2018年08月20日

新たな吉田病院像を!

 県立吉田病院の基本計画づくりが進んでいる。県は今月22日に第3回整備基本計画策定委員会を開き、もっとも重要な診療機能と規模について検討する。
 財政当局にとって吉田病院は「慢性赤字のお荷物病院」だが、地域にとっては大切な「命と健康を守る砦」だ。昨年3月に検討会議がまとめた報告書は「病院機能・規模のスリム化を図ったうえで、持続可能な病院運営に取り組む必要がある」としている。吉田病院には以前、18の診療科があったが、脳神経外科と神経内科は休止、産婦人科は分娩休止となっている。存続させるにはさらにスリム化しなければならないという。

 報告書は「特色ある医療の提供」も求めている。
 同病院の特色といえば消化器系と人工透析治療、そして心身症、発達障害、不登校などの子どもの心の診療と、アレルギー外来も含めた小児慢性疾患診療だ。報告書はこれら小児科診療について「現行機能の維持」を求めているが、維持するだけで強化はしないのだろうか。

 日本全体がそうであるように、県央でも発達障害の疑いがある幼児や小中学生が増えている。三条市の小学校で教師が「発達障害の疑いがある」と申告した児童は全体の9%に達している。
 適切に対応するためには専門医が診断し、症状に応じて言語聴覚士や作業療法士などが指導していくことが必要だが、新潟市や長岡市の専門医には県内各地から受診希望者が集まっており、初診を申し込んでも3、4か月待たなければならなくなっている。
 吉田病院の小児科医は常勤医2人と、県立病院などを定年退職したエルダー医2人の計4人。
 小児科医を新たに確保するのは難しいが、たとえば吉田病院の小児科医の診察と指導のもと、言語聴覚士や作業療法士、看護師、保健師、保育士などのチームが発達障害児をフォローしていく「療育センター」を地元市町村が協力して併設すれば、吉田病院の存在意義も若い医師たちの注目度も変わってくるのではないだろうか。
 整備基本計画策定委員会には南波瑞夫燕市副市長や小林豊彦弥彦村長も委員として参加している。地元はもちろん、県央全体が待ち望む新しい吉田病院像を提案してくれることを期待したい。

2018年08月01日

終わった人  終わった映画

 「これ、見たい」と思う映画が年に何本かある。 思っているうちに上映が終わってしまっていることが多い。
 『終わった人』もそのひとつ。内館牧子氏が著した原作は読んだ。内館氏は横綱朝青龍の言動を厳しく批判した横綱審議委員として有名だが、本職は脚本家。代表作にNHK朝の連続テレビ小説『ひらり』や大河ドラマ『毛利元就』などがある。脚本出身の作家は小説でも読者を飽きさせない。講談社文庫の『終わった人』はあとがきを含めて532ページと厚いが、一晩で一気に読んでしまった。
 小説は「定年って生前葬だな」で始まる。主人公は昭和24年、岩手県盛岡市生まれ。東京大学法学部を卒業し、メガバンクに入行したエリートだ。40代で本部の部長職まで出世するが、役員を目前にライバルとの競争に敗れて子会社に出向。63歳で定年退職する。
 仕事一筋だったので趣味もなければ友人もいない。子育てを終えて美容師になった妻は、まだ仕事が忙しくて相手になってくれない。スポーツジムやカルチャースクールに通っても、元エリートのプライドが邪魔をして他のジジババとの他愛のない会話に馴染めない。自分は「終わった人」なのだと頭では分かっていても、仕事をすることへの思いを捨てきれずに「成仏」できない、何かで自分の存在意義を確認したいと切望している。そこにスポーツジムで出会った若いIT企業経営者から「顧問になってほしい」との誘いがあり・・・。
 人生の着地点や、そこに軟着陸することについて考えさせられる小説だ。
 映画化したと知って「見たい」と思った。ただ主人公を舘ひろしさんが演じ、「第二の人生と向き合っていく高齢者の実態とリアルな夫婦・家族の在り方を、心地よいユーモアと味わい深い人間ドラマが交差する、心温まるコメディ」として描いたという点にひっかかった。
 うーん、コメディか。原作は軟着陸に失敗してあがく男の心理を丹念に描いている。
 どうして日本の映画はテーマがシリアスになればなるほどコメディタッチにしようとするのだろう。山田洋次監督の影響だろうか。
 いつ行くか迷っているうちに上映期間が終わっていた。DVDで見るしかなくなってしまった。

2018年07月08日

心の「強靭化」

 全国各地で記録的な大雨が続き、甚大な被害が出ている。ニュースで決壊した河川や自宅の2階や屋根の上で救助を待つ人々のニュース映像を見ると、嫌でも五十嵐川の堤防が決壊した平成16年の7・13水害や23年の7・29水害を思い出す。
 災害は忘れないうちにやってくる。
 水害だけではない。先月は最大震度6弱を観測した大阪府北部地震が発生した。2年前は熊本地震が起き、4年前は御嶽山が噴火、7年前には東日本大震災が発生した。
 忘れる間もない。
 世界で発生した大地震の約1割は太平洋、ユーラシア、北米、フィリピン海という4つの巨大プレートの合流地点にある日本列島で起きているという。世界の活火山の約1割も日本にある。

 日本は自然災害も多いが、自然の恵みも多い。何年か前に放送されたNHK『日本列島~奇跡の大自然』によると、ヒマラヤ山脈やチベット高原によって起きる大気の大循環や、日本列島を囲む暖流と寒流などさまざまな条件が奇跡的に重なった結果、日本は世界一豊かで美しい森林、多様な動植物、世界一多い固有種が育まれたのだという。
 「ハイリスク、ハイリターン」は損失の危険が大きいほど、得られる収益も高いといった投資用語だが、日本列島も危険ではあるが恩恵も多いハイリスク、ハイリターンな自然環境となる。

 自然の猛威に対して、被害を最小限に抑えようと努力することは必要だが、科学技術によって災害をなくす、あるいは防ぐこともできるといった考え方は人間の幻想であり、思い上がりなのだろう。
 海や山、川は人間に大きな恵みを与えてくれるが、時に荒ぶる。防波堤や堤防で抑えられる程度の暴れ方のときもあれば、それでは収まらないときもある。
 最新技術と莫大な予算で国土の「強靭化」を進めても、東日本大震災のときのような暴れ方をされたら、人間は逃げるしかない。

 いざというときは何もかも捨てて逃げる、そのための覚悟と準備をしておく。
 災害が落ち着いたら、失った財産を少しでも奪い返すべく、自然の恵みを享受する。
 そういった気持ちの強靭化も必要なのではないだろうか。

2018年07月05日

発達障害を助長するもの

 自閉症スペクトラムやADHD(注意欠陥・多動性)などの発達障害をはじめ、知的や身体などの障害を持つ児童が増えている。
 特別な支援が必要と思われる児童の割合は全国的には6%程度だが、三条市はそれを大幅に上回る9
%に達している。
 教員が判断した数値であって専門医の診断結果ではないとはいえ、なぜ特別な支援が必要と思われる児童が多いのか。三条市教育委員会は見落としによって対応が遅れることがないよう、可能性のある児童も含めているからだとしている。

 先日、三条市が開いた発達応援講演会には教員や保育士、発達障害児の保護者など約200人が参加。新潟市江南区、発達クリニックぱすてるの東條恵院長から自閉症スペクトラム障害やADHDの症状や対策を聴いた。
 印象的だったのが発達障害を助長するものが「四角い窓などの電子デバイス(メディア)」と「虐待手法の子育て」という指摘だ。

 「四角い窓」はテレビやパソコン、スマートフォン、ゲーム機などのことだ。
 テレビやスマホに夢中になった子どもは「親よりも面白いのは画面なり」になってしまう。
 そうなってからテレビやスマホを取り上げようとすると「四角い窓切って切られる親子の絆」になる。
 東條院長は「ノーテレビ日週月のお試しを!」と、まずは1日、それができたら次は1週間、さらには1か月と徐々にテレビ離れを進めるよう呼び掛けた。

 「虐待手法の子育て」とは、ほめずに怒ってばかりいて、ときには手も出る子育て方法のこと。
 包丁を手に「殺す!」と叫んでいたADHDの五歳児の親が虐待手法の子育てを止めたところ、3か月後には反抗的態度がなくなり、症状も改善されたという。
 自閉症の子がテレビ漬けと虐待手法で育てられると症状が悪化し、愛着障害にもなるという。
 大家族のなかで育てば母親だけでなく祖父や叔母、年齢の離れた姉などからも愛情を注がれる。核家族のいまは愛情障害が起きやすい環境になっているのだという。
 発達障害の保護者だけでなく、すべての親に聴いてほしい講演だった。

2018年07月01日

さらば、スポ根部活

 先日、三条市中学校体育連盟主催、三条市中学校体育大会の記事が三条新聞に載っていた。
 軟式野球の戦績欄を見て驚いた。「三条第二・大崎学園」とある。合同チームという意味だ。
 これまでにも大島中が他校と合同チームで出場したことはある。大島中は1学年1学級の小規模校だ。野球部員が少ないのも分かる。
 三条第二中や大崎学園は1学年3学級以上あり、生徒数も300人近い。そのほぼ半数が男子なのだから、最少9人の野球チームぐらい簡単に組めそうなものだが、それができなかったことになる。

 昨年9月の新人戦には三条第一中と大島中、第二中と第三中、第四中と大崎中、下田中と田上中が合同チームを作って出場した。単独で出場できたのは本成寺中と栄中だけだった。新人戦は3年生が引退した後に1、2年生だけでチームを編成するためだ。
ことしも1、2年生の野球部員が9人以上いるのは三条市内9つの中学校のうち第一中、本成寺中、栄中の3校だけだ。
第二中、第三中、第四中、大島中、大崎学園、下田中の6校は単独ではチームを組めないため、新人戦は合同チームで出場することになりそうだ。
合同チームが集まって練習するのは容易ではない。平日は単独練習、週末に合同練習となる。市教育委員会は平日も合同練習ができるようスクールバスの活用なども検討している。

 かつて男の子が好きなスポーツと言えば野球だった。多くの男の子が巨人や阪神などのスター選手に憧れた。
いま大谷翔平選手がいくら大リーグで活躍しても、スポーツ少年団の野球チームに入る子は増えない。中学校の野球部員はこの先、さらに減る可能性もある。
文科省はことし3月に策定した運動部活動のガイドラインで「週2日以上の休養日を設ける」「活動時間は平日は2時間、休業日は3時間程度とする」と定めた。「現在の運動部活動が、女子や障害のある生徒等も含めて生徒の潜在的なニーズに必ずしも応えられていないことを踏まえ、生徒の多様なニーズに応じた活動を行うことができる運動部を設置する」ことも求めている。季節ごとに異なるスポーツを行う活動、競技志向ではなく、レクレーションや体力づくりを目的とした活動などのことだ。
高校野球の甲子園大会に象徴される熱血スポ根ドラマ型部活動は変わりつつある。

2018年06月19日

減反マインドコントロール

 「マインド」は心や意識、「コントロール」は統制や制御。「マインドコントロール」を直訳すると、心や意識を統制するという意味になる。
 試合前のスポーツ選手が平静を保ち、かつ集中力を高めるために自分自身の心理状態を調整するのもマインドコントロールなら、監禁事件などの犯人やカルト宗教などが恐怖心などを利用して他人を支配することもマインドコントロールと呼ばれている。
 オウム真理教が信者たちを地下鉄サリン事件や弁護士一家殺害事件などの冷酷で悪質な犯罪に駆り立てたことで有名になった。

 農家もマインドコントロールされているのではないだろうか。
 コメの生産調整のことだ。昭和45年の本格実施から昨年まで47年間にわたり、いわゆる減反政策が行われてきた。
 この間、「3、4割もの田んぼを休耕にさせられたら我々は食べていけない。なぜ自由にコメを作らせないのか」と怒る農家に対し、政府は「自由に作れば米価は暴落する」と言い続けてきた。
 減反しても米価は下がった。
 「話が違うではないか」と迫る農家に、政府は「減反をしなければ、もっと下がった。この程度の下落で済んでいるのは減反のお陰だ」と説明してきた。
 補助金と「米価暴落」の脅し。
 いわばアメとムチで農家を減反政策に従わせてきた。

 政府はことしから減反政策を止めた。
 生産数量目標の配分はせず、目標に従った主食用米の作付けに対する助成も廃止、コメの直接支払い交付金をなくした。
 残したのは大豆やそばなど転作作物への助成だけだ。
 50年近く「減反しなければ米価は暴落」と言われ続けてきた影響もあるのか、農業関係団体などは全国農業再生推進機構を設立し、国に代わって需給調整に努めることにした。
 各自治体も生産調整の「目標」ではなく、「目安」を作った。三条市は2年前と同じく田の59%でコメを生産、41%は減反するという「目安」を示した。
 守る、守らないは農家の自由。守らなくてもペナルティーはない。
 守らない農家もいるが、「米価が気になる」「売り先を見つける自信がない」といった理由で守っている農家も多い。47年間の歳月の重みだ。

2018年06月08日

私はこれで、、、仕事を辞めました

  たばこがやめられずに仕事を辞めた男性がいる。大阪府の職員だったAさん(49)だ。
 Aさんは勤務時間中でも1日に2、3回は無性にたばこが吸いたくなるため、席を離れた。
 府庁舎の敷地内は全面禁煙。府庁舎周辺の路上などでの喫煙も禁止されているため、Aさんは庁舎から150㍍ほど離れた民間ビルの喫煙室まで行ってたばこを吸っていた。
 この間、自席を離れるのは約15分。ことし3月、府庁に「勤務時間中に席を離れてたばこを吸いに行っている職員がいる」との通報が入った。Aさんのことだった。

 人事担当の聞き取り調査に対し、Aさんは「ストレスで吸いたくなったときに我慢できなかった」と話した。
 府はAさんがこの2年間でおよそ440回、合わせて100時間以上にわたり勤務時間中にたばこを吸うため職場を離れたと認定。地方公務員法の職務専念義務に違反したとし、4月16日付けで訓告処分とした。
 Aさんの職場はよりによって府民の健康増進を担う「健康医療部」だった。
 Aさんはこの日をもって依願退職した。

 2年で100時間以上というといかにも悪質な職場放棄のようだが、府が認定した事実は勤務日に1日1回およそ15分間、喫煙のために席を離れたにすぎない。
 大阪府は橋下徹知事時代の平成20年に庁舎や出先機関の敷地内を全面禁煙とし、職員の執務時間中の喫煙も禁止した。
 その結果、休憩時間になると庁舎周辺の路上でたばこを吸う職員が増えたため、通行人や近隣住民から苦情が続出。府は2年後の22年に庁舎周辺などの路上での喫煙も禁止した。
 職員の禁煙についても保健師が個別にサポートするなど、積極的に支援している。

 三条市役所は本庁舎の敷地内に3か所、喫煙所を設けている。
 たばこを吸うのは昼休みなどの休憩時間に限っている職員が多いが、我慢できずに執務時間中に吸っている職員もいる。
 同じ地方公務員でありながら執務中の喫煙が大阪府は職務専念義務に違反し、他は違反しないという判断でいいのかどうか。
 愛煙家は今後、ますます肩身が狭くなりそうだ。