2019年07月05日

カタツムリとナメクジ

 カタツムリとナメクジ。
 殻があるか、ないかの違いでしかないのに、若い女性の反応は全く異なる。
 カタツムリだと「かわいい~」、
 ナメクジだと「やだ、気持ち悪い」。
 ナメクジがかわいそうだ。
 清少納言まで「いみじうきたなき物、なめくぢ」と『枕草子』に書いている。ナメクジは平安時代から嫌われてきたのに、殻を背負ったカタツムリは「朝やけがよろこばしいか蝸牛」と小林一茶の句に詠まれ、「でんでんむしむし~」と文部省唱歌にまでなった。
 まるでカタツムリがイケメンなら、ナメクジは不細工な中年おやじ。どちらにシンパシーを感じるかといえば圧倒的にナメクジだ。
 若い女性から「きもい」「きたない」と言われている者同士、手を取り合って頑張って生きていきたい。
 ナメクジの手がどこにあるのか知らないが。

 同じ軟体動物門復足網の生き物でありながら、なぜカタツムリはかわいくて、ナメクジは「きもい」のか。

 「服を着たおっさんと、服を着ていないおっさんの違いみたいなものだ」と若者は言うかもしれない。たしかに服を着ていないおっさんは見たくない。
 ただ、生物学的にはナメクジが殻を背負ってカタツムリになったのではなく、カタツムリが殻を捨ててナメクジになったとされている。二億年ほど前のことだ。ナメクジはカタツムリの進化系なのだ。
 なぜナメクジは殻を捨てたのか。
 カタツムリの殻はヤドカリのように、どこかから拾ってきたものではない。生まれたときからついている体の一部だ。
 殻には外敵や乾燥などから体を守ってくれるというメリットがあるが、殻を作り、体の大きさに合わせて維持し続けるためには相当の栄養分を費やさなければならないというデメリットもある。
 ナメクジは重くて邪魔な殻なんかのために貴重な栄養を使いたくない、外敵の攻撃に弱くなっても、湿っぽい場所でしか活動できなくなってもいいから、少ない栄養でも生きていけるように殻を捨てたのだ。
 マイホームのローン返済のため一生懸命に働き続けているのがカタツムリ、家はないけど借金もない自由な生活を選んだのがナメクジというわけだ。
 ナメクジがうらやましくなってきた。

2019年07月03日

音楽は数学系だった!

 「音楽にばかり夢中になっていないで、ちょっとは勉強しなさい!」と中学生や高校生のころ、よく言われた。
 言う方も、言われる方も音楽と勉強はまったく別のものだと思っていた。大昔は違っていたらしい。
 「ピタゴラスの定理」で知られる古代ギリシアの哲学者ピタゴラスが紀元前6世紀に創設した教団では、本科生に算術、幾何学、天文学、音楽の数学系4科を、聴講生には文法、修辞学、論理学の言語系3科を教えていたという。
これをプラトンが受け継いでアカデメイアという学校で教えるようになった。
紀元5世紀の帝政ローマ時代には、これらの学問を自由7科と呼ぶようになった。

これがいま「一般教養」と訳されているリベラル・アーツの起源だ。
「リベラル」は自由、「アーツ」は技術という意味。
古代ギリシアや帝政ローマ時代には奴隷階級があった。
自由人(非奴隷)になるためには、一定の教養が必要だった。それが自由7科。算術や幾何学、天文学、音楽、文法、修辞学、論理学を学ぶことが自由人になる条件のひとつだったという。


音楽がなぜ数学系4科に含まれているのかというと、ピタゴラスが音楽は数学の仲間と考えていたからだ。
ピタゴラスは三平方の定理を発見しただけでなく、音階の発明者でもある。
哲学や数学の天才が音程の研究を始めたきっかけは、散歩で鍛冶屋の前を通りかかったとき、鍛冶職人が金属をハンマーでたたく音のなかに、きれいに響き合うものと、そうでないものがあることに気付いたからだという。天才はさっそくハンマーの重さや、共鳴箱の上に張った弦の長さによる音の違いを調べ、音程は数の比で表されることを見つけた。
それも1対2、2対3、3対4といった整数比のときだけ美しく響き合うことを発見した。
美しい和音は美しい数字で表すことができるというわけだ。

音階も和音も数字、もちろん4、8、16拍子などのリズムも数字。
音楽と数学は深い関係にある。
これを若いころに知っていたら「鍛冶のまち三条の生徒が音楽に夢中になるのはピタゴラスからの伝統だ」と言っていた。
「じゃあ幾何や文法など他の六科を勉強するまで自由がなくてもいいんだな」と言われたら困るが。

2019年06月22日

県議会で初の一般質問

 6月21日に県議会では初めてとなる一般質問を行いました。
 質問事項は
 「県央基幹病院について」
 「県と市町村の役割分担等について」
 「地場産業と観光について」
 の3項目です。

 県央基幹病院については、花角知事より
 「民間病院等との役割分担を踏まえ、県央基幹病院、加茂、吉田病院の機能と規模等について一体として議論していく」「基本整備計画はこれまで地元医療機関や新潟大学、県医師会関係者などによる議論を積み重ねて策定したものであり、尊重すべきものと認識している」
 スケジュールについては福祉保健部長より
 「整備基本計画に定めたスケジュールに支障がないよう検討を行い、開設手続きを進めたい」
 との答弁がありました。

 県央基幹病院に関しては、診療科目など多少の変更はあるとしても、大幅な見直しにはならないよう今後も訴え続けたいと思っています。

 質問要旨は以下の通りです。

 「県央基幹病院について」

Q 県央地域は11年も前から「県央にも救命救急センターを併設した基幹病院を設置してほしい」と求めてきた。協議を重ね、間もなく着工という段階になって、県の財政難から見直し論が出てきた。県央では救急患者の4人に1人が地元の病院に受け入れてもらえず、圏域外まで運ばれている。圏域外搬送率は県内七つの二次医療圏のなかで県央だけが桁違いに高い。その結果、県央の救急患者が医師の手当てを受けるまでの平均時間は、県平均より10分以上遅い。緊急時の10分間は長い。新潟、長岡なら助かる命が県央では助からないという状態を解消するために、早急な設置を求めてきたのが救命救急センター機能を併設した県央基幹病院であり、他の病院改築要望などとは重要度がまったく違うこと、他に変わる代替策がない要望であることを理解してほしい。
 この計画は県主導のもと、地元の医療、行政関係者などが協議を重ねて作り上げてきた。救命救急センターを運営するには各分野の専門医など多くのスタッフを確保しなければならず、多くのスタッフを抱えて健全な運営を続けるためには一定規模以上の規模が必要となる。また既存病院との役割分担なども検討したうえで整備基本計画ができた。これを主導してきた県が、財政難という次元の違う問題でちゃぶ台返しをするようであれば、県央地域住民の強い反発を招きかねない。整備基本計画を見直すこともあり得るのか。この計画に盛り込んだ県央基幹病院の機能や規模は、県民の命を守るために不可欠なものではないか。

知事 県の財政が危機的状況にあるなかで、平均在院日数の短縮などによる医療需要の減少、新専門医制度や医師の働き方改革などの医療制度改革の影響など、整備基本計画策定時からの状況変化を踏まえた検証が必要と考えている。民間病院等との役割分担を踏まえ、県央基幹病院、加茂、吉田病院の機能と規模等について一体として議論していく。整備基本計画見直しの有無も含めて、今後、地元医療機関や新潟大学、県医師会関係者などからなる検討の場を設置し、年内を目途に検討を進めたい。基本整備計画はこれまで地元医療機関や新潟大学、県医師会関係者などによる議論を積み重ねて策定したものであり、尊重すべきものと認識している。しかしながら計画策定時以降の状況変化や行財政改革推進会議での議論などもあることから、今後、医療関係者等とともに検証していくことが必要と考えている。


Q県央地域医療構想調整会議の開催が遅れているが、令和5年早期開院のスケジュールに支障は生じないのか。

福祉保健部長 県としては整備基本計画に定めたスケジュールに支障がないよう検討を行い、開設手続きを進めたいと考えている。

Q医師を確保するためにも中小病院ではなく、基幹的病院が必要ではないか。

知事 医師確保のために基幹的な病院を整備することもひとつの方法と考えているが、様々な取り組みを総合的に推進していくことが必要。臨床研修医の確保や修学資金貸与医師の医師不足地域の病院への配置、勤務環境の改善など総合的な取り組みにより、医師確保や偏在解消を図りたい。

Q県央基幹病院の建設予定地の近隣に来年、仮称三条看護・医療・歯科衛生専門学校が開校する。看護師確保のために、基幹病院と看護線学校の連携を考えるべきではないか。

知事 県央基幹病院はじめ県央地域の医療機関等におけるスタッフの確保先のひとつになるものと期待している。三条市が設置する専門学校も含め、県内看護系学校との連携を広く検討していく。

Q県央基幹病院を持続可能な医療体制とするために、どのような運営主体が適切と考えているのか。

知事 地域に必要とされる政策的医療の担保や、再編対象病院との円滑な統合を図るため、県の一定の関与が可能な財団法人等を基本とし、県地域医療推進機構を含め、幅広く検討を進めている。政策的医療が安定的に提供されるとともに、柔軟な医師派遣、医師確保や民間ノウハウを活用した効果的、効率的な病院経営が可能となるよう運営主体を検討していく。

Q周辺のアクセス道路整備の見通しはどうか。須頃郷の雨水排水のために中ノ口川の管理直轄化を図れないか。

知事 県としても直轄編入の検討を国に求めている。いずれにしても信濃川、中ノ口川の河川改修推進など、引き続き当該地域の浸水被害軽減に向け、関係機関と連携して取り組みたい。

土木部長 国道289号燕北道路や国道403号三条北道路等の整備に取り組んでいる。403号三条北道路は延長約8.3㎞の事業区間のうち、これまでに約3.5㎞を部分供用し、残る区間の用地買収を昨年度までに完了、全線で工事着手している。県央基幹病院の開院時期を見据えながら鋭意、供用に取り組んでいく。

 「県と市町村の役割分担等について」

Q地方分権一括法の成立から20年。一連の地方分権改革の評価はどうか。

知事 国から地方への権限移譲など一定の進展が図られてきた。国の役割を、国家としての存立にかかわる事務など本来、国が果たすべき役割に限定していくことや、地方財源の確保、「従うべき基準」の廃止など、解決すべき課題はいまだ多い。全国知事会を通じ、国民の合意を得ながら地方が十分な権限と責任の下で地域の実情に応じた行政を展開できる、あるべき地方自治の姿に向けて着実に取り組んで行くことが重要だ。

Q県と市町村の役割分担があいまいになっている部分がある。整理が必要ではないか。

知事 重複の解消を図ってきたが、今後も必要に応じ、役割分担を明確化し、整理していきたい。

Q県と市町村の二重行政の解消、役割分担の明確化などに向けた調査検討機関を設置すべきではないか。

知事 現状、市町村から事業の重複などを指摘する声は上がっていないが、今後、役割分担を整理する必要が生じた場合には、市町村長とのブロック別懇談会や市長会、町村会との定期協議など既存の会議体を活用して検討していきたい。

Q除雪や舗装補修といった道路管理の市への権限移譲を検討してはどうか。

知事 県の骨格を成すような広域的な基幹道路は市が管理主体となっても効率化が図られるとは限らないが、まちづくりの一環として管理を希望する市に対し、協議により広域道路ネットワークを阻害しない範囲で国県道の一部について権限移譲を行った事例もある。今後も国県道の権利要望に対しては、広域道路ネットワーク確保の観点とまちづくり等の観点を勘案し、権限移譲について検討していきたい。

Q大阪府は政令市のほか豊中市など五市町で構成する法定協議会に教員人事権を移譲している。地域に移譲すれば先生も異動範囲が狭まり、落ち着いて教育に取り組めるし、子どもたちは地域の歴史や文化に精通した先生から教えてもらうことができ、保護者も地域に詳しい先生に安心して子どもを任せられるのではないか。

教育長 現在、教職員の居住地には偏りがある。このような状況で法定協議会などに人事権を移譲すると、地域によっては人事異動が膠着化するおそれがあり、県全体の教育水準の維持向上という観点から慎重に考えるべきと認識している。

 「地場産業と観光について」

Qインバウンドを考えたとき、地場産業はより魅力的な観光資源となる。硬い鋼と柔らかい鉄を張り合わせたあわせ鋼で作った刃物の硬さと鋭利さは、欧米のものとは比べ物にならない。あわせ鋼による刃物は日本独自の、世界に誇るべき文化。これを体験できるのは三条市の鍛冶道場など、日本国内にも数か所しかない。訪日外国人旅行者が体験型観光を求めているなか、あわせ鋼による刃物づくり体験を世界にPRしていこうという三条市の取り組みを県も側面支援できないか。

知事 あわせ鋼による刃物づくり体験は日本独自の伝統的な技術を体験したいという外国人のニーズに対応した観光資源であり、外国人の誘客に効果的であるだけでなく、三条刃物のブランド化や販売促進にもつながる。県としても観光コースに組み込んだ商品造成を海外の旅行会社やメディアに積極的に提案するなど、三条市の取り組みを支援していく。

Q新潟に行けば常に地場産業や伝統産業のイベントが開かれているとなれば、東京から新潟という訪日客のルートもできる。地場産業を観光資源のひとつと位置付けたインバウンド対策を推進すべきではないか。

知事 産業観光は外国人旅行者からのニーズが高いことから観光資源のひとつと位置付け、プロモーション活動を展開している。今後も酒蔵見学や燕三条工場の祭典など、ものづくりの現場における職員との交流や伝統技術の体験など、本県地場産業の魅力を積極的に発信し、インバウンド拡大を推進したい。

Q熟練した技術の継承者が不足している。技術が次世代に受け継がれず、消えてしまえば二度と取り戻せない。地場産業や伝統的工芸品産業の技術継承にどう取り組んでいくのか。にいがた県央マイスター制度に、弟子の給料相当分を支援する技術継承支援補助金といった支援制度を組み合わせられないか。

産業労働部長 金属加工や繊維などの地場産業において、後継人材の確保育成が課題のひとつと認識しており、熟練技能者を企業に派遣し、実技指導などを通して高度技能を持つ人材の育成に努めるとともに、県立テクノスクールなどにおいて若年技能者の育成を行っている。県が給料などを支援することについては、費用対効果や県の関与のあり方などを慎重に考える必要がある。

2019年06月19日

人手不足と外国人材

 首都圏の飲食店に入ると、店員の多くが外国人だ。日本人と思って「注文していい?」と声をかけると、「チョットマッテテネ」と言われ、発音を聞いて初めて外国人と気付くこともある。
 新潟でも今後、外国人雇用が増えていくのだろうか。

 県が今春、県内企業2000社を対象に「外国人材の受入れに関するアンケート調査」を行った。
 人員の充足状況の問いには65.5%が「やや不足している」「不足している」と回答、人手不足感が強まっている。とくに建設業では73.7%が「不足」と回答、求人難が深刻化している。
 外国人については「雇用したことがない」が73.6%を占めたが、「現在、雇用している」は15.4%、「現在は雇用していないが、過去に雇用したことがある」も10.5%あった。合わせると25.9%。すでに4社に1社が技能実習などの名目で外国人雇用を経験していることになる。
 外国人を雇った理由は「人手不足に対応するため」が多く、「勤勉な勤務態度が期待できるため」「専門的知識・技能等を有する人材を確保するため」「社会活性化が期待できるため」「海外事業に新規に取り組むため」などもあった。

 今後については「雇用するつもりはない」「現在は雇用しているが、雇用を中止したい」など、外国人雇用に否定的な企業は36.9%にとどまった。
 「雇用を継続したい」「雇用する計画がすでにある」「条件が合えば雇用してもよい」といった外国人雇用に積極的な企業が34.1%を占め、「これから検討する」も含めると55.6%が前向きな姿勢を示している。

 初めて外国人を雇用しようとする企業は「うまくコミュニケーションを図ることができるだろうか」「生活習慣のギャップを乗り越えられるだろうか」「地域の理解は得られるだろうか」といった不安を抱えながら、煩雑な事務手続きと、宿舎の手配も含めた受け入れ準備を進めることになる。
 日本人を雇った方が簡単なのだろうが、例えばハローワーク三条のことし4月の有効求人倍率は2.01倍。昨年6月から11か月連続で2倍を超え続けている。国内に働き手がいないのだから、外国から来てもらうしかない。

2019年06月15日

徒弟制度と職人の技

「丁稚(でっち)奉公」という言葉がある。
 丁稚は関西の言葉で、関東では「小僧」と呼んだ。
 商店に住み込み、使い走りや雑役をするのが仕事で、職人のもとでは「弟子」や「子弟」と呼ばれた。
 奉公に上がるのは10歳前後。いまの小学5年生だ。
衣食住こそ与えられるが、給金はなし。衣といっても足袋や羽織などはどんなに寒い日でも許されなかった。食も先輩から順に食べるため、新入りたちが食べるころはみそ汁の具もなくなっていたという。
休みは盆と正月に各1日。このときだけは自由な外出が許され、実家に帰ることもできた。わずかではあるが小遣いももらえた。


丁稚はこの状態を10年間、辛抱しなければならなかった。これが10年奉公。
さらに1年間の「お礼奉公」もあるため実質11年間もただ働きした。
商売の勉強をさせてもらっているのだから無給が当然と思われていた。
ただし店の仕事が終わった後は、先輩たちから読み書きやそろばんなど、商売に不可欠な知識を教えてもらうことができた。奉公期間を終えると丁稚から「手代」となって給金がもらえるようになった。
選ばれた者は番頭となり、のれん分けを許される者もいた。


パナソニックを創業した松下幸之助は子どものころ火鉢店や自転車店に、ホンダを創業した本田宗一郎も自動車修理工場に奉公し、商売や技術を学んだという。
昭和22年に「賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない」「使用者は、徒弟、見習、養成工その他名称の如何を問わず、技能の習得を目的とする者であることを理由として、労働者を酷使してはならない」「技能の習得を目的とする労働者を家事その他技能の習得に関係のない作業に従事させてはならない」などと定めた労働基準法が施行され、丁稚奉公は違法行為となった。


以後、親方は収益にまったく貢献しない未熟な弟子に対しても賃金を支払わなければならなくなった。
損をしてまで弟子を取る必要はない、俺の代で終わってもいいと親方が考えれば、日本の伝統技術は継承されずに消えてしまう。早急に対策を講じなければ、日本は長年にわたって磨き上げてきた職人たちの素晴らしい技を失ってしまうことになる。

2019年06月10日

朝ドラと東京一極集中

 人、金、情報などが地方から東京だけに集まる東京一極集中が続いている。政府は「是正しなければならない」と言っているが、傾向はまったく変わらない。
 一極集中を後押ししているもののひとつがNHK朝の連続テレビ小説ではないだろうか。
 通称「朝ドラ」は昭和36年にスタート。当初は年1作、途中から年度前期と後期の年2作を放送している。
 現在放送中の『なつぞら』は100作目。NHKは節目を記念してホームページに「朝ドラ100」を設置している。

 そこに「朝ドラご当地マップ」というコーナーがある。
 どの地域がドラマの舞台となったのか、作品を都道府県別に分けている。
 圧倒的に多いのが東京で52作品。100作のうち半数以上は東京が舞台の物語だった。
次が大阪で30作品、京都は12、北海道が8、兵庫が7、福岡が6、神奈川と広島が各5、静岡が4、宮城や長野などが3作品だった。
新潟は2作品だけ。平成3年の『君の名は』と15年の『こころ』で、どちらもメイン舞台は東京。新潟は物語の途中で出てきたにすぎない。


朝ドラはNHKの東京局と大阪局が交互に制作している。とくに東京局の東京偏重がひどい。
 現在放送中の『なつぞら』は北海道で育った主人公がアニメーションづくりに挑戦しようと上京する。
 昨年の『半分、青い』は岐阜県の食堂生まれの主人公が漫画家にあこがれて上京した。
 一昨年の『ひよっこ』は茨城の農家の娘が失踪した父の捜索も兼ね、集団就職で上京した。
 その前の『とと姉ちゃん』は女性向け総合生活雑誌『暮らしの手帖』創刊者大橋鎮子さんがモデルで、静岡生まれの主人公が上京して雑誌を作った。
 さらにその前年の『まれ』の主人公も石川での市役所職員の職を捨ててパティシエになる夢のために上京した。

  近年の東京局制作ドラマはすべて主人公が故郷を捨てて上京している。
 まるで東京で夢を追うことこそが若者のあるべき姿と説いているかのようだ。
 「いまの若者はテレビ番組、まして朝ドラなんか見ていないから影響はない」と言い切れるだろうか。
 NHKもたまには東京生まれの主人公が都会にうんざりして地方で豊かに暮らす物語を作ってくれないだろうか。

2019年06月02日

県央基幹病院をマグネットホスピタルに

 新潟県の病院事業会計は平成30年度も赤字決算となった。
 これで3年連続の赤字だ。しかも赤字額は前年度より10億円余も多い18億円に膨らんだ。患者一人当たりの診療収益、いわゆる診療単価は増えたものの、患者総数が減ったために収益は横ばいにとどまった。対して高額薬品の使用が増えたことで材料費が増加。退職者が多かったことで退職給付費も増え、費用が増加した。
 病院別に見ると赤字額がもっとも多かったのは県立吉田病院で9億4300万円。次が加茂病院で7億2600万円。以下、十日町が5億9400万円、新発田が2億5200万円、がんセンターが1億6800万円の赤字だった。
 一方、上越市にある県立中央病院は6億9700万円の黒字。新発田市の県立リウマチセンター、村上市の県立坂町病院なども黒字だった。
 決算上は加茂と吉田の県央ふたつの病院が病院会計健全化の足を引っ張っているように見えるが、これらは一般会計からの繰り入れ後の数値。繰り入れ前だと中央を含めすべての県立病院が赤字だった。
 根底には「採算の合う診療は民間でもできる。合わない部分を公立が受け持ち、地域の医療サービス水準を維持しなければならない」という考え方がある。
 かといって採算を度外視し、このまま赤字が膨らむと病院事業会計を維持できなくなる。厚労省も新公立病院改革ガイドラインを示し、役割の明確化や経営の効率化、再編・ネットワーク化、経営形態の見直しなどを求めている。
 新潟県の場合は採算の問題だけでなく、医師の充足度も全国47都道府県の中で46位。岩手に次ぐ医師不足地域となっている。
 だからこそ、4年後の開院を目指している県央基幹病院を、医師やスタッフ、患者を呼び寄せる魅力的なマグネットホスピタルにしなければならない。