを食べているそうだ。
 それを手本に新潟県酒造組合が新潟市で始めたのが「にいがた酒の陣」。13年目のことしもおよそ80の県内酒蔵が500種の地酒を提供、2日間で県内外から13万人が来場し、日本酒とそれに合う料理を味わった。

 長野県松本市の教育委員会が、こうした酒がらみのイベントを「品格がない」と判断したと報じられている。同市教委はことしから松本城公園の利用規制を強化。飲酒や酒類販売を伴う催事は「史跡松本城の品格にふさわしくない」とし、自粛を求めることにしたという。
 このため9月に松本城公園で開く予定だった「クラフトビールフェスティバル・イン松本」は中止に追い込まれた。3年前から毎年開いてきた料理と県内外の地ビールを販売するイベントで、地元の飲食店主たちが実行委員会を組織。これまで平均して2万人近い来場があった。主催者側は「飲酒後の本丸庭園や天守閣への入場は禁止」といったルールも定めていたため、酒がらみのトラブルはなかったという。

 中止決定後、松本駅前の居酒屋は店頭に「品格のある方の入店をお断りします。当店では品格のない商品を取り扱っております」と書いた紙を張り出した。市教育委員や市教委職員が来たら入店を断るつもりなのだろうか。あるいは店内に入れても酒や焼き鳥など品格のない商品は庶民にしか提供せず、教育委員には抹茶と和菓子しか出さずに帰ってもらうつもりだろうか。

 酒のイベントに品格がないわけではないだろう。おとなになっても自分の適量をわきまえず、飲み過ぎて暴れたり、泥酔して前後不覚になる人の品格に問題があるのだ。松本市だって三々九度の盃にサイダーをつぐわけではないだろう。報じられている通りだとしたら、つまらない規制をしたものだ。三条市はこういう点に関しては心配ない。こんな話が出れば酒好きの市長、副市長、教育長が真っ先に反対する。

2017年08月02日

県央にも療育センターを!

 発達障害の子どもが激増している。
 文科省によると全国の公立小中学校などで通級による指導を受けている児童生徒は昨年5月で9万8311人に達した。この3年間で17%増え、23年前の8倍になったという。
 発達障害にはコミュニケーションや対人関係をつくることが苦手な自閉症やアスペルガー症候群、集中することが苦手でじっとしていられない注意欠陥多動性障害(ADHD)、「読む」「書く」「計算する」ことが苦手な学習障害(LD)などがある。
 原因はよく分かっていないが、近年の研究では親のしつけや教育の問題ではなく、脳機能の障害とされている。早めに発見し、適切な治療や支援を受ければ問題行動はなくなることも分かっている。


 三条市でも全児童の9%前後に発達障害の傾向が見られるという。
 どのクラスにも2、3人は発達障害と思われる児童がいることになる。
 教師も研修を重ねて知識や意識が高まっているため、以前より発見が早くなっていることもあるが、多くの教師が増加を実感している。保育所や学校だけでは対応しきれず、医師や保健師、言語聴覚士、作業療法士などの支援も必要になっている。

 専門スタッフの治療を受けるには新潟市のはまぐみ小児療育センターなどに通わなければならない。
 県央には県立吉田病院に「子どもの心診療科」がある。専門医の診察を受けることはできるが、療育センターのように言語や作業療法士など医師以外のスタッフまでそろっているわけではない。
 「吉田病院医療提供体制等の検討会議」報告書は、同病院の早期改築が望ましいとする一方、子どもの心の診療や小児慢性疾患診療については「現行機能の維持に努める」にとどめている。発達障害の子がこれだけ増えているのに、改築後の機能強化は見送るということだ。


 燕、弥彦両市村は「早期改築」の報告を踏まえて燕市役所周辺への移転改築などを求める要望書を知事に提出した。小児科関係では「重症心身障害児の家族に対するレスパイトケア(介護を行う家族への休息支援)を実施し、県央地域の中核的機能を担うこと」を要望した。
 小児科については「現行機能の維持」だけでなく、療育センターなどを併設し、急増する発達障害の子どもたちのケアに努めてもらえないものだろうか。療育機能を強化することも「特色ある医療の提供」につながるのではないだろうか。